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2023年01月28日16:57

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8 1/2 (はちかにぶんのいち)

8 1/2という映画を見た。
この映画は50年以上前の学生時代に新宿にあったアートシアターで見た。
監督はフェデリコ・フェリーニで出演者はマルチェロ・マストロヤンニ、アヌーク・エーメ、クラウディア・カルディナーレなどである。
フェリーニの代表作だが、断片的にしか覚えてない。昔この映画を見て何を感じただろうか。
話の筋などはほとんどなく、夢と幻想と現実、映画のセットと実地が複雑に入り混じって前衛映画のような映画だ。

あらすじのようなもの
 映画監督のグイド(マストロヤンニ:フェリーニの分身?)が次作を作ろうとしているが、構想が浮かばず苦悩している。回りにいるスタッフや俳優たちはどのような作品になるのか自分の役は有るのか無いのかグイドに訪ねるがグイドは説明できない。
 役者や踊り子たちが役が欲しいと集まってくるのをあしらいながら、プロデューサには卑屈な挨拶をする。

 制作構想に苦悩する映画監督のちょっとしたことで思い出す少年時代や様々な妄想が入り混じった映像は今回見直して解ってきたような気がする。
 昔はたぶん難解な前衛映画のような捉え方をしたように思うが、年を取った今見ると、少年時代の思い出やハーレムを支配する妄想などを映像化したものであり、妻ルイザ(アヌーク・エーメ)とは冷え切ってお互いののしりあうが、妄想の中では妻はハーレムの床磨きをしている。
 中年男の切ない夢や妄想が感じられる映画である。

 ラストシーンはロケーションでしつらえた巨大なロケット発射場で撮影を開始しようとするが構想が浮かばず、プロデューサは制作をあきらめ取り壊しを命ずる。
 この映画の登場人物たちが発射場の階段をゾロゾロとおりてくる。グイドはメガホンで皆に踊るように指示する。
 するとちょうどサーカスの舞台と観客席のあいだの是の低い仕切りの上を皆が手をつなぎ踊る。グイドもその中に入り踊る。

クラウディア・カルディナーレが出ているが彼女はこの映画でどのような役なのか判然としない。
おそらく理想の女性といったところか。
彼女とのやり取りは。
”すべてを捨てて人生をやり直すことが出来る?”と問いかけると彼女から”あなたは?”と聞かれ”出来ない、すべてが欲しく、また捨てられない”と答える。

発射場から降りてくる女たちを見てグイドは突然幸福感に満たされる。女たちに謝り、
”ルイザ、自由になった気がする。すべてが善良で有意義で真実だ。説明したいができない。すべてが元に戻り、すべてが混乱する。この混乱が私なのだ。夢ではなく現実だ。もう真実をいうのはこわくない。生きてる気がする。人生はお祭りだ。一緒に過ごそう”
と言う。
ルイザは”出来るかどうかわからないが手を貸して”と言う。

皆で手をつなぎ輪になって踊るところで映画は終わる。

だれしも中年になって仕事に追われているときふとしたことで昔を思い出したり、夢が浮かんだり、妄想したりすることがある。この映画はそれらを映像化したようなもので、見るとグイドの苦悩がわかりすこし切なくなる。

この映画はフェリーニの代表作であるが、8 1/2 とはフェリーニがそれまでに再作した映画が8本と1/2(合作)という意味である。
フェリーニの映画は何本か見ている。思い出すのは「道」「魂のジュリエッタ」「甘い生活」などである。
「道」「魂のジュリエッタ」にはフェリーニの妻であるジュリエッタ・マシーナが出ている。
「甘い生活」については以前書いたことがある。
 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1979280251&owner_id=39904538
このなかで「8 1/2」はもう一度見たいと書いていたが思いがかなった。

フェリーニは芸術映画の巨匠として世界中の様々な芸術家たちに影響を与えている。日本でも影響された人たちが何人もいる。

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