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2023年11月22日20:28

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11月19日(日)奥多摩旅行〜黄昏にMy Lonely Heart〜 紅葉狩り、カワガラス ペルム紀から石炭紀の地質 蝋燭の燃え方 心理学プルースト効果

 帝国データバンクは11月22日、路線バスを運行する民間事業者127社のうち、8割近くが今年中に路線を縮小・廃止するとの調査結果を公表した。2024年4月1日以降、トラックやバスの運転手の労働時間が規制されることにより、従来の人数では、ダイヤの維持が困難になった。施行される2024年4月1日以降、より本数の削減や路線廃止を含め、各社の対応が本格化するとみられている。

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 <毎年恒例の奥多摩観光 2023年11月19日(日)〜黄昏にMy Lonely heart〜 紅葉狩り、イチョウのライトアップ、>

 前年の旅   2022年11月12日(土)
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 2022年11月19日(土)
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 全4章から成る
 
今回紹介するのは、東京都西部の青梅市と奥多摩町である。日本が世界に誇る一大都市、東京といえば、ドーナツ化現象により、穴の部分にオフィス街が連なる。穴の周囲を取り巻く部分は、高度経済成長期の終わり頃からベッドタウンとして開発された。1970年代を中心に、マンションの開発が盛んに行われ、鉄道網が整備された。

 舞台となる青梅市と奥多摩町は、ドーナツの一番外側の部分に当たる。山がちな地形により、重機が入らず、開発は最小限にとどまった。地区を走る唯一の鉄道は、多摩地区最大の都市立川市と繋ぐJR青梅線である。2023年3月18日以降、人件費削減の観点から、沿線内の青梅駅から奥多摩駅間は、ワンマン運転に変わった。JR側は、土日・祝日に、ハイキング客やキャンプ地の利用者を狙い、朝方東京駅から奥多摩行きの下り「ホリデー快速」を運行する。各駅停車との乗換えにも考慮したダイヤを組む。折り返しとなる奥多摩駅発、東京行きの上り列車は、観光客の帰宅時間に合わせて、夕方に走らせる。一日3往復、行楽シーズンの晴れた日の週末は、一車両が満員になる。

今回は、私自身の11月19日(日)の旅の模様を、小説風に一人の青年に置き換えて、紹介する。テーマは、ZARDが発表した10thシングル 「きっと忘れない」のC/Wとして収録された「黄昏にMy Lonely heart」である。

 同曲は、冬のベスト版といえる2001年11月21日に発売されたアルバム「ZARD BLEND II〜LEAF & SNOW〜」に選出されている。同アルバムのリリースから22年を迎えた。名バラードからアップテンポなロックまで多様性に富む。

 写真  掲載元 ameblo MOMO’s blog 黄昏にMy Lonely Heart/あなたのせいじゃない+
https://ameblo.jp/honmei-ani/entry-10527710890.html
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 写真  掲載元 Drawing 2015年5月27日付け http://glitter0er.blog.fc2.com/blog-entry-100.html
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 旅の模様は、10月22日(日)「きっと忘れない」をテーマにした横浜みなとみらい・山手地域、11月5日(日)「もっと近くで君の横顔を見ていたい」をテーマにした秦野市の続編である。
 
 新年度を迎え、新しい生活を始めて、かつての恋人への思いを募らせた若者を主人公に置いた。進学や就職・転勤により、人間関係にも変化が起きる。いかに互いの関係を続けていくのか、信頼関係が試されている。川沿いの渓谷を旅する青年が、心が変わっていく様子を描く。

 2023年10月22日の旅 横浜みなとみらい・山手地区 テーマ「きっと忘れない」
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 2023年11月5日の旅 秦野市 重要文化財 テーマ「もっと近くで君の横顔みていたい」https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986313757&owner_id=32437106

