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2021年09月11日09:40
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読了３冊 ／ 信長周辺 ＠ 戦国
「乱丸」上・下／ 宮本昌孝
挿絵：minato
＜上＞
第一章 氷渡り銀ぎつね／第二章 天下布武の子／第三章 初恋／
第四章 安土へ／第五章 山百合／第六章 二条御新造／
第七章 北国の風雲／第八章 猿の綱渡り／第九章 信長の烈火／
第十章 名月相撲／第十一章 龍の玉／第十二章 乱丸､変貌／
第十三章 刺客／第十四章 兄弟､揃う／第十五章 母の書状
幼い頃より並はずれて聡明な少年｢森乱丸｣
早くに敬愛した長兄を亡くし､
13歳で､織田信長の元に出仕、
兄の面影が重なる､近習｢万見仙千代重元｣に出逢い､
１年と少し､深い薫陶を受けるも､
仙千代は｢有岡城の戦:天正6〜7年(1578~1579)｣で
討死にしてしまい…(第十一章 龍の玉)
そんな乱丸の喪失感を埋めたのは､信長､その人だった。
そして､母の咎を命に代えて諌めようとする乱丸を
母共々許した信長に、
乱丸は一気に傾倒していく。
＜下＞
第十六章 粛清／第十七章 武家の左義長／第十八章 予兆／
第十九章 陰陽家の神／第二十章 箒掃剣／第二十一章 誅殺／
第二十二章 覇者の送り火／第二十三章 赤い風花／
第二十四章 那古野崩れ／第二十五章 帰郷／第二十六章 東海道遊覧／
第二十七章 三職推任／第二十八章 嵐雲、迫る／
第二十九章 日輪を食らう／第三十章 風、死す
仙千代亡き後､信長の一の寵臣の地位を不動のものにした乱丸。
そして､信長の鬼神のような振る舞いは
どんどん常軌を逸していく、いや、
乱丸以外の人間の理解を越えていく。
しかし、乱丸には信長の思考回路がはっきり見得るのだ。
｢なぜ､家臣の方々には殿の御心がわからぬのか？｣
その齟齬は、いつしか､信長と家臣間の大きな大きな亀裂となり
歴史は｢本能寺の変｣に向かって加速して突き進む。
織田信長と｢本能寺の変｣は、
古今東西、芝居や小説に
本当に多種多様な見方で様々に書かれている。
で、
本書は最期まで傍らにいた寵臣｢森蘭丸｣の視線で語られた
信長と安土桃山時代。
つまり超信長シンパな物語。
純粋培養で育った聡明な少年の中で、
天下布武の道を突き進む信長は､完璧なヒーロー！として
どんどん大きくなり､信長そのものが彼の生きる目的となっていく。
13歳からわずか５年間ながら､濃密に信長の傍らに居続けた乱丸。
若さゆえの潔癖さが切ない。
もう少し長く人生を体験し､信長の激走をそっと方向修正できる
練れたずるさ？操縦法？を身に付けられていたら、
信長はもう少し長生きしていたかも知れない。
そんな乱丸が信長の周囲の戦国武士たちを
どう見て評価していたか？がとても面白い。
ただねぇ〜 この表紙…
可愛い乱丸ではあるけれど
作家を知らなければ、＜BL＞系？と思われそう…
編集者にそういう感覚､無いのかな〜？
この作家、
正妻｢帰蝶｣視点での｢信長｣を描いた｢ドナ・ビボラの爪｣上・下
という作品もあるそうだ。
この視点も面白そうだな〜。
早速、予約予定本のリストの上位に入れておく。
「じんかん」／ 今村翔吾
原画 「number33｣ by ジャクソンポロック
第一章 松籟の孤児
第二章 交錯する町
第三章 流浪の聲
第四章 修羅の城塞
第五章 夢追い人
