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2023年01月26日21:52

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スーク・ワーキフとMuchachos

「ワキーフ」と書くべきか、「ワーキフ」と書くべきか、よくわからない。
カタカナのガイドはすべて「ワキーフ」となっているけれど、アラビア語では「ワーキフ」と読む方が自然だと思うのだが。

ドーハ観光のメッカ(おや、こんな表現はカタール人には受け入れられないかもしれないけど)は、スーク・ワーキフ一択であろうと思われる。
2,3,4が無くて、あとは美術館かショッピングモール、あるいは海辺の散歩道から湾の対岸の高層ビル群を眺める、という感じか。
きっとそのうち、水族館ができたり、スキー場もできるかもわからないが、何しろ本当に小さな国なのでね。

さて、スークとはアラビア語で「市場」、ペルシャ語でいう「バザール」(これも「バーザール」という方が本当っぽい)だ。
TVでよく、イスタンブルのグランド・バザールや、マラケシュの市場なんかが映るけれど、スーク・ワーキフもまぁ、あんな感じだ。
迷路のように入り組んだ路地に、お土産物や衣類、生活用品を商う小さな店が密集している。
ただしドーハのスーク・ワーキフは、先日少し書いたように百年ほどの歴史しかなく、しかも20年前に一度火災で燃えてしまい、これから対外的な国作りをしようと思っていた政府(=首長)が、首都たるもの人々が愉しげに集まる賑やかな場所が必要であると考えたのか、かつてのアラビア湾沿いの港町のスークの雰囲気を再現するような形でこのスークを再建した、そんな市場だ。
だからある程度は計算された迷路であり、清潔なトイレも完備している。

世界中にあるスークやバザールと比べて大きく違っていたのは、肉・野菜・魚などの生鮮食品を商う店がないことだ。(少なくとも私は見かけなかった。)
なにしろこの国には、畑も牧場もないはずだから。
郊外の農場のオバチャンが、絞りたてのミルクやもぎたてのリンゴを売りに来る、なんていうわけにはゆかないのだ。
そして食べ物や飲み物は、路地のスークの外に面した広いエリアにあるレストランでしか提供されない。
レストラン以外には、先日書いたクレープやアイスクリームの屋台が何軒かあるきりで、スークに隣接した広場で買い食いしてゴミをぽいっ!みたいなことは起こり得ないしくみになっていた。
(それでもちゃんとしたゴミ箱は設置されており、常に箒とチリトリを携えた掃除人が巡回しているので、何千人もがたむろしている広場にはひとつもゴミが落ちていないのだ。)
つまり、スーク・ワーキフに来てお腹がすいたら、世界中の料理を出すレストランのどれかを選んでテーブルについて、クレジットカードでお支払いをするしかない、というわけだ。
買い食いができない、という点で、「旅の醍醐味は市場にあり」と豪語する旅の上級者諸氏からは落第のハンコをおされてしまうかもしれないな。


実際にこのスークをうろうろしてみるまでは、ここは観光スークなのかとばかり思っていたのだが、そういうわけでもないらしかった。
あきらかに地元の「カタール人」をターゲットにした服地専門店が多くあり、それから籠に入った色とりどりの鳥や小動物がズラリと並べられた一画、そして多分その奥にだと思うが、鷹専門のマーケットもあるはずなのだ。
そこは、カタール在住の男性しか入れないと聞いたことがある。
それから、鍋や釜などの大型調理用具、椅子やベッドなどの家具を商う店もある。
これらはどう考えてもカタールの住人がターゲットに違いない。
見たところ、観光7、生活3という比重ではないだろうか。


アラブの文化に、香は欠かせないようだ。
スークの中には、数多くのパフュームショップがあった。
香木、香水、練香、線香。
そして、どれも欲しくなるようなエキゾチックで煌びやかな香炉の数々。
スークの内部でも、そこかしこで、煙を上げながら香が焚かれていた。
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右端の小ぶりの香炉の方がわかりやすいかな。