第1章 奥多摩ビジターセンター、鳩ノ巣渓谷

朝7時代、一人の青年が、奥多摩駅に降り立った。快晴に恵まれたとはいえ、山々に囲まれたV字型の渓谷は、陽ざしが届かず、影に覆われている。列車の乗客がバスの停留所に並ぶ中、青年は、車がまばらな横断歩道を渡り、氷川神社の前で手を合わせた。境内のイチョウの木は、既に真黄色の葉をつけている。花言葉は「荘厳」と「長寿」、その名のとおり、イチョウの木は、平均して寿命数百から数千年に達する。我々ヒトよりもはるかに寿命が長く、変わりゆく町の風景を見守ってきた。民家の前には、一匹の猫が、体を休めている。入り口に置いた木板には、素泊まりで1泊3900円と表記されていた。周囲に食事が出来るところといえば、お蕎麦屋さんと数少ない軽食を提供するお土産屋である。コンビニは、町内で唯一、氷川神社の斜め向かいに位置するデイリーヤマザキ一店舗のみだった。食事する場所は限られ、登山客はお弁当を持参する。

 神社から下ると、標高310m前後の氷川渓谷に到着する。コロナ禍から、キャンプ地と散策地を区分けしたことにより、人子一人見あたらない。水の上を一羽のカワガラスが飛行していた。真っ黒い姿から、カラスの名前が付けられたものの、動物分類学上全く別の仲間である。スズメ目カワガラス科に属し、下位分類において、5種に分けられる。北海道の知床半島では、ムナジロカワガラスが確認されているものの、本州ではカワガラスのみ生息する。全長は21−23cm、翼開長は約32cm、体重65gから90g、真っ白い岩から岩へ飛び移ることにより、しばし行方を見失う。

写真ーカワガラス 2017年11月12日(日)氷川渓谷で撮影した個体
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 カワガラスを追っているうちに、国道411号に架かる氷川大橋の真下で待機していた釣り人と目があった。水深が浅く、透明度が高い川は、底の砂利まで見通せる。カワガラスの主食は、カワゲラやカゲロウなどの水生昆虫である。水生昆虫を求めて、岩魚が集う。魚影の濃さから、カワガラスの生息域は、釣りスポットの目印にもなった。

 自分から逃げるように姿をくらましたカワガラスと、離れていった恋人と同じように感じた。歌詞「黄昏にMy Lonely Heart」では、失恋した若者の気持ちを丹念に綴っている。

 冒頭の歌詞:「そう淋しくなるのは わかっていたつもり 私からサヨナラ言い出した
 あの日 待ち合わせのカフェには、いつものミルクティー 言葉をのみすぎて味もしなかった」

 新生活に入る前、恋人をカフェに呼び出し、転居することを告げた。相手は戸惑いを隠せなかった。互いに、喉を潤すため、甘いはずのミルクティーをストローで啜っても、味を感じない。ひとまずその場を切り上げ、また会うことになった。青年は、新居の準備に忙しくて、ドライブデートを断ったことがある。恋人自身は、楽しみにしていたデートをキャンセルされたことが気に病んでいた。恋人の言葉は次のとおりだった。

 続く歌詞:「ねぇ あなたは何が許せなかったのか わかっているはずヨ 私からは言いたくない」
 
 確かに忙しさと、精神のゆとりのなさから、約束を破棄してしまった。彼女とはそのまま縁がなく、新生活のために地元を後にした。10月22日に、ハロウィン前に横浜みなとみらいと山手地区を旅して、彼女への思いを手紙にしたため、ポストに投函した。返事はなく、じりじりした思いで待ち続けた。11月5日に秦野市の旅を通して、恋しさが募りながらも、コスモスを鑑賞し、特別に公開された文化財を目に触れ、心変わりした。今日は、多摩川によって削られた奥多摩町にいる。

 午後9時の開館を待って、奥多摩ビジターセンターを一年ぶりに訪れた。2人の女性の職員が出迎えてくれた。登山道について説明された地図を配布し、紅葉の見頃情報を教えてくれる。

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アンケートに答えると、ポストカードをもらえる。戴いたのは、青梅市まで跨る御岳渓谷の奥多摩町側で撮影した1枚の写真だった。

