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p.260
西南方にアルタン・トプチ、ムングン・トプチという二本の大河がある。…
…ナンチュンの子ゲゲーン・ジュラとアルタの子アルタイ・セチェン両名に対して、ゲセルは五人の妃ハトンの側でしっかり待っているように命じた。
p.261
アルタン・トプチ河の源に首が二十一本あるランサク王という魔王の居城がある。…魔王の娶った妃は、九色に輝く美女サイハンチ・ハトンで、実はロクモ・ゴアの父センゲスルの親戚筋に当たる。妃には一女があり、名をサイフライ・ゴアと言うが、その容姿は天女達に比べていささかも遜色がないという〔サイハンチ・ハトンは夫のハーンを魔王に殺されて娘のサイフライ・ゴアと共に魔王に拉致されたのである〕。
p.265
ゲセルはその案を採用して、ゲレルテイ・セチェンを行かせ、自らも大軍の姿を見せて援護した。
p.269
「ゲレルテイ・セチェンが行ってから大分経つが、どうかしたのかな？」と、ゲセルが案じていると、バルス・バートルの子で菩薩の通力を具えたチン・ビシレルトが言った。
p.274
まさにこの瞬間、彼の背後から、シャライゴルの白帳ハーンの部将だったトルゲン・ビルワのその甥ダルタイが、黒帳ハーン・シマンビロージャ遺愛の鋼鉄剣で彼を切り捨てた。
p.283
当時、沈む太陽の下、ウラーン・マルガイ〔紅帽の意〕より向こう、アルタン・バガナ〔金の柱の意〕よりこちらの地方にウラガナという河があり、その河の源に十八本の首を持ち、四十八本の角を生やした、ゴンボ・ハーンと称する妖怪がいた。
p.284
その命令に従い、タスヒ、ダスヒという二人の勇士が精兵を率いて、ゲセルの十三の部落に攻め寄せ、その全人民を支配下に収めた。
p.286
その頃、ジャサ・シヘルは、ゲセルをいくら諫めても、相手が故郷へ帰ることをすっかり忘れてしまっているため、仕方なく、ゲセルのもとにサイン・セゲルテイの子ゲレルテイ・タイジとライチュプの子サラン・エルデニとを残して、自分は三十勇士を引き連れ、ゲセルに別れを告げて、故郷の方へ帰って行った。
p.287
ロクモ・ゴアの引いた籤は、チョトン・ノヤンの息子アルタに当たった。
p.288
ゲゲーン・メルゲン〔明智の意〕と付けるぞ」
p.289
シディ・バートル、アルタイ・バートル、ダライ・ノール、アルタイ・セチェンの四勇士が当籤した。
p.293
おれの名はサイン・セゲルテイ。父の名はエルデニ。母の名はウーレン・フルゲト・ハトン。兄の名はウグテイ・セチェンだ。
p.299
今度は、ゲトゥルゲクチ・トリ、ライチュプ、バルス・バートル、ゲレルテイ・セチェンが行くことになった。
p.302
かくして、ナンチュン、白鷹、ジャサ・シヘル、ボイトン、ゲゲーン・ジュラ、バムソヨルジャ、アスマイ・ノヤン、スブタイ・バートル、赤目、ダンタイ・バートルら十人の勇士が行くことになった。
p.311
妃達がまた籤を引き、今度は、バルス・バートルの子チン・ビシレルト、アスマイ・ノヤンの子ナチン・ションホル、シューミル、フルチ・バートル、アリグン・バートルが行くことになった。
…一行は更に前進し、後から加勢に駆け付けたアーナンダ・バートルと共に、魔王の叔母を焼き殺した。
p.312
かくしてアジュ・メルゲンと一緒に、ジャサ・シヘルの夫人ヒムスン・ゴア、シューミルの夫人ヨンハダリ・ゴア二人が行くことになった。
p.321
「侍女が行きずりの男との間に儲けた子じゃよって、チャプチクチ〔殺し屋の意〕と付けたよ」
p.322
サルマという名の家臣が料理を大勢の客に配るのにてんてこまいしているので、フデイ・セチェンはハーンの許しを得て、一瞬のうちに配り終えてしまった。
p.323
その声に応じて、タラバイとニスフという二人の力士が出て来て、相撲を取ったが、甲乙が付かない。
p.327
さて、魔王の部下に、五種類の化身を具え、一石一升の神米を食糧に持ち、荻を命の本の霊魂とする、ガルサンジャという名の男がいた。
p.333
ちょうどこの頃、瘋癲のシグルガチ・セチェンという魔王の別の勇士が、ナンチュンの子ゲゲーン・ジュラを討ち取ろうと、こっそりと樹木の間から忍び寄るのを、ジュラは気付いて、火矢を射た。
p.334
