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2023年10月24日07:42

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営業が失敗に終わった時、自問すべきことは何か


論点を明確にする3つの問い
by リサ・アール・マクラウド ,イアン・グロス
2023.10.20

営業が失敗に終わった時、自問すべきことは何か
Illustration by Daniel Creel
サマリー:営業活動における振り返りの効果は大きい。成功と失敗の分析は、チームの将来の成功につながっているからだ。短い時間でも、商品やサービスの価格や特徴に加え、微妙な要因にも注意を払いながら振り返ることが重要で... もっと見る
10分間の振り返りでも大きなメリットが得られる
「今回はお断りすることになりました」というメールを読んだ時、ブレントはみぞおちにパンチを食らった気がした。彼は敗北を飲み込もうとするかのように頭を垂れた。

 フィンテック企業のアカウントエグゼクティブであるブレントは、この取引はまもなく成立すると確信していた。そのため四半期末の予測に入れていたし、肩入れしていた。だが、取引の不成立という現実と向き合った時、クライアントがあまり乗り気ではないことを示すサインがいくつかあったことに気づいた。結局、クライアントは他社を利用することになった。

 上司に報告しなければならないことはわかっていた。だが最もやりたくないのは、会議の時間を自分の失敗の分析に費やすことだった。上司に報告する前に別の取引をつくり上げ、ごまかせば、苦痛になる話し合いを避けられるかもしれない。

 営業担当者は取引が不成立に終わった時、たいてい、失敗の詳細にこだわるよりは次に進むことを好む。同様に、取引が成立すると、ほとんどの人はすぐに祝杯をあげて喜び、成功の理由を分析する時間を取る人は、ごく少数だ。

 営業チームの指導とコーチングに携わってきた筆者らは、取引の成功と失敗の背後にある理由を分析するために、簡潔でポイントを絞った営業活動の振り返りを行うことが、チームの将来の成功率を著しく高めるというエビデンスを目の当たりにしてきた。

 成功と失敗の分析は、営業チームにとって今後使用すべき最適なメッセージや行動を突き止めるという明白なメリットがある。それだけではなく、商品開発やマーケティング、財務のチームにも貴重な知見をもたらす。

 リーダーや売り手の課題は、価格と商品の特徴について、従来の競合分析を掘り下げて、顧客の購買の決定に関与した微妙な要因を明らかにすることである。営業担当者は、特にまだ痛みが残る失敗の場合、過ぎ去ったことをわざわざ大きく取り上げて分析されると思うと、うめき声を上げたくなるかもしれない。だが、たった10分間の振り返りだけでも大きなメリットが得られるだろう。

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 以下の3つは、組織や個人が営業の振り返りをする際に使える質問である。チームが取引に成功した場合にも失敗した場合にも有効だ。顧客に購入の決断を促した本当の論点を、チームが理解できるように設計されている。

顧客はみずからの選択の価値をどのように表現しているか
 リーダーは、取引が成立あるいは失敗した後で、この質問をチームに投げかけるとよい。まず、チームにソリューションそのものの枠を超えて考えるように求めよう。むしろ、自社のものであれ競合相手のものであれ、顧客が自身の選んだソリューションの効果について、どのように表現しているかに注目する。たとえば、そのソリューションは、営業が話を持ちかけている当初のユーザーグループを超えて、他の部署に影響を与えるのかもしれないし、顧客が社内のほかの優先事項を達成するのに役立つのかもしれない。目に見えるユーザーの背後に目を向けると、より大きな影響力が理解できる。

 取引が不成立に終わった場合、こうした視点で深く掘り下げることは、みずからのポジショニングを整え、次の機会により切迫感を高めるのに役立つ。取引が成立した場合も、こうした情報によって、クライアントから見て価値の高い取引を確実に実行するための対策を打つことができる。

 先のフィンテック企業の例では、営業活動を振り返った時、顧客は商品の2〜3の特徴を重視していたことが明らかになった。その特徴は、顧客の社内では不可欠とされていた。顧客は競合相手の商品のほうが、この面でより手堅いと考えていたのだ。振り返りの中で具体的になったことにより、ブレントの会社の商品開発チームは、競合相手と張り合えるよう、商品を微調整した。マーケティングチームも、変化を強調するために資料のどこを修正すればよいかという情報を収集できた。

 失敗の分析は概して、チャンスの発見に役立つ。しかし、成功を分析することにもメリットがある。顧客がそのソリューションの価値をどのように表現していたかを営業担当者から聞くことで、チーム全体で勝利を共有することができる。特に逼迫した経済状況では、失敗だけを分析するのではなく、成功にも注目することで、顧客が自社の提供するソリューションに価値を見出していること、そのため、いまなお多くの顧客がそれを購入していることを営業チームは思い出せる。