 職員はマスクを着用し、今年の紅葉の状況まで解説してくれた。夏の暑さと、降雨量の少なさから、色づき具合も良くないという。葉自体水分が少なく、乾燥して、先端が丸まっていると答えてくれた。11月10日を境に、急に冷えてきた分、紅葉が一気に進み、見頃期間が短くなったとの感想を抱いていた。

 確かに朝7時代は、日当たりが悪く、紅葉は映えなかった。その後訪れた鳩ノ巣渓谷では、岩にしがみつくように生えた紅葉の葉っぱが、太陽光を浴びて、色味が引き立った。

 JR青梅線の白丸駅付近の数馬橋から、上り方面一つ先の鳩ノ巣駅付近の鳩ノ巣小橋までの間、狭い岩場の道には、年配のグループや、若いカップルが列を作って散策する。自然の景観に配慮し、川沿いの岩にしがみつくように生える植物によって、視界は狭くなる。絡み合った葉と葉の間から、流れが淀んだ川でカヌーに乗って、オールを漕ぐ人々の姿が映った。安全性に配慮して、崖地の方は、落石防止のための、ネットが張られていた。

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 白丸ダムの方は、工事中のために、しばらく見学は中止である。アップダウンのある道を登っていき、鳩ノ巣小橋へ近づくほど、視界が開けてきた。

 峨峨とした岩場が連なる渓谷は、古代の地層を残す。周囲には3億年前の石炭紀から2億5000万年前のペルム紀の地層から成る。一部最古となるシルル紀の地層が残っていた。砂岩・泥岩を主とし、チャート,火山噴出物,石灰岩が発掘される。石炭系,ペルム系の石灰岩にはフズリナの化石を多く含む。地震活動の結果、褶曲(しゅうきょく)し,一部は変成岩となった。関東でも最も古い時代の歴史を刻む「秩父古生層」という。

 詳細 コトバンク https://kotobank.jp/word/%E7%A7%A9%E7%88%B6%E5%8F%A4%E7%94%9F%E5%B1%A4-96255#goog_rewarded

 石灰岩から成る中国の世界遺産桂林よりも確かにスケールは小さい。紅葉の色鮮やかさは、桂林に勝る。深山幽谷の世界に、人々は圧倒され、川に迫り出した岩場に生える色づいた草と共に、カエデや紅葉に目を奪われる。鳩ノ巣小橋よりやや下流のカフェを入れて、撮影すると、異国情緒な雰囲気が漂う。

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 色鮮やかな紅葉は、四季がはっきりし、樹木の数が多い日本ならではの景観美である。外国人のグループ客やカップルが、お昼前に岩場にシートを敷き、お弁当を食べていた。平坦な岩場に三脚を立てて、一眼レフカメラを設置し、シャッターを切るカメラマンの姿もある。シャッター速度を落とすことにより、岩場からほとばしる水が、止まっているように写った。和気藹々としたカップル、撮影に打ち込むカメラマン、それぞれ岩が織り成す空間に身を預けていた。

昼前に鳩ノ巣駅からJR青梅線に乗り、上り方面に4つ先の沢井駅へと移動する。朝方と比べると、車内はずいぶん空いていて、席も余裕があった。多摩川によって削られた渓谷を走る列車は、カーブを曲がるたびに、軋むような音が立つ。窓から景色を見ているうち寂しさを感じた。

サビの歌詞:「涙 あふれてく 痛むのよ この心が 別れは お互いを傷つける」

 人家が少なく、山に吸い込まれていく車内で、青年はつらい気持ちがこみ上げてきた。奥多摩は、今では連絡もつかなくなった友人と旅した思い出の場所である。彼女との決別もつらく、悲しいものだった。

 続く歌詞:「これで本当に 良かったと 言い聞かせた 帰りの電車はblue 黄昏にMy Lonely heart」

 青年は、11月5日の秦野市への旅でも、日暮れ時灯りが瞬く盆地の家並みを見て、救われた気持ちになった。電車に揺られながら、思いを馳せていると、気付いたら沢井駅へと到着していた。