サイン・セゲルテイが二百人を斬って、更に前進するうち、魔王のチュルーン・ブフと呼ぶ勇士が立ち向かって来た。…チュルーン・ブフに加勢せんものと、魔王のシャラル勇士がその場に駆け付けた。…シャラル勇士がその軍中にいたシルテイ勇士に歯をがちがち鳴らしながら言った。
p.336
既にこの間に、ジャサ・シヘルがアーナンダ・バートルを従え、シャラル勇士の背後から忍び寄っていて、ジャサ・シヘルが、今しもシャラル勇士に加勢に来たジェス・フゲルゲチを狙い、アーナンダ・バートルがシャラル勇士を狙っていっせいに矢を射た。
p.344
ハンガイ・ハルガナ山にナチン・ハーンと号する魔王が住んでいた。…
ハーンがこのように言ったとき、大臣達の中からジステイ・セチェンという男が進み出て、ハーンの前に跪いて言上した。
p.345
シルグルジン・ハーンには三人の姫がいると言います。その二番目の姫マハー・マーヤ・ゲレルテイ・ゴアが美人と聞きます。…この東方では、聖チンギス・ハーンに金光凌月という名の姫が生まれていると言います。また、タングートのシドゥルグ・ハーンにはグルベルジン・ゴアという妃がいるそうです。西方では、大海の辺り、須弥山のかなたのサラン・ナンディ・ハーンに仙女シドゥワという姫がいると言います。…
…そのお妃からお生まれになったナイフライ・ゴア様、あれほど美しいお方はよその土地のハーンにはいないではありませんか。
p.346
詔書が発せられたとき、チェデク・ヒラス・メルゲンの子で、八歳のシンダイ・バートルが、ハーンの前に来て言上した。
p.349
その向こうに、人が来たと分かれば、鷲と化してハーンに通報するダンダイ・ボルゴット勇士がおる。…そのまた向こうには、いくら剣で斬っても傷付かぬシルグト・バートルがおる。
p.350
ロクモ・ゴア妃の引いた籤はアルタイ・セチェンに、アジュ・メルゲン妃の引いた籤はバルス・バートルの子チン・ビシレルトに、アルルン・ゴア妃の引いた籤はボディ・バートルに、フン・ゴア妃の引いた籤はボイトンに、チョイムスン・ゴア妃の引いた籤はシディ・バートルに、サイフライ・ゴア妃の引いた籤はシューミル・バートルの子ゲレルテイ・セチェンに、それぞれ当たった。
p.354
「おれは、サラルタ・ハンガンという名の金持ち商隊長の息子サリハナイの住むションホル山を根城としている。
p.355
そのジステイ・セチェンというのは、シャライゴル三ハーンのうちの黄帳ハーンの部下で、シチリ・ビシという名の大臣だったが、実はゲセル聖明ハーンのために力を尽くしたいと思っていたんだ。
p.361
かくして彼が甘露泉の水を飲んでいる間に、ゴンボ・ハーンのシルミという一大臣が、片手に鋼鉄剣を握り、その背後からひそかに駆け寄って、胴を真っ二つに斬ったのであった。
p.362
ハーンがこのように言うと、ラトナ、フルク二勇士が行くことを志願して、フルク勇士がハーンに訊いた。
p.363
その日、ナチン・ハーンのナイフライ・ゴア姫、セチェン・チェクチルゲ妃の二人は、孔雀の落したサラン・エルデニに手紙のためにびっくりした。
p.371
南の方に漢土のグム王がおり、西の方に妖怪ゴンボ・ハーンがおり、その中間の辺りに悪辣なゲセル・ハーンがおり、東の方にヒルギステイ・ハーンがおります。…われわれの向こうにはダンダイ・ボルゴットという勇士が、三千の兵士を率いて見張りに立っています」
p.378
さて、アジュ・メルゲン妃、チョイムスン・ゴア妃、ジャサ夫人ヒムスン・ゴア、バムソヨルジャ夫人エルデニ・ゲレルテイ、シューミル夫人ヨンハダリ・ゴア、ライチュプ夫人マンダリ・ゴアの六人が、今度は籤引きを止めて、わたし達が行きましょう、とゲセルに言った。
…
アジュ・メルゲンはそう答えて、訳を説明しようとしかけたとき、天の姉の一人イルジャムス・ダリ・オダムが蒼天からほととぎすと化して降りて来た。…
「祖母上ナプサ・フルチェ様と父上帝釈天様からのお達しです。
p.395
「そうだな。部下のラトナ・バートルを遣って祀らせなさい」
p.397
途中、見張りに立っていたシヨグット・バートルという者が、姫の来るのを見て、「ハーンが病気中なのに、姫が来るとは妙だな。何しに行くのだ？」と訝って、急いで姫の前に駆け付けた。
p.399
名はナイフライ・ゴアと言います。父の名はチョイルスン、母の名はバドマ・ゲレルトです。継父はナチン・ハーン、継母はセチェン・チェクチルゲと言います。