第六章 血の碑
第七章 人間へ告ぐ
珍しく機嫌のよい織田信長が､近習｢狩野又九郎｣に
語るという設定で書かれた
稀代の梟雄｢松永久秀｣の生涯。
ちょっと気に入った作品｢羽州ぼろ鳶組｣シリーズの作家の作品。
なので読み慣れていたせいか、
500ページをイッキ！
荒唐無稽な設定ながら､とても面白く読んだ。
弟と地獄を這いずっていた少年｢九兵衛｣。
この子も並はずれて聡明だった。
その才覚で､行く先々で資質を認められ､また､育成され
乱世を生き抜いていく。
いつしか､｢松永｣という姓を得､
｢三好家｣の中枢に居場所を得て、梟雄｢松永久秀｣が誕生した。
大体、｢松永久秀｣という武将、
これまではほとんど知らず､
漫画｢織田シナモン信長｣(目黒川うな)と
昨年の大河ドラマ｢麒麟がくる｣で
初めて認識したくらい。(↓吉田鋼太郎の久秀)
ついつい気になって､録画保存していた｢麒麟がくる｣の
総集編を見直してしまった。 吉田さん､イメージぴったり！
で、各所で散々な言われようの久秀だが、
本書､今村さんの筆で、
信長にさえその存在を認められた知将として、
また、
主筋の三好家に尽くし､将軍家にも背くまいとするも、
時の奔流に押し流され､図らずも
｢人として成してはならぬ三悪を全て成した男｣｢梟雄｣なる名を
歴史に遺すことになってしまった男として、
生き生きと描かれる。
｢人間」これを
｢にんげん」と読めば個々の｢人｣だが
｢じんかん」と読むと人間の｢集団｣｢意志｣｢流れ｣の意となる。
これをあえて題名に掲げ、
歴史を創るのは貴族､武士､の中の個人ではなく、
実は名も無き｢民｣とその意志｢民意｣であると
作品中の幾人にも言わせている。
｢民｣の国を創ろうとし､｢じんかん｣を得られず
道半ばで倒れた松永久秀。
そんな人物として見ると違う歴史が見得てくる。
歴史物、時代小説の妙味である。
挿絵：minato
＜上＞
第一章 氷渡り銀ぎつね／第二章 天下布武の子／第三章 初恋／
第四章 安土へ／第五章 山百合／第六章 二条御新造／
第七章 北国の風雲／第八章 猿の綱渡り／第九章 信長の烈火／
第十章 名月相撲／第十一章 龍の玉／第十二章 乱丸､変貌／
第十三章 刺客／第十四章 兄弟､揃う／第十五章 母の書状
幼い頃より並はずれて聡明な少年｢森乱丸｣
早くに敬愛した長兄を亡くし､
13歳で､織田信長の元に出仕、
兄の面影が重なる､近習｢万見仙千代重元｣に出逢い､
１年と少し､深い薫陶を受けるも､
仙千代は｢有岡城の戦:天正6〜7年(1578~1579)｣で
討死にしてしまい…(第十一章 龍の玉)
そんな乱丸の喪失感を埋めたのは､信長､その人だった。
そして､母の咎を命に代えて諌めようとする乱丸を
母共々許した信長に、
乱丸は一気に傾倒していく。
＜下＞
第十六章 粛清／第十七章 武家の左義長／第十八章 予兆／
第十九章 陰陽家の神／第二十章 箒掃剣／第二十一章 誅殺／
第二十二章 覇者の送り火／第二十三章 赤い風花／
第二十四章 那古野崩れ／第二十五章 帰郷／第二十六章 東海道遊覧／
第二十七章 三職推任／第二十八章 嵐雲、迫る／
第二十九章 日輪を食らう／第三十章 風、死す
仙千代亡き後､信長の一の寵臣の地位を不動のものにした乱丸。
そして､信長の鬼神のような振る舞いは
どんどん常軌を逸していく、いや、
乱丸以外の人間の理解を越えていく。
しかし、乱丸には信長の思考回路がはっきり見得るのだ。
｢なぜ､家臣の方々には殿の御心がわからぬのか？｣
