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2022年12月11日11:24

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瓢箪から人生[読書日記912]

題名:瓢箪から人生
著者:夏井 いつき(なつい・いつき)
出版:小学館
価格:1,350円(+税)(2022年9月 第4刷)
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マイミクさんが褒めていた夏井いつき先生のエッセイを読みました。
全部で45編のエッセイが収録されています。

帯の惹句を引用します。
“俳聖バショーさまは、人生を旅になぞらえたが、旅とはさまざまな
 人と出会い、さまざまな出来事に遭遇することでもある。我が人生
 において、がっぷり四つで強い影響を与えてくれた人、袖振り合っ
 ただけの人から教えられたこと等を書き留めてみるのも、還暦を過
 ぎ、いよいよ高齢者として歩む人生の道標となるやもしれぬ。そん
 なこんなの人生の徒然を記してみようと思う。”

印象に残った文章を6つ引用します。
1.《俳句王国とバンさん》から、松山が俳句の都であるという話。
“俳句の都松山、俳句王国愛媛。なぜこのような呼び名があるのか。近代俳句の祖といわれる正岡子規は、松山の生まれだ。俳句革新運動を推し進めた子規自身はいうまでもなく、子規の近くに住んでいた弟分が高浜虚子と河東碧梧桐。この二人が、伝統的な俳句(虚子)と無季俳句をはじめとした新しい俳句(碧梧桐)の流れを作っていったのだ。”(30p)
 ⇒恥ずかしながら、松山が俳句の都とは知りませんでした。

2.《誰が呼んだかYouTube婆》から、夏井先生がSNSを知らなかった話。
“正直なところ私自身もYouTubeとやらはよく分からない。観ることもない。それ以前に、スマホも持たない、テレビもあまり観ない。フェイスブックとラインの違いも分からない。SNSという三文字を見る度に、私の脳がNASAと誤変換していた時期も長かった。アメリカ航空宇宙局、なんか最近頑張ってんなあ、と。”(65p)
 ⇒私も友人から無理矢理薦められるまで、携帯電話をスマホに変えませんでした。

3.《ケンコーさんと蛍草》から、夫ケンコーさんが肺の腫瘍摘出手術を受けた時の話。
“手術が終わり、ICUに移されたと連絡が入る。私たちは別室にて主治医から説明を受ける。「幸運なことに、腫瘍は真ん中の肺にあって」と、先生が描く右肺は三つの部分に分かれている。「右肺が三つ? 夫は奇形なんですか?」「いや、誰でも右は三つです」と、苦笑する先生の言葉に驚く。知らなかったよ、そんなこと。”(101p)
 ⇒私も、この歳まで知りませんでした(苦笑)

4.《ローゼン夫妻と蜘蛛》から、妹がアメリカ人のチェリストと結婚し、夫婦で松山の自宅に来た朝の話。
“翌朝、私たちはチェロの音で目が覚めた。
(妹の夫ナサニエル・ローゼンの)朝の練習が始まっていた。義弟は、私たちに礼儀正しく挨拶をし、タタミマットの寝心地やショウジスクリーンに透ける朝日の美しさについてえ語っているらしかった。”(107p)
 ⇒ちなみにナサニエル・ローゼン氏はアメリカ人として初めてチャイコフスキー国際コンクールで優勝したチェリストとのことです。

5.《始まりは俳句の神様の気まぐれ》から、『プレバト!!』初回の話。
“(『プレバト!!』の)初回収録で、今でも鮮明に覚えているのが、目の前のモニターに映るハマダさんが、何度も何度も「俳句おもろー!」と、卓を叩きながら爆笑する姿だった。面白がってもらてると、こっちもやる気になる。テンションも上がる。”(219p)
 ⇒ダウンタウン:ハマちゃん(浜田雅功さん)の進行の上手さは、今年、彼がコロナ罹患で休み、代役が司会した時に実感しました。

6.《「うみいづ」の物語》から、父親が亡くなったあとの話。
“クラハシ先生は、親しい人の死を受け入れてゆく方法を教えて下さった。無心で手を使うこと、何らかの方法で心を吐き出すこと、自分の悲しみを誰かと共有すること。それらは、自分の心を悲しみの沼に沈ませてしまわないための大事な手立てなのだ、と。”(294p)
 ⇒お父様が亡くなられた頃、学校に勤めていた夏木先生を先輩のクラハシ先生が陶芸用粘土で何か作ることや、手作りの詩集を作ることを薦めて、救ってくれたエピソードです。

ところで個人的なことですが、夏井先生の母校が宇和島東高等学校であると72pにあり、驚きました。同校(戦前の旧制宇和島中学校)が私の父親の出身校だからです。
そんな偶然も、本書が語る“偶然の出会いが人生を形作っていく”に大きく同意する気持ちにさせました。

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夏井 いつき(なつい・いつき)
1957年愛媛県生まれ。松山市在住。俳句集団「いつき組」組長。
京都女子大学文学部国文科卒業後、八年間の中学校国語教諭を経て俳人へ転身。
「第八回俳壇賞」「第四十四回放送文化基金賞」「第七十二回日本放送協会放送文化賞」「第四回種田山頭火賞」受賞。創作活動に加え、俳句の授業「句会ライブ」「俳句甲子園」の創設にも携わるなど幅広く活動中。MBS『プレバト!!』俳句コーナー出演をはじめ、多くのメディアでも活躍。2015年より初代俳都松山大使。句集に『伊集院 龍』『伊集院 梟』『伊集院 鶴』がある。

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