営業の現場で最も影響力のある人は誰か

営業の場で、最も影響力のある人は誰か
 主な意思決定者や影響力のある人、該当する領域のエキスパートは、取引の決断が下された後になって初めて明らかになることがよくある。取引が成立した場合は、それが誰かがわかると、ソリューションの適用に向けて備えることができる。不成立の場合は、誰の声が強く影響したのかを知ることによって、今後の営業活動で影響力のある人に早めに対処できるようになる。

 影響力のある人物と価値のストーリーに注目して、より俯瞰的に失敗を分析すれば、営業チームは拒絶された痛みを乗り越えて前進できる。

 振り返りにおいて、恥と非難が渦巻く環境では、有意義な知見はほとんど生まれない。むしろ、次回はどのようにやり方を変えられるかに集中しよう。

 前述のフィンテック企業が顧客の意思決定者をよく調べてみると、最終決断を下したのはCIOだったことが明らかになった。ほとんどの営業訪問はユーザーグループが相手だったが、取引不成立の要因となった、商品の特徴を見出したのはCIOだった。

 このことがわかると、セールスイネーブルメント(営業活動の改善の取り組み)では、営業チームがCIOへアプローチするスキルを向上させるためのトレーニングが追加された。マーケティングチームは、自社の商品がCIOの典型的な課題に対処できることを示す新しいスライド資料を作成し、財務チームは、自社の商品が長期的には差し引きでプラスになることを示すモデルを開発した。

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価格以外で、何がクライアントの重要な決定要因になったか
 チームが取引に失敗した時、価格のせいにするのは簡単である。クライアントが価格以外の何を理由として判断したのかをチームに考えさせると、ソリューションの全体的な価値を振り返ることができる。また、自社の商品が市場でどれだけの競争力を持つかを、より広い視点から見ることができる。

 この質問は、取引が不成立だった場合は、チームが今後、細かい部分までより綿密に調整し、スキルを向上させるのに役立つ。逆に、成立した場合は、価格以外の勝因を分析することでチームの自信が高まり、今後、余裕を持つことができる。

 買い手自身に、価格以外のどの要因が決定に影響したのかを尋ねるのもよい。案外、顧客は分析を求められるまで、決定に至る思考を導いた微妙な事柄に気づいていないかもしれない。

 上述のフィンテック企業のチームは失敗の後、クライアントを訪ねて、競合相手を選んだ理由を尋ねた。そのおかげで、チームはどのように商品の違いが認識されているかについて、詳しい情報を得られた。もう一度売り込もうとするのではなく中立的な会話をして、クライアントが情報を提供しやすい環境をつくった。敗北の痛みはまだ消えていないにしろ、クライアントから直接得た深い洞察は、チームがその後、商品を調整するのに役立った。

* * *

 営業の振り返りを行うメリットは明白であるとはいえ、難しいのは、それをいつやるかを見定めることだ。

 組織は四半期の間に何百件、何千件もの取引を抱えることがあり、そのすべてが振り返りに値するわけではない。四半期末にまとまらなかった大型案件に限定する誘惑にも駆られる。しかし、筆者らの経験によれば、その時点ではまだ感情がたかぶっているので、たいてい、振り返りの効用は小さい。

 それよりも、各四半期にアカウントエグゼクティブ一人につき、最低一回の振り返りをすることが、営業リーダーにとって役立つことがわかっている。そうすることで、チームは会社の複数の部署にとって価値のある情報を収集できる。だが、おそらく最も重要なのは、この方法を続けることで、営業チームが振り返りとは関係なく、成功と失敗の原因を考えるように訓練されることだろう。

 リーダーが振り返りにどの取引を選んだとしても、振り返りがない状態から2〜3件になることは相当な進歩であり、Go To Market(GTM)戦略を変えるような知見がもたらされるだろう。上述のフィンテック企業は営業活動をより深く振り返ったことにより、商品を微調整し、営業チームのスキルを向上させ、主要な買い手に対する存在感を強めることができた。

 ほとんどのリーダーにとって、このフィンテック企業のケーススタディで達成されたようなインパクトを推進するには時間がかかるだろう。しかしその過程で、アカウントエグゼクティブは話を聞いてもらえたと感じ、営業チームの活動はより効果的になり、GTMチームはより適切に営業を支えるようになる。最終的に、リーダーは小さな敗北を大きな勝利に変えられるだろう。



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