アザラシやペンギンと違い、陸上の動物は、夏は日中は暑いので、昼寝をしていることが多い。特に夜間に捕食活動する肉食動物はそうだ。
◎寝そべったシンリンオオカミ、対してアムールトラはちゃんと姿を見せてくれた
例えば北米に分布するシンリンオオカミ。木陰で寝そべっていて、ほとんど動かない（写真）。残念ながら精悍な姿を見せてくれなかった。
それに対して、旭山動物園の呼び物の１つであるアムールトラは、ちゃんと外に出て、動いてくれていた（写真）。
トラは、現生ネコ科動物で最大の肉食動物だ。その中でも、動物生態学的原理である「ベルクマンの法則」のとおり、最北のアムールトラは、現生トラ５亜種の中で最も大きい。
全長３メートル、体重３５０キロを超えた例も知られている。
◎アムールトラの個体数は５００頭ほど
ただアジア東部にのみ棲むトラは、人間の居住域の拡大で生息域が狭められ、現在では多めに見ても全世界で８０００個体程度（１世紀前は１０万頭もいた！）、アムールトラに至っては５４０個体程度、とされる。
ライオンが保護で個体数を増やしているのと大違いだ（ケニアやタンザニアに広大な保護区＝国立公園があり、密漁の監視も行き届いている）。
トラが少ないのは、ライオンが人を襲うことは滅多に（あるいは全く）ないのに、トラは今でも人を襲うからだ。
野生でウジョウジョいた時代、人間にとってトラは最も怖い猛獣だった。例えば中国の礼記に、「苛政は虎よりも猛なり」という孔子の言葉が記されている。「苛酷な政治の害は虎の害よりもひどい」という意味だが、孔子の時代、泰山の近くにも普通にトラがいて、人を襲っていたことを物語る。
◎かつては朝鮮半島にもいた
また秀吉の命で朝鮮出兵（文禄・慶長の役）した加藤清正の虎退治の話も有名だ。朝鮮半島にも、近世まで普通にトラがいて、時には人を襲っていた。
これらは、すべてアムールトラである。
１万年以上前に絶滅しているが、新大陸にサーベルタイガー（剣歯虎）がいて（写真＝ロサンゼルス、ページ博物館で。タールピットから発掘された化石を展示）、この亡き後、アムールトラは地上で最も獰猛な肉食獣だろう。
そのアムールトラを観られたのは、旭山動物園（写真＝ほっきょくぐま館から旭山動物園と旭川市内を望む）に来ての収穫の１つだ。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、
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昨年の今日の日記：「蒸し暑い夏のマスクに憂鬱、しかしそれを選挙に役立てた候補も」
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