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2021年08月08日15:48
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｢オムニバス｣／誉田哲也
誉田さんが産んだ魅力的なヒロイン！
警視庁捜査一課､殺人犯捜査係主任､警部補｢姫川玲子｣
彼女のシリーズ
ストロベリーナイト（2006年2月）
ソウルケイジ（2007年3月）
シンメトリー（2008年2月）
インビジブルレイン（2009年11月）
感染遊戯（2011年3月）― スピンオフ作品
ブルーマーダー（2012年11月）
インデックス（2014年11月）
硝子の太陽 R ルージュ（2016年5月）―〈ジウ〉サーガとコラボ
【改題】ルージュ 硝子の太陽（2018年11月）
収録：ルージュ / カクテル（文庫本のみ）
ノーマンズランド（2017年11月）
から待つこと３年半
最新刊が出た！
シリーズ10冊目「オムニバス」（2021年2月 光文社）
玲子が居る葛飾警察署で担当する事件を描いた、
短編７編。
内､３編が
葛飾署で新たに玲子の部下になった､
今一つ､お互い信頼しきれていない２人
中松信哉､日野利美､と
妙に玲子に懐いている小幡浩一 の視点から
書かれているのが面白い。
・それが嫌なら無人島 ←
玲子 目線
マンションで女子大生が殺された事件。
被疑者とされた男が別件で本所署に勾留され、
ようやく本所署から移送されてきた被疑者だが、
あやふやな供述で否認をくりかえす。
本所署の案件が関係しているのか……。
結局、玲子の勘から冤罪と判明、真犯人も挙がるが、
一番ワルは被害者で､犯人が一番善人だった、ような
後味の悪い事件。
個人情報だだ洩れの現代だからこそ起こったと言える。
｢どうしても個人情報を知られるのが嫌なら
無人島で暮らすしかない…｣
｢でも、もうそういう生活はできない。
だとしたら､社会にはそういう悪意がつきものと､割り切っていくしか｣
刑事たちはやり切れない想いに包まれる。
・六法全書 ←
中松 目線
五日市署管内で自死した男の家から女性の腐乱死体が発見され、
姫川班の刑事たちは特捜に駆り出される。
身元不明のこの女性は誰？自死した男との関係は？
巡査部長､中松は、改めて､玲子の一足飛びの発想と迷いのない行動力を
目の当たりにする……。
と同時に、見ていないようでちゃんと見てる玲子も発見した。
・正しいストーカー殺人 ←
玲子 目線
ストーカーが、ストーキングしていた女性に殺されたという。
これが本当の「ストーカー殺人」……？
被疑者は身の上もストーカーとの関係性もほとんど語らない。
彼女は､本当にストーキングされていたのか？
絶対､男を惹きつける女じゃない！と断定する玲子。
女は女に特に厳しい。
結果、被疑者の正体と､殺害にいたるまでの顚末を、
地道な捜査(一部､玲子の先走りアリ)で突き止め､
真相に辿り着く。
お疲れ〜と､帰途､呑みに寄った居酒屋には､
菊田の他、中松､日野､小幡､と寺田班の水谷と宇野も
顔を出した。やっと仲間意識が育ってきた？
…と、なぜか井岡も！
｢お前、いつの間にっ？！！｣
彼が菊谷に殺されたら､正に「正しいストーカー殺人｣だ。
・赤い靴 ←
日野 目線
男を殺したと､自称ケイコという若い女が自首してきた。
彼女の自宅には確かに男の死体があったが、
死因は女の供述とは食い違っている。
とにかく本人と会ってみて､
玲子は､彼女が｢殺ってる｣と言い切る｡
｢あの子の中に殺人の『芽』がある｡｣と言うのだ。
｢どの辺りに見たんですか？｣
｢…そんなの､あたしだって分かんないですよ｡なんとなくです｡｣
これだからこの上司は…
現場から押収したパソコンには大量のテキストデータが！
全て､出来の悪い小説！
同居人で被害者の｢莨谷俊幸｣が書いた物。
ここで日野は､玲子が心底｢苦手｣だと知る。
唯一､俊幸が最終選考通過した作品が｢赤い靴｣
これだけは！と玲子に読ませ､事件の突破口にしようとするも､
出た結論は、玲子は｢殺った｣と、日野は｢殺ってない｣と。
しかし､玲子は次の取調べで自説を翻し真相を導き出した。
20も若い同性の上司 姫川玲子への微妙な心情が