           第2章 御岳渓谷、青梅駅前を散策

 沢井駅前は、JRが主催する仕事体験・ATカート乗車体験イベントが開催中である。白いネットを張ったテントが撮影され、係員によって体験者が説明を受けていた。青年は、石畳の滑らかな坂を下り、国道46号を跨ぎ、川沿いの食事処澤乃井を訪れた。色づいた紅葉を眺めながら、食事を出来るスポットは、席一つ開いていない程の大盛況ぶりだった。澤乃井は、東京都最大の酒造である。お店の方では、お酒も提供していた。

 青年は、いつもどおり、お弁当を持参していた。かつては友人たちとも和気藹々と、会話をしながら、食事を楽しんでいた。その光景が蘇ってきたものの、過去のことを振り返っては前に進まない。対岸の崖地の上にある寒山寺を結ぶ楓橋を渡った。鳩ノ巣渓谷よりも川幅は一段と広くなった。橋から見て、上流側も下流側も蛇行している分、先は見えにくい。澤乃井にとどまる人々は、川のせせらぎに耳を澄ませながら、用意された食べ物を口に運んでいた。せせらぎとは、川が出す音を意味する。音の発生源は、水の流れと川床の石にある。流れる水は、石に当たり、流れが遮られ、泡を立てながら、下ってゆく。川床の岩や石にぶつかることで発せらるせせらぎは、アルファ波を発し、脳に刺激を与える。対岸の急階段を上り、寒山寺で手を合わせた。

 秋に再び思い出の地に戻れたこと、2023年は台風の発生数が少なく、生活を破壊された人が最小限にとどまったことに感謝を示した。またロシア軍によるウクライナ侵攻、ガザ情勢が良くなるように祈った。国際的にアゼルバイジャン領と認定されているナゴルノ・カラバフ地区では、アルメニア人難民が多く発生した。ガザ情勢によって、アルメニア人難民の行方は、正確に報道されていない。

 戦争とは無縁な国で育ち、毎年秋には、川のせせらぎを聞きながら、色づいた紅葉を観賞できる。豊かな暮らしを出来ることに喜びを感じることができた。

 異性への恋を含め、若者の青春とは、平和な世の中だからこそ実現できるのかもしれない。青年は、別れのとき、恋人と最後の電話の内容を思い出した。
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 Bメロの歌詞にも描かれている。
「そう私から電話かけちゃ いけないのね いつものtelephone number 指先が辿る」

 彼女から、最後の電話の内容は、どこか遠慮がちだった。青年自身は、再び楓橋を渡り、上流の御嶽駅に向って歩をすすめた。国道466号と、川沿いの散策路との間の傾斜地には、地元民が育てた地域の名産品ゆずやお野菜が並べられている。無人販売所にて、複数個のゆずが入った袋の値段は、わずか100円だった。沢井駅と御岳駅の中間地点、対岸とを結ぶ鵜乃瀬橋付近には、モミジの木が林立している。丁度太陽光で照り映えていた。

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 橋の上から、全体像を見渡した。岩を避けながら、カヌーを練習する人々の姿がある。川の流れは速くなっているとはいえ、水深が浅く、転覆しても、足がつく。川原に立ち、記念撮影するカップルもいた。青年は、心が和み、電話の内容を思い出した。

 歌詞:「真夜中にまたあなたから‘‘またやりなおそう’’と言われても困るし…自分でも良く分からない」

 確かに、恋というものは、時にわからなくなる。新天地へ旅立つ前に、なぜ彼女の思いに答えられなかったのか、もう一度振り返ってみた。環境が変わるということは、いちから物事を始めることを意味する。知らない世界へ飛び込むのは、誰しも不安がよぎる。自分は、彼女が付いてきてくれることを期待したのかも知れない。