その齟齬は、いつしか､信長と家臣間の大きな大きな亀裂となり
歴史は｢本能寺の変｣に向かって加速して突き進む。
織田信長と｢本能寺の変｣は、
古今東西、芝居や小説に
本当に多種多様な見方で様々に書かれている。
で、
本書は最期まで傍らにいた寵臣｢森蘭丸｣の視線で語られた
信長と安土桃山時代。
つまり超信長シンパな物語。
純粋培養で育った聡明な少年の中で、
天下布武の道を突き進む信長は､完璧なヒーロー！として
どんどん大きくなり､信長そのものが彼の生きる目的となっていく。
13歳からわずか５年間ながら､濃密に信長の傍らに居続けた乱丸。
若さゆえの潔癖さが切ない。
もう少し長く人生を体験し､信長の激走をそっと方向修正できる
練れたずるさ？操縦法？を身に付けられていたら、
信長はもう少し長生きしていたかも知れない。
そんな乱丸が信長の周囲の戦国武士たちを
どう見て評価していたか？がとても面白い。
ただねぇ〜 この表紙…
可愛い乱丸ではあるけれど
作家を知らなければ、＜BL＞系？と思われそう…
編集者にそういう感覚､無いのかな〜？
この作家、
正妻｢帰蝶｣視点での｢信長｣を描いた｢ドナ・ビボラの爪｣上・下
という作品もあるそうだ。
この視点も面白そうだな〜。
早速、予約予定本のリストの上位に入れておく。
「じんかん」／ 今村翔吾
原画 「number33｣ by ジャクソンポロック
第一章 松籟の孤児
第二章 交錯する町
第三章 流浪の聲
第四章 修羅の城塞
第五章 夢追い人
第六章 血の碑
第七章 人間へ告ぐ
珍しく機嫌のよい織田信長が､近習｢狩野又九郎｣に
語るという設定で書かれた
稀代の梟雄｢松永久秀｣の生涯。
ちょっと気に入った作品｢羽州ぼろ鳶組｣シリーズの作家の作品。
なので読み慣れていたせいか、
500ページをイッキ！
荒唐無稽な設定ながら､とても面白く読んだ。
弟と地獄を這いずっていた少年｢九兵衛｣。
この子も並はずれて聡明だった。
その才覚で､行く先々で資質を認められ､また､育成され
乱世を生き抜いていく。
いつしか､｢松永｣という姓を得､
｢三好家｣の中枢に居場所を得て、梟雄｢松永久秀｣が誕生した。
大体、｢松永久秀｣という武将、
これまではほとんど知らず､
漫画｢織田シナモン信長｣(目黒川うな)と
昨年の大河ドラマ｢麒麟がくる｣で
初めて認識したくらい。(↓吉田鋼太郎の久秀)
ついつい気になって､録画保存していた｢麒麟がくる｣の
総集編を見直してしまった。 吉田さん､イメージぴったり！
で、各所で散々な言われようの久秀だが、
本書､今村さんの筆で、
信長にさえその存在を認められた知将として、
また、
主筋の三好家に尽くし､将軍家にも背くまいとするも、
時の奔流に押し流され､図らずも
｢人として成してはならぬ三悪を全て成した男｣｢梟雄｣なる名を
歴史に遺すことになってしまった男として、
生き生きと描かれる。
｢人間」これを
｢にんげん」と読めば個々の｢人｣だが
｢じんかん」と読むと人間の｢集団｣｢意志｣｢流れ｣の意となる。
これをあえて題名に掲げ、
歴史を創るのは貴族､武士､の中の個人ではなく、
実は名も無き｢民｣とその意志｢民意｣であると
作品中の幾人にも言わせている。
｢民｣の国を創ろうとし､｢じんかん｣を得られず
道半ばで倒れた松永久秀。
そんな人物として見ると違う歴史が見得てくる。
歴史物、時代小説の妙味である。
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