mixiユーザー(id:67124390)

2024年05月12日08:31

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2024年05月の読書。

 きょうは2024年5月12日。
 幸田文「木」読了。
 樹木全般にわたる随筆集。
 殊に「灰」に関する随筆を興味深く読んだ。
 樹木に関する内容ではなく、火山灰に関する記述がほとんどを占めている。桜島と有珠山の火山灰には違いがある。同じ活火山でも、始終火山灰を降らせている桜島と、噴火した時だけ灰がふる、有珠山とでは火山灰に対する思いがまるで違う。桜島の住人は有珠山のふもとに住む住人を羨ましいと言った。幸田文の文章は、実に良く書けていて無駄がない。気品があり、風格すら感ずる。女性を文豪と言っていいのかわからないが、文豪と言っていいひとだ。この「灰」も自分の文才だけに頼るでなく、綿密に取材を行い、資料が十分整った末に執筆にかかっている。他の随筆にも同じことが言え、どの作品も痒い所に手が届くような豊かな表現であり、記述である。名文であり、優れた作家の為せる業という外はない。
 あと、「杉」が興味深かった。屋久島の、言わずと知れた縄文杉に関する記述だ。屋久杉とは、樹齢千年を超えた杉しかそう呼ばないということをはじめて知った。縄文杉は樹齢7200年。その杉に圧倒される思い、畏敬の念を感ずるほかはなかった筆者。その率直な、正直な文章に胸を打たれる。
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