 渓谷で最も注目を集める青梅線御嶽駅直下の玉堂美術館前である。御嶽駅川は、真っ赤に葉っぱが色づいたモミジの木が立ち並ぶ。一方で対岸の玉堂美術館前は、イチョウの木の葉が真黄色に染まっていた。樹齢は70年、高さは30m、葉が隙間なくびっしりと生い茂っているように見える。茶色一色の世界で、真黄の葉が、スポットライトを浴びた主人公のように異彩を放つ。

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枝の方は剪定することにより、円錐三角の形を保っていた。かつては、対岸の美術館との間を、御岳小橋が結んでいた。2019年10月12日(土)に首都圏を襲った令和元年台風19号により、増水した川によって、小橋は破壊された。橋の設計から、着工まで時間がかかるという。昼間は、山の稜線から差し込む射光により、まぶしく感じた。

 写真=御岳大橋より上流側から撮影した1枚
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 自分自身の恋は、明るかったものの、次第に影がさしてきた。その気持ちは、Bメロのサビの歌詞にも表れている。

 さびの歌詞:「涙とまらないこんなにも好きだったなんて、何故眩しい思い出だけ揺れているの?」

 川沿いを散策していると、懐かしい思い出が蘇る。花が出す香りや自然の匂いを嗅ぐことにより、記憶が蘇ることを「プルースト効果」という。名前の由来は、20世紀フランスの作家、マルセル・プルーストにある。彼が半生をかけて執筆したと言われる著作「失われた時を求めて」の作中に、マドレーヌが焼けた匂いから幼少の記憶を思い出す一節がある。作品は、広く人々に読まれた。いつしか、匂いを嗅いで記憶や感情が蘇ることを「プルースト効果」と呼ばれるにいたった。

 写真=プルースト効果の解説図 掲載元 TOPPAN CREATIVE https://solution.toppan.co.jp/creative/contents/fragranceidentity_column05.html
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プルースト効果が起こる理由は、人間の嗅覚と脳の仕組みが関係しているといわれている。脳には思考や知覚など高次機能を担う大脳新皮質と、感情や本能を司る大脳辺縁系の2つの器官に別れる。大脳辺縁系の中において、短期記憶を保存し、長期記憶として指令を出す海馬の役割が大きい。長期記憶は大脳に蓄えられ、海馬によって呼び起こされていた。五感のうち「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」の4つは、大脳新皮質を経由してから海馬に送られる。
唯一「嗅覚」だけは大脳新皮質と関係しない。大脳辺縁系や、自律神経系を調整する視床下部に直接送られる。他の五感より感情や本能、記憶に働きかける力が強くなりやすい。
脳と匂いの関係性、つまりプルースト効果を応用して、認知症や記憶を取り戻す研究が心理学の分野などで進められている。

 詳細 プルースト効果 Her ELEGANCE https://maisonlexia.com/her-elegance/lifestyle/325#item15957

過去のことは過ぎ去ったこと、取り戻すことはできない。

 続く歌詞:「これで良かったと思えるまで 季節を見送るでしょう 黄昏にMy Lonely heart」
                                 Bメロ終わり
 
若いうちは、環境の変化が激しくなる。別れは、日常的なこと、そのように言い聞かせて、青梅線御嶽駅へと向った。

 第3章 臨川庭園 青梅駅前 

 青年は、御嶽駅から電車に乗り、5つ先の宮ノ平駅で降りて、急坂を下り、多摩川沿いの崖に位置する臨川庭園の椅子で、お弁当を食べながら、ひと時を過ごした。

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松の木が剪定された庭園内には、人っ子一人見あたらない。モミジを眺めながら園内を一周し、青梅駅へ向って、走った。体を動かすことにより、悲しい思い出を振り払うことができる。青梅駅から距離にして800m程西には、材木商で財を成した旧稲葉邸が公開されている。常駐する一人の係員に案内された。庭には、見落としてしまいそうな小さな花をつけた「ジュウガツザクラ」が開花している。本宅の方は江戸時代に建てられた。窓が広くて、敷居がなく、開放的な空間である。