そこかしこに描かれている。
夫｢順一郎｣が､玲子と電話する利美を見ていて
亡き飼い犬(シェルティ)｢フウちゃん｣♂を散歩させていた利美を
思い出したと言うのがなんだか面白い。
可愛いフウちゃんとなんて似てない！と思った日野。
でも､意地っ張りなのに素直なところも､と褒めると
｢私､素直なんですよ｣と見せた膨れっ面が､可愛くもあり
フウちゃんに似てなくもないかと心が動いた。
この日野利美巡査部長、イイ！
微妙な心情を巧〜く表現してくれる女優さんに演って欲しいな！
私の脳内映像では､もう､
濱田マリさん(左)かキムラ緑子さん(右)がキャスティングされている｡(笑)
・青い腕 ←
玲子 目線
(赤い靴 より続く) 自称ケイコ。身の上は一切語らない。
死んだ男とケイコの関係は？
小説｢赤い靴｣から､玲子は真実を求めていく。
玲子と日野は､身元が割れた男の母親をたずね、
心当たりを確認。当初知らないと言った母親だが､再確認すると
姪､つまり俊幸の従妹｢恵｣だと白状した。
そこから、
小説｢赤い靴｣に書かれた｢青い腕｣を刺青と読み取り
10年ほど前の､ヤクザの夫婦が殺され､娘が行方不明
という事件に結びつけたのは日野だった。
事件も先が見え､２人で呑みに行った日野と玲子。
大分口が軽くなった日野に玲子は
｢やっぱり日野ってちょっと､意地悪なんだ｣と思った。
・根腐れ ←
小幡 目線
売れっ子モデル｢小谷麻莉子｣が覚醒剤所持で自首してきた。
取調べを頼まれた玲子。
他の班員がいないので相棒に指名されたのは小幡浩一。
ミーハーな好奇心を気取られないよう必死だったが､
玲子が被疑者を良く知っているのに驚く。
が、前日､早く帰って一晩で調べ、
多数の映像作品を見て､嘘の｢小谷麻莉子｣の顔を知り
取調べで素の｢小谷麻莉子｣を見切る。
小幡は､そんな玲子の｢凄さ｣を垣間見た。
結局､｢小谷麻莉子｣は妹を庇っての自主だったが、
玲子は彼女を徹底的に追い詰めた。
妹を｢私が居なければ駄目な子｣にしたのはあなた！
｢よく似た人を知ってる。
過剰に愛情を注ぐことで､自身が満足しようとする、
自分が救われようとする種類の人間。
大っ嫌いなんだよね､あたし､そういうの｡｣
｢それって､誰なんすか？｣
｢あたしの母親…
水やり過ぎて､根腐れで草花を枯らしてしまう女の典型｣
聞かなければ良かったな､と小幡は思った。
・それって読唇術？ ←
玲子 目線
東京地検の武見諒太に､行きつけのバー｢カーヴド･エア｣に呼び出された。
これは、デート？
遅れてやってきた武見に気になっていた事を聞いてみた。
｢武見さんが一番耐えられないことって、なんですか」
多少酔いが回ってきたせい？
武見は､かつて愛し､
｢守るべきものを､守ろうとしたのに､
守れる可能性はちゃんとあったのに､守れなかった｣女性のことを
語り出し…
…と、ん？
彼女はバツイチ子持ちだった？
今､その子は20代？お嬢さん？優美子さん？
この店のバーテンダーのよく気の利く女性… ユミちゃん…
そのお嬢さん？！
さっき、武見と優美子が交わした会話が読めた！
あの口の動きは｢お・は・か・ま・い・り｣
私を､ここに呼ぶのはなぜ？
彼女に、私をどう思わせたいの？
玲子の思考は想像の迷路を彷徨う。
そんな､甘やかな時間…
日野さんが異動で
やっと少し仲良くなれたのに玲子は寂しいらしい。
そして！その穴埋めに異動してくるのは！！！
アノ！魚住久江さん！！
この人｢魚住久江シリーズ｣のヒロイン！
以前､この２冊を読了して大好きになって、
誉田さんが､いつでも繋げられるように､
諸シリーズの時系列はシッカリ合わせていると知り、
いつか一緒に捜査して欲しいな､と思っていたのだが、
それが、同じ職場に！
魚住さんは日野さんより玲子とウマくヤレそう｡(笑)
またまた大きな愉しみができた。
いつ新刊出るのかな〜！！
すでに脳内映像で２人が並んで歩き、走り、
語り、ぶつかり、分かり合って笑う絵が浮かぶ。
もちろん玲子は竹内結子さん！ この人以外に考えられ無い！！
で、私の魚住さんは､堀内敬子さん
実際の映像は、もう観られないのが、本当に哀しい。
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