p.400
母方の叔父の名はチョクロン・ゲレルテイ・セチェンと言います。この方は、ナチン・ハーンの部下セゲルテイ・バートルの家の羊を放牧するセチェン・ビルーという人の妻イサルから生まれて、幼名をゲレルドゥールクチと言いました。
p.402
ラトナ・バートル、フルク・バートル、セゲルテイ・バートル、ゲレゲルテイ・バートル、チェデク・ヒラス・メルゲン、シヨグット・バートルの六人が出発しようとしているとき、宮殿の前に一人の男が走って来て叫んだ。
p.405
こちらでは、サラン・エルデニ、ナラン・エルデニがフルク・バートルと戦っている。
p.413
(二)のロ角厮羅は、ギェルセー(Rgyal sras.仏の子の意)と号し、十一世紀前半にオルドスの南部からそれ以西、黄河上流域にかけてのチベット系諸部族を統一して、今の青海省の西寧附近に独立政権を樹立した。
p.414
(四)の嶺倉土司(土司とは、一種の土着人地方官)は、九世紀中葉の吐蕃王朝崩壊後に台頭した勢力で、宋元代に、今の四川省甘孜蔵族自治州の��柯・徳格一体にリン(嶺)国を建てた。リン国はその後、徳格土司の支配下に吸収されて滅んだが、嶺倉土司家そのものは家系を今日まで連綿として伝え、ケサルの後裔だとする家伝を守って、��柯のケサル廟にケサルとその三十勇士の塑像を祀って来た。
p.422
前田太郎編『世界風俗大観』(東京、一九一四年)収録の「蒙古の神話」と題する一篇と、中田千畝『蒙古神話』(東京、一九四一年)とは、いずれもカーティン著『南シベリア旅行』(Curtin Jeremiah, A Journey in Southern Siberia, London, 1909)中の「ゲシル(＝ゲセル)・ボグド(Gesir Bogdo)物語」に基づいたものであった(田中克彦「ブリヤート口承ゲセル物語にあらわれた二つの文化層」『民族学研究』第二十九巻第三号、一九六四年)。
p.428
研究会を続けるうちに、その最終目標を『ゲセル』の日本語訳の刊行に置くようになったが、その一方で『ザイン本』が一種の”縮写本”であることが確認され、しかもテキストに相当整理を加える必要のあることが判った。もはや『ザイン本』は翻訳の底本としては不適当となったけれども、中途でテキストを変えるのも面白くないので、それを依然使用し続けて来た。
日本の国土面積は中国８位の「あの省」と同じくらいだった＝中国
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=97&from=diary&id=6675343
中国の国土面積は約９６０万平方キロメートルで、ロシア、カナダ、米国に次いで世界第４位の大きさだ。一方、日本の国土面積は約３８万平方キロメートルで、中国の２５分の１ほどに過ぎない。中国メディアの網易はこのほど、「日本の国土面積は中国のどの省と同じくらいの大きさなのか」と題する記事を掲載した。
記事は、中国国内の行政区を面積の大きい順で紹介した。上位は１位が新疆ウイグル自治区（約１６６万平方キロメートル）、２位がチベット自治区（約１２２万８０００平方キロメートル）、３位が内モンゴル自治区（約１１８万３０００平方キロメートル）、４位が青海省（約７２万２３００平方キロメートル）、５位が四川省（約４８万１４００平方キロメートル）となっており、いずれも日本より大きい。
６位は黒龍江省で（約４７万３０００平方キロメートル）、７位が甘粛省（約４５万４４００平方キロメートル）、８位が雲南省（約３９万４０００平方キロメートル）、９位が広西チワン族自治区（約２３万６０００平方キロメートル）、１０位が湖南省（約２１万１８００平方キロメートル）となっている。
こうして見ると雲南省が日本の国土面積に最も近いことが分かる。雲南省は日本の国土面積よりさらに大きいのに、その雲南省よりさらに大きな自治区、省が７つもあるというのが驚きだ。
中国の国内総生産は日本の３倍以上となっているが、これだけ大きな国土を持つうえに人口まで日本の１１倍以上となれば、その経済規模の大きさもある意味で納得できるのではないだろうか。（編集担当：村山健二）（イメージ写真提供：１２３ＲＦ）
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