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2024年04月14日05:43

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地球防衛計画のDARTを衝突させ軌道を変えた小惑星衛星「ディモルフォス」が将来火星に300メートルのクレーターを造る?

 2年前、人類による画期的な「地球防衛」計画――地球に近づく軌道をもつ小惑星(地球近傍小惑星)を事前に把握し、その軌道を変更させるという野心的プロジェクトが、初めて成功した。

◎DART衝突させて軌道変更に成功
 NASAによる「DART(2重小惑星軌道変更試験)」と呼ばれるミッションだ(写真=DARTの打ち上げ)。
 このミッションで、地球近傍小惑星「ディディモス」の周りを公転する衛星「ディモルフォス」に、自動車ほどの大きさの探査機を衝突させた。そして実際に、その公転軌道を変えられることが確かめられた(22年10月19日付日記:「探査機DART、二重小惑星の衛星『ディモルフォス』に命中、周回軌道の変更に成功! 地球衝突の恐れの小惑星から回避へ」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202210190000/、及び21年12月23日付日記:「NASAが小惑星ミニ衛星に体当たりするDART探査機を打ち上げ、成るか、軌道を変える壮大な地球防衛実験(後編)」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202112230000/と21年12月20日付日記:「NASAが小惑星ミニ衛星に体当たりするDART探査機を打ち上げ、成るか、軌道を変える壮大な地球防衛実験(前編)」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202112200000/を参照)。
(下の写真の上はディモルフォス(左)に衝突しようとするDART探査機の想像図;下の写真の下はDARTが接近中に撮られたディモルフォス=左=とディディモス)

◎ラブルパイル天体の岩が飛び散った
 このプロジェクトは成功したが、実は思わぬ「後遺症」が残っていた。
 実験で飛び散った岩の行方を2万年後まで計算したところ、いずれ火星に非常に接近し、衝突する可能性があることが分かったのだ。
 ディモルフォスは直径約160メートルと小さいため、望遠鏡を使った事前の観測では、どのような天体なのか、ほとんど明らかになっていなかった。だが天文学者たちは、手にしたわずかな情報から、ディモルフォスは多数の岩がそれぞれの小さな重力によって互いに弱く結びついた天体(ラブルパイル天体)ではないかと予想していた(写真=DART衝突直前に撮られたディモルフォス。多数の岩がお握りのように結び付いている)。
 その後、探査機の衝突で大量の岩が飛び散り、ディモルフォス全体の形が変わったことで、この衛星がラブルパイル天体であることが証明された。

◎岩が探査機「ヘラ」に接近・衝突の可能性
 予想外だったのは岩の挙動だった。
 探査機が衝突した時、いくつかの岩が高速で飛散し、まもなく消えた(写真=ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が記録したDARTの衝突直後の様子)。
 しかし、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の天文学者デビッド・ジュイット博士らがハッブル宇宙望遠鏡で観測したところ、衝突によって生じてディモルフォスからゆっくりと遠ざかっていく岩が37個発見された。中には直径が約7メートルもある岩もあった。
 この発見で俄に懸念されるようになったのは、今年10月に打ち上げられる予定のヨーロッパ宇宙機関(ESA)の探査機「ヘラ」である。ヘラは、2026年にディモルフォスに到着してDARTの衝突の影響を詳しく調査することになっているが、飛び散った岩がヘラに衝突する可能性は出てきたのだ。
 ジュイット博士は、ディモルフォスの周囲には望遠鏡で発見できなかった岩がもっとたくさんあるだろうと考えている。衝突の可能性のある岩があれば、ヘラに回避させなければならないかもしれない。

◎火星表面に衝突の場合は直径300メートルのクレーターも
 さらに将来的には、ディモルフォスから飛散した岩が火星の重力に引き寄せられ、衝突するかもしれない可能性がある。
 ESA地球近傍天体調整センターの研究チームは、飛び散った岩と同じくらいの大きさの岩をシミュレーションで3700個作り出し、今後2万年間にとりうる軌道を計算した。
 これだけ多くの岩を用意したのは、探査機の衝突で飛び散った時の実際の速度や位置など、不確定要素がたくさんあるからだ。太陽の光の圧力という微弱な力も、長期的には岩を全く違う軌道に押しやる可能性がある。
 そのシミュレーションによると、6000年後と1万3000年後に、火星の軌道と岩の軌道が非常に接近する可能性が高いという結果になった。この時に火星と岩が、それぞれの軌道が交わる点に同時に到達すれば、衝突する可能性がある。
 衝突した場合、火星表面に最大で直径300メートルのクレーターを造ると予想された。
 ただ飛び散った岩が地球に衝突する可能性はないという。

◎火星―木星間で常に生成される地球近傍小惑星
 以上の研究成果は、2つのことを教えてくれる。つまりDARTが惑星に衝突する可能性のある岩を生じさせたこと、つまり人類が初めてこうした結果を生じさせたことは、無計画に小惑星(それがラブルパイル天体である可能性は十分に高い)をバラバラにしてはならないことを示している。これが第1だ。
 ただ人類がそうしなくとも、火星と木星の間の無数の小惑星同士で衝突し、地球近傍小惑星は無限に造り出されるだろう。これが第2だ。だから地球防衛計画の研究は、ゆるがせにはできない。
 地球近傍小惑星に対して人類が何の対策もしなければ、将来、サッカー場より大きな小惑星が地球に衝突する懸念が拭えない。落ちてくる場所が都市だったら、その都市はまるごと消滅するだろう。NASAによれば、直径が140メートル以上の地球近傍小惑星は2万5000個ほどあると推定されていて、そのうちの約1万4000個がまだ発見されていないというのだ。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202404140000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「ロシア侵略軍の電力インフラ破壊の凍結作戦を耐えたウクライナ国民と防衛軍」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202304140000/

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