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2021年11月04日03:25
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『すこたん』by serial number
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10/31(日)＠ザ･ポケット(中野)
14:00〜16:00
作・演出：詩森ろば(原作:伊藤悟・簗瀬竜太全著作）
cast：
鈴木勝大／近藤フク(ペンギンプルペイルパイルズ)
根津茂尚(あひるなんちゃら)／佐野功
大内真智(水戸芸術館専属劇団ACM)／中西晶
辻井彰太(シヅマ)／工藤孝生
河野賢治／吉田晴登
ｾｸｼｬﾙﾏｲﾉﾘﾃｨ支援団体｢すこたんソーシャルサービス｣の設立者で
長年のパートナー伊藤悟さんと簗瀬竜太さんをモデルに、
20年来の知人でもある詩森ろばが書き下ろし2020年に公演の新作
…のハズ、だった本作がコロナ禍で上演叶わず、
その後もおふたりと対話を続け、いちから書き直し、
まったく違う作品として生まれ変わり､今公演に！
1990年から2021年までの伊藤悟さんと簗瀬竜太さんの30年を
近藤フクさんと鈴木勝大さんが演じ､物語の軸とし、
彼らと関わった多数のゲイのカップルの
恋だったり恋じゃなかったりする様々なエピソードを､
８人､4組の男性カップルが舞台上に描き出す。
「パートナーシップ制度等は整えられつつあるが、
いまだかわらない現状もあり、
しかしその中で、寄り添い合うことだけが
わたしたちを生かしてくれることという、
愛おしさと痛みの物語｡｣
とは、本公演HPに挙がっている言葉だけれど、
彼らの日々は､そんな簡単には語れなかった。
まず、ひとくちにゲイと言っても､多様である。
肉体の性と心の性が不一致で同性を愛する人、
肉体の性と心の性が不一致で異性を愛する人、
肉体の性と心の性は一致するも同性しか愛せない人、
肉体の性と心の性は一致し､同性も異性も愛せる人…
舞台に登場するのは、
｢男の子が好きな男の子｣たち。
始め、舞台、背景に立つ｢時の樹｣に､
1990､2000､2010､2021と年号が刻まれている。
そして､語られるエピソードから
｢すこたんソーシャルサービス｣の歴史が足されていく。
彼らの人生は､まず自分を疑い､否定することから始まる。
次に､｢親｣が彼らに立ちはだかる。
自分らしく生きるための最大の障害として。
好きになった人が同性であるというだけで、
彼らの恋は社会的に認知されない。
時によっては､想う相手に嫌悪すらされる。
なんと切なく哀しいことだろう。
そして､社会の無知､無神経さが､
たとえ悪意はなくとも､彼らを苛む。
私には彼らマイノリティの感性はワカリようがないが、
その｢違い｣によって､嫌悪したり否定したり拒絶したりする気は
毛頭無かった！
でも､知らなかったなぁ〜〜。
いくつものエピソードから伝えられる彼らの日々。
送り込まれた彼らのツラサで､心臓が痛くなるほど。
多数派である私には想像できないほど
彼らは繊細に､慎重に恋をする。
そして出逢ったパートナーとの関係を
大切に大切に育てていく。
失ったら､再びパートナーと出逢う為に
膨大な手順を掛けねばならないから。
彼らに比べ、
私はなんと“ガサツ”に生きている事だろう？
パートナーとの関係など､粗雑に粗略に乱暴に扱い
適当な所で妥協して､心地よく暮らし人生を謳歌して居る。
たしかに､多数派の我々も､
常に､何の苦労もなく｢自分が自分で居る｣のは難しいけれど､
彼らの比ではない。
最近、諸手続き上の性別で､男・女 以外の記入欄ができ､
あるいは､記入拒否も容認され、
米国のパスポートの性別欄は、F､M､X いずれかが
表記されることになったらしい。
新たな社会は、
音や色のように､人間の｢性｣も､
♂−−−−−−♀の間に
無限の目盛があることを認め始めている。
願わくば､
彼らが､本来の姿で堂々と生きていける世界が来るように！
＜アフタートーク＞ 16:10〜16:30
伊藤悟／簗瀬竜太 司会:詩森ろば
登場したお２人はごく普通のオジサン｡(笑)
まず感想を聞かれ､
・自分の分身を見ているよう。
デートする場所が無かったエピソードなど、
改めて自分を見つめ直した。
・４回目だがどんどんパワーアップしてる。
これに､詩森さん、
・肯定的に観てくれてありがたい。
・こんなに近い人をモデルに芝居を書いたのは初めて。
・脚本を書くことに自信を持たせてもらった。
お２人
・演者を見ていて､
当時の自分は未熟だったなぁ〜と。
・舞台とは｢自己開示｣なんだな。
詩森さんが聴いてくれたからこんなに話せた。
詩森さん
・｢つまらない話ですよ｣と仰る話がつまらなくない！
それこそが､舞台に載せると面白い話に。
取材時は､伊藤さんがシキリ､取材者の詩森さんがイイカゲン(笑)
お２人
・今ならしない事を昔はいろいろしでかした。
でも、それを演ってる演者を見てると許せちゃう。
・20代に劇化すると言われたらイヤだと言ったな。
2019年､千葉市でパートナーシップ宣誓制度が制定され、
その第一号の宣誓をしたのがこのお２人。
それで､病院で親族と同等の権利を認められた。
一歩前進！
・｢すこたん｣では大抵､簗瀬さんがアイデアを出し､
それを地道に続けていくのが伊藤さん。
地味でもやってきた事が､色々な縁に繋がり
今、こうして芝居にもしてもらえた。 意味があったんだ！
・完全創作の８人中､そこここに自分が居る。
・少年に告白されるも､｢しばし待て｣と止めた｢はや太｣
エライ！ 僕も見習わねば！(笑)
いくつものエピソードは､
ぶつかり合いを重ね、受け入れてもらえない部分､書けなかった部分も
多数ある中ここに落ち着いた物。
講演会で飛び交う､心無い発言に
心底疲弊し傷つくお２人… しかし､これはなかなか
他人には伝わらないと思っていたが、
詩森さんは見事に伝えてくれたとのこと。
・舞台とは｢可能性｣だね。
当初､あれもこれもと気負って語る伊藤さんの言葉を
詩森さんが取捨選択。絞って…
ただ書くのではなく人の間の関係性を書くことで
観る者に伝わる事を示唆。
最後には｢書いて欲しい事｣も｢書いて欲しくない事｣も
受け入れ合えて完成！
・伝えたいことを伝えられたのは詩森さんの｢台詞力｣
自分たちと会ってしゃべって､雰囲気や話法を取り込んでいった。
そして、その内面を理解して言葉にして発した演者たちも凄い！
プライベートをどこまで話してくれるか？
これは､お２人別々に取材したことで、
詩森さん、かなり収穫があったらしい。
「大切なのは、まず『自己肯定感』なんだよね｡」
伊藤さんのこの一言が、強く印象に残っている。
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