続き
ただ、男の一人っ子に関して言えば、確実に俺は「そいつ」とは使わない。アイツもおそらくないだろう。使うとすれば『コイツ』である。
それは何故かと言えば、⓵そもそも俺と二人で喋っている時に、わざわざクソどうでもいいヤツのことなど、話題に出すだろうか。答えは言うまでもない。なので『そいつ』はない。
⓶アイツもないだろう。そもそも心理的に遠い所にいる人間に対して、少なくとも俺に関して言えば、認知することはない。無論、二人以上で話している時であっても、『アイツ』などとは、おそらく口にしない。「そいつ」以上に、単純に俺の認識の遠い外にいるのだから、なので『あいつ』も却下である。そもそも親しくない人間と、進んで関わる方がおかしいだろうが、という話であった。
��では、『コイツ』というのは、少なくとも、対象が俺のすぐ側にいる状態であろう。俺は進んで、『他者をダシに使う、クソどうでもいい人間』の接近を許すこともないし、向こうもそれは同じだろう。どうして、俺に絡む、というかダシに使う必要があるのか。もっとも向こうの状況というのは定かではないが、すくなくとも進んで『関わる』というのは、そもそも前提として『不自然な』行いであると言わざるを得ないのであった。
私はここで、ある事を思い出した。
人は、どれだけ人間性が良くて、思いやりを持つ人間であったとしても、
何か些細な事は発端になり、歯車が狂い、行き違い、やがて取り返しのつかない事態に発展していくのである。
そこには、往々にして、どうしようもないクズがいた。
私の思うクズというのは、それはもう「自分が一番恐れている状況を、他者に押し付けて何ら罪の意識を持たない人間」の事である。
今ならよく分かるが、その手の人種は、私からすると、何がどうあっても「一線を越えた」人間であり、有難いことに勝手に一線を越えてくれたので、周囲が早晩味方することもなく、都合の悪い事には責任持たず、『ビビッて逃げる』って事を、正に体現してくれるような、すがすがしいまでのクズであった。
だが、当時の私は良く言えばピュアであるが、悪く言えば、危機管理能力のなっていない、はっきり言って、人に嫌な事をしないという事を信条としている点というだけで他とは異なっているタイプの阿呆に他ならなかったのでる。
私が一肌脱ぐとか、しんどおことを進んで引き受けようとするという点で、自己満足に浸っているのは良いだろう。
ただ問題は、『その手のクズ』が、まさに俺という人間に不利な役割を押し付ける、要は「一線を越えた時」俺は一体、どう対処すべきであったのであろうか。
早い話、こいつらが居たことが、そもそも許されざるべき出来事である。
どんな人間でも生存権があるから、勝手に生きればいい。ただ、俺に不利を押し付けた以上、仁義を破ったボケには、きっちり制裁をくらわさなくてはならなかったし、その考えを僕が持っている時点で、やはり私にスジは通っている事の証左であろう。
コイツって使ったのは、その当時、私が「クズと一体化」するような状況を、延々と三軒してしまうような心理が働いていたからだ。そしてアイツと言わないのは、そもそも他人の事で、他者と結束する必要はないし、別にアイツって人間に対して、私は憧れも嫉妬もまるで持ち合わせていなかった。ただただ、『早く消えろ、クソカスが』ぐらいにしか思っていなかったのだから。
なので、『そいつ』を使うってのが、一番現実に即しているのかもしれないが、そもそも私の中で「男の一人っ子」に好意的に接することなど皆無なので、そいつも使うことはないだろうか…
もし、何かあるとすれば、それはもはや『存在を忘れる』以外にないのではないだろうか。少なくとも、私に親切な女性が私に優しく接してくれる限り、『そいつ』ってのは、存在しなくなる、僕の中では。
そして最後に、もし願わくは、俺が人に偉そうにできるような身分ではない、どうしようもない人間というのは十分承知しているし、もし他人に感情的に暴言や暴力を行使し譚もであれば、どんな動機であれ、その報いは受ける、と誓っている。
ただ、それは全然引き受けるのは構わないから、
『一線を越えて、私を殺しにかかった』クズだけは、シバき回すことで、殺すつもりで追い込むことを叶えさせて欲しいのである。他の望みは、多分ほとんどいらないだろうって、現時点では思えるレベルで、これから一生、その場凌ぎの『怒り』では無論なく、
『腹水盆に返らず』って言うレベルのキレた状態で、事に及べるようにしてほしい、と他力本願に考えてみたのであった。
「怒る」と「キレる」の違いはとうと…
率直に言って、その状況が終わったとき、相手の目から視線を逸らさないでいれるかどうか、である。要するに「眼を見て話せ」である。
俺は一向に構わないし、その状態で、とことん「ソレ」に「死の恐怖」をずっとアジアさせるつもりだ。
他人にそうした以上、自分がされても仕方がない、とはいうが、それは俺じゃなくて、ソイツの方だろう。
それで、そいつは俺の目を見て話せるのか、その「俺の心の病気」が完治し、気兼ねなく、正当な暴力を、というか報復が行使できるとき…
男の一人っ子の弱点と言いうのは、もう一重に「ピンチに気づかず、ヤバい事になった責任を取らず、相手の凄まじい火力の怒り(それが、タイミングによっては『キレる』と同義であろう)」を以て迫ってきた時、同じように、一歩も引かずに戦える…なんて事は、ほぼ皆無だろう。確率で考えてみよう、俺がターゲットを仕留めるために行動に移していく可能性と、それが俺を、正当な理由なく、返り討ちに出来る可能性を考えた時、
言うまでもなく、そいつの未来が「笑えないことに」なるという事は、今現在の私には、以前よりも遥かに容易に想像できるようになっていったのであった。
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