だから、スークのどこを歩いていても素敵な香りが漂っている。
しかも(私は匂いにかなり敏感で、デパートの1階は鼻をつまんで頭を下げて、目を瞑って歩くほど苦手だというのに)煙かったり、頭が痛くなったりということが全くなかったのはどうしてだろう。
バングラデシュからやって来てもう40年も店をやっているというカシムさんの店で、香のブレンドを買った。
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カシムさんとお喋りしていて、どれがお勧めですかと聞いたらこれだというので、本当はせっかくアラビアに来たのだからオマーン産の乳香でも買ってみたいななんて思っていたのに、これにしてしまった。(ちょっとディスカウントしてもらって30QR)
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乳香もそうだが、この種の香は、香炉で焼けている炭の上に落として、煙を出して焚いて薫らせるものだ。
我が家にはそんなインフラはないのだが、なんとなくカシムさんと旅の記念に購めてしまった。
今は、時折り壜の蓋を開けて香りを懐かしむくらいにしているが、そのうち香炭を手に入れて、ちょっとだけモクモクさせてみようかな、なんて考えている。


ワールドカップ。
世界中から、老若男女のサッカーバカに加え、良識も備えた観光客が何十万人も集まってくる人類の祭典。
彼らは、ひと月の間に確実に一回はここにやってくる。(私は三回行った)
そして、そんな彼らを見越して作られたアホな土産物がたくさん作られ、大量に買われてゆくのだ。
ここカタールではホテルなど特定の場所以外での飲酒は厳しく禁じられているため、スークにどれだけ人が集まろうとも、酒を飲んでバカ騒ぎをする者は皆無だ。

ただし、酒を飲まずにバカ騒ぎをする連中はごちゃまんといた。
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カシムさんの店のすぐ近くで、アルコール抜きで、夕方から夜中まで、もしかしたら、いやきっと朝まで歌い続けるアルゼンチンのサポーターたち。
この先は、騒ぐ連中のおかげでほぼ通行不能。
彼らに酒は不要だった。
いやむしろ、奴らに酒なんか飲ませるのはもったいない。
「サッカーにビールは欠かせない」と、世の中の人々はさも真理を語るかのようにのたまうが、これを見れば考えも変わるだろう。
酒は、サッカーの本質からさほど近くはないのだ。

こういうバカ連中は、私が目撃したところではアルゼンチンに限られていたのだが、彼らは地下鉄の車両の中でも同じ行為を繰り広げ、迷惑なことこの上ない。
別に述べるかもしれないが、今回は開催国カタールの人権政策などについてヨーロッパ諸国からはボイコットに近い対応があったため、カタールに集まってきた観客の中で、ヨーロッパ人の比率は極めて低かった。
そんな中、マナーの悪さではまんまとトップの座を射止めたアルゼンチンの、しかしその代表チームが、小狡くて上手くて汚くて鮮やかで、私は大好きなのですけどね。


アルゼンチン代表の応援歌「Muchachos(若者たち)」が、アルゼンチンのサポーターのたむろする処では必ず聞かれた。
スタジアムで、メッシたちが両腕を広げてサポーターと一緒に歌っている映像をご覧になった方も多いだろう。


なかなかいい歌詞です。
ネットで拾った訳にちょっと手を入れてご覧にいれます。

==Muchachos ==

俺はアルゼンチンで生まれた
ディエゴ(マラドーナ)とリオネル(メッシ)の国
マルビナス(フォークランド)の若者たちの

俺は決して忘れない
でも君に説明はできない
なぜなら君には理解できないだろうから
勝てなかった決勝戦
何年嘆いたことか

けれどもう終わった
南米選手権マラカナンでのブラジルとの決勝
俺たちは再び奴らを倒した

Muchachos
さぁ盛り上がろう
3度目の優勝にむけて
世界チャンピオンになるんだ
天国でディエゴに会える
ディエゴの両親とともに
リオネルを応援する

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