2024/05/08(水)FOLLOWING＠新宿武蔵野館

クリストファー・ノーランのデビュー作「FOLLOWING」のHDレストア版を観てきました。

後の「MEMENTO」に通じる、観客の記憶と理解を翻弄するミステリー。
モノクロの映画だからこそ雰囲気が活きる、暴力と犯罪、そして男女関係の格調高いスリルのあるサスペンス要素。

先の読めない緊張感のある展開と、時系列をシャッフルした見せ方によって観客にも謎を少しずつ明かしていく手法に、のめり込んで観ました。


今回のレストア版上映に伴って作成されたパンフレットも素晴らしく、深く語られたインタビューと解説は読み応え十分。

インタビューで監督自身によって語られることで、制約の中だからこそのジャンル、撮影方法などの制約と、いかにチープさで観客を没入から醒めさせないかの手練手管は、知恵を絞りに絞った結果なのだとあらためて分かります。

暇と好奇心から他人を尾行しながら、いつの間にか情報を制御されて罠に掛かっていく主人公が、同じく他人の生を追いながら、いつの間にか情報を制御されて謎に取り込まれていく観客の隠喩になっている、と言う評論は眼から鱗でした。