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2021年04月16日11:54

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アンニュイ? それとも老人性不定愁訴?

 ここ二、三日というもの、どうも心身ともに優れぬと無責任に書きなぐったりして、親しい方々に心配をかけている。
 とりわけなにかの凶事にゆき当たったりしたわけではない。むしろ、ひたすら蟄居を強いられるなか、新しいひとを紹介していただき、その方と話しているうちに思いがけない共通点が見つかって、おもわず話が弾んだといういい出会いもあった。

 にもかかわらずの不調、だからこれといった契機はないのだが、やはり気が沈みがちなのである。これまでもしばしば訪れた不定愁訴を伴う老人性鬱とでもいうのだろうか。
 最近ではあまり耳にしないが、私の若い頃によく使われた言葉に「アンニュイ」というのがあった。日本語訳では「退屈」とか「倦怠」であるが、当時は、流行っていた実存主義との絡みで、存在の意味を見いだせないままに漂っている「実存」といったニュアンスで用いられていた。

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 このアンニュイは、ある種の現象を解釈するのに役立つかもしれない。
 音楽で言えば、モーツァルトの明るい長調の曲のなかにふと垣間見られる悲しみのようなもの、シューマンのどの曲にも漂う哀愁の響き・・・・悲しむべき具体的な対象をもたない実存の悲しみ、つまりアンニュイ。

 私の現状がそれであるといっているのではない。ただ、具体的な症状はある。
 まず、読書ができない。
 私の読むものは比較的硬い分野に属するのだが、それを読み続けることができない。とりわけ、原論的なものの場合、中途で、この歳になってこんなもの読んでなんになるのだという、これまでは浮かばなかった効率論的な疑問が湧いてきて、そうなると、原論特有の抽象的な構図自体がスーッと色褪せて行き、その先を読み続けることができない。

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 この間、図書館で借りてきた四冊の内、二冊はほとんど書そのものを開く気力すら薄れ、まもなくの返却期限を迎えようとしている。
 そればかりではない。長い文章そのものが読み辛くなっている。同人誌などに参加し、それをばらまいている関係もあって、あちこちから他の同人誌や著書などのご恵贈に預かる場合が多い。以前ならば、これ幸いと、全部ではないとしても、興味のありそうなものをむさぼり読んだのだが、今は積ん読状態のままのが多い。

 「読めない」の次に来るのが「書けない」だ。所属する同人誌に長期的な展望を持った連載を書いているのだが、それがここへ来て苦戦している。何回分かの資料や参考書は読み込み、それはメモやノートのかたちでストックしてあるのだが、それらを適切に参照し、文章にまとめてゆく力が湧いてこない。
 締切も近いことだからとおのれを奮い立たせ書き始めるのだが、途中で、「こんなことを書いて何になるんだ」と問いかける自分がいたりして、そうなると筆が進まない。

 そんななか、逝く春の風物がやたら目にとまるので写真に撮ったりして、SNSに載せ、「花鳥風月に逃げ込む自分」などというくだらないコメントを付けて、ほんとうに花鳥風月を愛する人たちの顰蹙をかったりしている。

 まあ、いろいろいって見るものの、その原因ははっきりしている。私自身の老いそのものだ。それにおとなしく従うか、それが嫌なら自分を今一度、鼓舞するほかはない。
 そのために、昨日から二、三の試みを始めた。

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 ひとつは床屋へ行って髪を短くしたことである。春風が襟元に涼やかである。
 その二は日本酒に合う夕餉を整えたことである。
 これらは些細な身辺の事柄だが、ある種の気分転換位はなる。
 もうひとつはじめたことがあるが、去年失敗したことなので、もう少し様子をみた上で公表したい。

 私のケースが特別なことではあるまい。同年輩の人びとは、その症状や現象は異なっても、自分の現状をどうするのかを自問しながら闘ったり、あるいはその着地点を見出そうとしているはずだ。私の場合、野垂れ死に覚悟で決意は定まっているから、結論は単純なのだ。曰く、「やるだけやる」。
 にもかかわらず、「アンニュイ」がしばしば訪れる。


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