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夏は涼しいとはいえ、冬は寒くなる。係員によると、ずいぶんと今年は暑かったと振り返った。出身地は熊本県だと教えてくれた。地元は標高が若干高い市街地、冬場寒い日だと、洗濯物に霜が降りたという。古くは九州地方でも、標高が高ければ、0度を下回る日があったことになる。2023年の11月、暑い日もあれば寒い日もあり、気候が変わってしまったと、印象を語った。

 稲葉邸で、古きよき昔の家を見学し、前日の18日と19日の2日間に渡って開催されているアートフェスティバル2023の本会場の青梅駅前の商店街へと向った。祭の一環として、津雲邸が特別無料で公開された。その一室には、着物店が開催されている。作者がその場に居合わせ、ろうけつ染めと呼ばれる技法について教えてくれた。

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 外部リンク 手描き友禅 腰原きもの工房 https://koshihara-kimono.com/

溶かした蝋の中に筆を入れて、生地に塗るのである。特徴は、蝋の部分は水を弾く分、色が混ざらないことにある。一つの作品の完成に費やした時間は1ヶ月に上ったという。蝋の成分は、炭素と水素である。室温では軟らかく滑らかな固体で、水の沸点 (100℃) より低い融点を持ち、気体はよく燃焼する。

 写真=ろうそくの仕組み 掲載元 身の回りの科学 燃焼の化学
https://katakago.sakura.ne.jp/chem/fire/candle1.html
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 青梅市は、都市から離れ、住宅購入費も安く済む。工房兼住居を購入するには、広い土地が必要である。作者は、自宅にいながら、作品を作り、発表しているという。

 青梅市は、古くから絹と縞を交互に編んだ独特の模様の着物を生産している。独自性から生産地にちなみ「青梅縞」と命名された。

 都市部への通勤・通学には、確かに遠い。それでも青梅線一本で朝方新宿まで70分程で到着する。市側は都市と程よい距離にありながら、自然を楽しめることをアピールした。

 実際に作者から説明を聞くことにより、理解も深まる。

 釜ノ淵公園内の郷土資料館の特別展の一室を見学し、青梅駅へと戻り、イチョウとモミジの木がライトアップされる御岳渓谷を再度訪れた。

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 第4章 荘厳な輝きを放つイチョウの木

 時刻は午後4時40分、ライトアップは始まったとはいえ、空はまだ明るい。構図を決めるべく、ギリギリ川まで近づいて、ファインダーをのぞく。日暮れ時は、空が青みを帯びる。すると、ライトアップされたイチョウの真黄色の葉が、青い空と対称を成す。

 黄昏に MY Lonely heartのCメロのさびの歌詞(Aメロのサビと一致)

 歌詞:「涙あふれてく 痛むのよ この心が、別れは互いを傷つける」

 確かに別れは、互いの関係を切ることになる。相手が大切な人であればあるほど、切なくて、苦しくなる。それでも進学や就職、転勤などで、故郷を後にする場合、別れはやむをえない。

  写真=16時57分
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 歌詞:「これで本当に良かったと言い聞かせた 帰りの電車はblue 黄昏にMy Lonely heart」

 青年は、荘重な輝きを帯びたイチョウの木に、感情移入をした。人間の世界は、複雑化するにつれて、利害関係から、争いが起こる。恋も同じだった。互いに心は通じたとしても、言葉一つによって、すれ違い、別れてしまう。一方で植物は、決して嘘をつかない。時計がなくても決まった時期に花を咲かせ、やがては散っていく。イチョウの木も春の訪れと共に葉をつけ、冬を前に真黄色に染まり、最後の輝きを放つ。

 写真=17時9分
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漆黒の闇に浮かぶ神々しい姿に畏敬の念を抱いた。自分の悩みは小さなもの、10月22日の横浜・みなとみらい、11月5日の秦野市のたびを通して、歴史や文化を学び、移り変わる秋の景色を堪能した。

 写真 掲載元 駿河屋.jp https://www.suruga-ya.jp/product/detail/220274904
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自分には未来がある、そう信じていた。帰りの列車の中では、いつになく心が青く染まっていた。紅葉狩りは続く。



 
 
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