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2023年10月27日08:39

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リーダーは人を動かすために「リクエストの手法」を習得せよ


命令よりも効果的な方法
by レイ・リンゲル
翻訳 藤原 朝子
2023.10.22

リーダーは人を動かすために「リクエストの手法」を習得せよ
Olena Koliesnik/Getty Images
サマリー:リーダーは単なる指示者ではなく、リクエストを通じて相手を動かす必要がある。リクエストの際には相手の立場や状況を考慮し、明確な要求を示すことが重要だ。しかし、このリクエストのやり方を理解していないリーダ... もっと見る
人を動かすための技
 リーダーが命令を下しさえすれば、それが実行される時代があった。しかし、いまはそのような時代ではない。現代は、フラット化した組織構造と部門横断的なチーム、そしてコラボレーションや自律性、感性が職場文化として重視される時代だ。

 筆者が過去20年にわたり、企業や非営利組織のエグゼクティブのコーチングをして見えてきたのは、リーダーが物事を成し遂げるためには、リクエストをしなければならないということだ。そして多くの場合、リーダーたちはそのやり方がわからない。

 筆者の理解における仕事の場でリクエストとは、誰かに何かをやってもらいたいが、リクエストをするあなた自身には、相手にしてもらいたいことを課す管理権限がない状況で生じる。

 別の部署の人物に何かを頼む必要があるかもしれない。あるいは直属の部下に、職務外の仕事を頼もうとしている時などである。このような場合、強く要求しても効果はない。強く要求するとは、相手に命令するということであり、相手は「はい」と答えるしかない。これは相手の反感を買う方法であり、自分の主体性を奪われたと思われたり、無力感を覚えさせる可能性もある。

 リクエストとは、誰かに何らかのアクションを取ってほしいと頼むことであり、相手は自分が配慮され、発言権を与えられたと感じることから、人間関係の構築につながつ可能性もある。

 つまり、リクエストは一つの技だ。この技をマスターしていない人は、筆者が「無反応反応」と呼ぶものに直面する可能性が高い。「様子を見てみます」「努力してみます」「いい考えですね」「心に留めておきます」といった回答がこれに当たる。

 本稿では、リクエストが難しい理由と、多くのリーダーが相変わらずやり方を間違っている理由、そして具体的で実行可能な回答を引き出すリクエストの戦略を紹介しよう。

なぜリクエストは難しいのか
 リーダーは、何らかの仕事をリクエストをして、その内容を説明してみると「自分でできたな」と思うことが多い。あるいは、自分がリクエストなんてしなければいけないのはおかしいと感じて、リクエストをしないリーダーもいる。つまり「部下たちは、私より前に人事考課を提出する必要があることを知っているはずではないか」「クライアントには会議の24時間前までにアジェンダを示さなければいけないことは、従業員なら知っているはずではないか」などと考える。そして多くの場合、従業員はリクエストされたことを実行しない。そしてタスクは放置され、リーダーは悶々とする。

 最近のリーダーは、従業員を怒らせたり、ワークライフバランスを侵害したりする可能性に従来より敏感になっているようだ。世代的な要素もあるかもしれない。現在の管理職は、成功とは上司のあらゆるニーズを先読みすることだという時代にキャリア築いたが、現代の従業員はそうした意識を持たない。

 いざ、リクエストをする段階になると、リーダーは格式張った雰囲気にならないようにと考え、柔らかい表現をすることが多い。だが、誰にとってもリクエストは明快かつ明確なほうがよい。本稿では、この見落とされがちな技をマスターする方法を紹介しよう。

効果的なリクエストの5つの要素

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ほとんどの従業員がどこかの時点で、自分の仕事には発言権が伴うのか、内心疑問に思うものだ。そして周囲を見渡して、耳を傾け、観察する。もし同意しないと忠誠がないと見なされるなら、彼らは恐怖に基づく強迫だと考えるだろう。しかし、報復を恐れずに厳しい議論や建設的な反対意見が出されているなら、そこに参加し、組織の規定事項に疑問を呈することが奨励されていると感じられるだろう。究極的には、忠誠と意見の相違が平和的に共存する時、率直な意見を言える文化が花開くのだ。

3. 地位と意見を区別する
 人間のヒエラルキーでは、権力から距離があると、率直な意見を言いにくくなりがちだ。従業員間の権力の非対称は、通常、地位の低い人物が、地位の高い人物に同意するよう圧力をかける。

 残念ながら、多くの組織では、反対意見を言うとネガティブに扱われる(場合によっては罰せられる)という従業員を消耗させる規範が生まれ、各人が殻にこもるようにさせられる。この規範がある限り、恐怖が生まれ、オープンな対話は妨げられる。だが、必ずしもそうなると決まっているわけではない。どれほど賢い人でも、ネットワークをつくり、学際的な学びをすることで集合知を活用できなければ、賢いチームはつくれない。これは、反対意見を奨励し、対処できるかどうかにかかっている。

 私は、意見と地位を切り離すことに成功したCEOたちと仕事をしてきた。彼らは、異論を唱える技術を教えたり、模範を示したりすることによって、それを成し遂げている。たとえば、反対意見の背後にある意図に基づき、アジテーターかイノベーターか見分ける方法を説明する。そのうえで、誠意を持って思慮深い反対意見を求める。リーダーがこのようにし、組織の頂点から最下層まで現状に挑戦することに報いると、率直な意見を言える文化の形成を加速できる。

4. 許可と採用を区別する
 ほとんどの従業員は、率直な意見を言える文化とは、自分の本音を明らかにし、提案や意見、懸念を表明する許可を与えられている文化だと理解している。しかし残念なことに、一部の従業員は、率直な意見を聞いてもらうとは、すなわちその意見を聞き入れてもらうことだと誤解している。常にそうなることはもちろん不可能だ。あらゆる意見にイエスと言うことはできない。

 そこで4つ目のステップだ。率直な意見を言える許可を得ることは、その提案を採用する義務につながるという勘違いを捨てよう。

 リーダーは、この許可と採用の違いを従業員に明確にするだけでなく、たとえその提案を採用しない場合でも、率直な意見を言える人を必ず認め、称えるべきだ。従業員が率直な意見を言えるためには、組織が受け止めてくれるという証拠が必要だ。誰かが耳を傾けてくれているのか。何らかの重要性を持つのか。変化をもたらすのか。採用しない場合でも、声を上げてくれたことを強く評価しよう。私たちは皆、回答がノーであっても、率直な意見を言う行動そのものが評価され、奨励されるという安心感を必要としている。

* * *

 リーダーに求められる最大の責務の一つは、現実をきちんと検証することだ。実際、ある組織が存続できるかどうかは、現実を解釈し、それに反応する能力があることにかかっている。しかし、いかなるリーダーも一人では実行できない。あらゆるレベルの従業員が率直な意見を言えるようにすると、現場の知識を共有し、有用なアイデアの世界を広げ、集団的な「トンネルビジョン」(視野が狭い状態)に陥るのを防ぐことができる。少数派の意見が斬新な解決策になることは珍しくない。従業員が一貫して率直な意見を言い、みずからの意見や懸念を表明する時、あるいは現状に異議を唱える時、仕事により大きな目的を見出し、組織により大きな価値をもたらしてくれるのだ。


"Building a Culture Where Employees Feel Free to Speak Up," HBR.org, August 16, 2023.

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