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2023年08月27日20:14

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「SAND LAND(サンドランド)」

鳥山明の短編が原作で、発表されたのは2000年という事なのでギリギリ20世紀だ。
ネットでの評価が高かったので期待して観に行ったが、思ったほどの出来ではなかった。

ラオは砂漠の街の年老いた保安官だ。
川は干上がり世界中で水が不足していて、国王が販売する高価な水しか手に入れるすべはない。
その水を運ぶトラックも、しばしば悪党たちの襲撃を受けていた。
人々は家畜に飲ませる水もないと苦情を言うが、ラオにも打つ手がない。
だがラオは、ウォーター・フィンチという野鳥を見かけていた。
ウォーター・フィンチは淡水魚を餌としているため、どこかに淡水魚が住む水源があるに違いないと考えていたのだ。
ラオは単身魔族の住処に乗り込んで、水源探しを手伝ってもらえないかと依頼をする。
水源が見つかったら人間と魔族が共用し、なんなら魔族が水源を住処にしてもいいと、ラオは提案した。
魔王族の長サタンの息子ベルゼブブが対応し、サタンはベルゼブブにラオを手伝うよう命ずる。
ベルゼブブは魔族のシーフを伴い、ラオと3人で水源探しの旅に出た。

だが旅に出ていきなり、砂漠の怪物ゲジ竜の襲撃を受ける。
3人はなんとか逃げ切ったが、荷物も燃料も失ってしまった。
さらに盗賊に襲われ、ジープも破壊されてしまう。
3人はパトロールをしていた国王軍の戦車を奪い、なんとか旅を続ける。
奪った戦車の無線を傍受すると、ゼウ将軍がアレ将軍にラオたちを水源に近づけさせるなと命令していた。
そしてラジオで国民に、ラオたちを見つければ報奨金を出すと伝えた。

その夜ラオはベルゼブブとシーフに、自分の本名はシバという名でかつて国王軍の将軍だったことと、ゼウ将軍からピッチ族が破壊兵器を作っているので攻撃するように命を受けたが、攻撃中に大爆発が起き、たくさんの人間を殺してしまったと告げる。
ピッチ族はおろか味方にも大きな被害が及び、ラオの妻もその爆発に巻き込まれて死亡していた。
その話を聞いたシーフは、ピッチ族は心優しい種族で破壊兵器を作ることは考えられない、そうではなくアクアニウムを使って水を生み出そうとしていたはずだ、アクアニウムは危険物質でもあるのでそれに引火して大爆発が起きたのではないか、と言った。
そして、ピッチ族が水を作り出せば国王の水商売は成り立たなくなるので、それをラオに阻止させようとしたのではないかと推測する。

基本的には、「友情、努力、勝利」の「ジャンプ三原則」作品だ。
真面目一徹のラオ、強めに天然が入った主人公のベルゼブブ、狂言回し的役割のシーフのトリオで旅をさせ、やはり天然強めの変な衣装の盗賊スイマーズなどが笑いの部分を担当する。
途中で登場するアレ将軍はかつてのラオの部下の息子で、真実に気づいた後はアシストをしてくれる。
典型的な、鳥山明作品のフォーマットである。

ただそれが面白いかと言われると、正直ちょっと既視感が強く期待したほどではなかった。
「ドラゴンボール」以降、「ワンピース」をはじめ鳥山作品以外でも世界観が似た作品が多い。
かつ、バトルシーンもだいたい展開が読めてしまい、それほど力が入らない。
そのあたりは作画の演出で盛り上げようもあったのかもしれないが、この作品は鳥山明テイストを強調するためか、原作の漫画を見ているかのようなスタティックな描き方であった。
「THE FIRST SLAM DUNK」も同様にスタティックな印象があったが、背景と人物でコントラストを付けたり、スローモーションやアップ、無音を多用するなど演出にメリハリがあった。
「SAND LAND」は意識してメリハリを少なくしたのだと思うが、それが良くない方に出てしまったような気がする。

ストーリーがシンプルな分、やはりもう少し演出を強めにした方が、良かったのではないかと思う。


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