映画『「13号待避線より」　その護送車を狙え』鈴木清順

鈴木清順の1960年の白黒アクション映画。地味なキャスティング。渡辺美佐子が若い。小沢昭一が若いチンピラ役で出ている。

護送車が襲われ、看守長の多門（水島道太郎）に停職命令が出されるが、自ら犯人探しに乗り出す。この多門のキャラクターが曖昧で弱く、事件の真相を探る動機もハッキリしない。護送車に乗っていて保釈された小沢昭一を追って多門は熱海へ。旅館でストリッパーたちのショーに乗り込むと、裸の女の乳房に弓矢が刺さって殺される事件があり、地元のヤクザの幹部（安倍徹）たちの暗躍ぶりが示唆される。その組長の娘の渡辺美佐子が、妙に多門に近づいて来たり、小沢昭一の殺人事件の偽装工作や、倉庫での銃撃戦、タンクローリーで爆発死しそうになったり、テンポよくいろんなことが起きる。しかし、どれもご都合主義的で、やや安直な展開。荒唐無稽なアクションシーンだけが繋がっていく感じ。車と列車の並走する走行シーンなど、車の走りが多い。清順が好きそうな夜の線路での銃撃アクションが唯一の見どころか。ラストはサングラスの黒幕が組長(芦田伸介）だったと驚きの登場となるが、観客は置いてきぼり。線路に男の靴が挟まって身動きが取れなくなる中で、蒸気機関車が近づいてくる。それっぽいハードボイルド風ながら、ストーリー展開に緊迫感も説得力もない。

1960年製作／79分／日本
原題：Secret Gold
配給：日活

監督：鈴木清順
脚色：関沢新一
原作：島田一男
企画：茂木了次
撮影：峰重義
美術：坂口武玄
音楽：河辺公一
録音：高橋三郎
照明：安藤真之助
編集：鈴木晄
キャスト：水島道太郎、渡辺美佐子、小沢昭一、白木万理、芦田伸介、安部徹、内田良平、長弘、久松晃、弘松三郎、古田祥、松下達夫、花村典克、新井麗子、夏今日子、山本かほる、福田トヨ、初井言栄、野呂圭介、青木富夫、久木登紀子、福田文子、花柳礼奈、上野山功一、岩崎重野、高田栄子、横田陽子、柴田新