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2023年09月08日08:51

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「アステロイド・シティ」

独特の作風で映画を撮り続けているウェス・アンダーソンの最新作だ。
前作の「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ〜」は、本当にダメダメでグズグズな作品だったが、今回は前回よりは持ち直していた。

スクリーンに映った司会者が、劇作家コンラッド・アープの新作舞台「アステロイド・シティ」の紹介を始める。
舞台は1950年、発明の科学賞を表彰するイベント「ジュニア・スターゲイザーズ」に集まった人々を描く作品だ。
司会者がキャストを紹介すると、作品の「アステロイド・シティ」が映画形式でスタートする。

アステロイド・シティは荒野のど真ん中にある、人口が100人足らずの小さな街だ。
だいぶ昔に隕石が飛来し、その時にできたクレーターと隕石のかけらが、街の唯一の特徴である。
そこで開催されるジュニア・スターゲイザーズのイベントに参加するため、カメラマンのオギーが発明賞の表彰を受ける息子のウッドロウ、そして三つ子の娘3人とともにやってきた。
乗ってきた車は故障してレッカーされていたのだが、修理工場で車は修復不可能だと告げられてしまう。
オギーは仕方なく、妻の父であるスタンレーに連絡を取り、娘3人を迎えに来て欲しいと依頼する。
だがオギーとスタンレーはあまり折り合いがよくない。
オギーは妻が亡くなった事を、まだ子供たちに告げていないからだ。
それでもスタンレーはアステロイド・シティに子どもたちを迎えに来ることになり、オギーたちは車から荷物を降ろして街で唯一のモーテルに荷物を運び込む。
その直後、次々とバスや車がやってきて、モーテルはすぐに満室となった。
全員、ジュニア・スターゲイザーのイベントの参加者とその家族である。

スクリーンには再び司会者が映し出される。
オギー役の役者が作家のコンラッドに会いに来て、オギーを演じるための助言を受けていた。
そして二人はキスをして別れる。

イベントが始まりウッドロウたち発明者が表彰され、その後天文台の博士が観測機器の説明を始めるが、それを見たウッドロウが、機器が地球外生命体の存在を表示しているのでは、と言い出す。
その後スタンレーも街に到着し、夜、参加者たちはクレーターで博士からアステロイドの説明を受けていた。
するとその空に宇宙船が現れ、全身が木の枝のように細長い宇宙人が音もなく降下してくる。
宇宙人は無言でその場にいた人を眺め、そしてやはり無言で隕石のかけらを持って飛び去ってしまった。
オギーはその宇宙人のカメラに収めていたが、米軍はこの事実を隠蔽しようとアステロイド・シティを隔離してしまう。

この監督独特の、カメラを動かさずほぼ固定の映像でシーンをつなげている。
役者たちはその画面の中で、演劇のように役を演じている。
各シーンごとにちょっとずつオチが付いていて、ショートコントをつなげたような構成である。
そこに今回は、「アステロイド・シティ」と言う演劇を劇中劇にして、その演劇を紹介するパートを組み入れている。
目新しさと言う点では評価ができる。
特にラストで、オギー役の主演と、本来はオギーの妻として出演する予定だったがシーンがカットされてしまった女優が会話をしているシーンは、なかなか面白い趣向だと思った。
ただ、劇中劇の「アステロイド・シティ」一つ一つのシーンのオチは面白いと言うまではいかず、全体的に淡泊な印象を受ける。
見終わった後は「なるほどこう来たか」とは思ったが、満足感は得られなかった。


74.アステロイド・シティ
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