「結―妹背山婦女庭訓波模様」「DDD」「謀聖　尼子経久伝」「六人の嘘つきな大学生」『すべての不調は足裏を見ればわかる！』「アド・バード」

ハワイの情報誌「ライトハウス」掲載イラスト

「結―妹背山婦女庭訓波模様」大島真寿美著。
江戸時代中期の大阪で人形浄瑠璃の作家や絵師の連作短編集…かと思いきや、才能ある戯作者の娘に作品を書かせようと周囲の人々が計画するストーリー。地の文の説明セクション、会話セクションに分割された文章。会話が残部関西弁なのは関西圏には読みやすい

「DDD 1」那須きのこ著。
通称悪魔憑きによる事件が勃発。悪魔憑きとは感染者の精神から発し肉体に異形をもたらす奇病。左腕を失った主人公は黒い義手義足を持つ四肢のない寝たきりの美少年と契約し、彼の義手を借りて悪魔祓いを行う。主人公の入院時の回想が平行され人称トリックのミステリ要素もあり

「DDD 2」那須きのこ著
主人公の最初の悪魔祓いの話。SVSと呼ばれる打者と投手のみの野球ゲームで「シンカー」と呼ばれる悪魔憑きによる連続殺人事件が起こる。主人公の友人は天才野球選手であり、同じく才能のある幼馴染がいた。ふたりの対決シーンの文章がいい。次回作への引きですごいとこで終わる

「謀聖　尼子経久伝」武内涼著
戦国時代の中国地方で「中国の三大謀将」の1人と称された尼子経久の物語。京都から出雲国に戻った若き尼子経久こと又四郎は領主達に領民の苦しみを知り領主に在り方に疑問を持つ。前半には彼を慕う子供達を取り立てたり、初恋相手を思いつつ助けた女性と恋仲になったりと等身大の姿が新鮮。しかし、彼らを襲う運命が経久を戦国武将として目覚めさせてゆく。600余ページの大ボリューム。

「六人の嘘つきな大学生」浅倉秋成著。
IT企業ノ最終面接に残った6人は議論で1人を決めることになる。しかし6人の暗部が書かれた封筒が届けられる。落ちた者たちの証言が挿入され、受かった1人による真相探しが後半。イヤミスと思ってたらヒューマンドラマでした

『すべての不調は足裏を見ればわかる！』鈴木きよみ著
足ツボの位置と対応する体の位置、足の皺による身体の不調、症状による足つぼの刺激の仕方など、詳しく解説されている。写真が満載でわかりやすく実用的な本。足の裏の写真が大きくてどこをどうしればいいのかもそれぞれ図解。肩こりやむくみなど、早速試してみたいツボがある。

「アド・バード」椎名誠著
主人公兄弟は捕縛された父を探すためにマザーK市に旅立ち、途中で会った広告アンドロイドと行動を共にする。生物を改造した広告戦争の果てに廃墟都市となった未来が舞台。野生化した改造虫や、海や陸を進む絨毯生物、人の脳を持つ鳥など登場。ディストピアというには陰惨さはない。現在放映中の「錆食いビスコ」関連で書名が出たので読んだ一冊。イメージが似てるかも。1997年の作品だけど今も広告社会だし古さは感じない。でもこの時代は漫画でディストピア世界旅物って結構あったかも。トライガンもそうね。もっと遡って1980年代ならナウシカ、北斗の拳、バイオレンスジャック、とかはっきりとディストピア未来物になるかな。