雨風の強さに、本日の目的地を諦める。
日曜13時、何となく『噂の!東京マガジン』をつける。
特に熱心なファンでは無かったが、
この番組、32年間も続いている。
そして今年3月で遂に最終回と目にしていたので、
何となくチャンネルを合わせた。
歳を取ったが変わらぬ雰囲気でまだまだ現役のMC森本さん。
紅一点としては歴代で一番長くなったアシスタントの小島さん。
そして井崎さん始め、長年変わらぬお馴染みのパネラー陣。
みんな見事に中高年になった。
冒頭、森本さんが語る。
「緊急事態宣言明けでこのスタジオからは今年初ですが、
残りは今日含めてあと2回となりました」
「今迄我々も立ち退きの話題などやって来ましたが、
その我々がここから立ち退く事になりました」
「しかし捨てる神あれば拾う神アリ・・・BSから来いよと言われました。
心機一転、BSで同じ時間でこれからもやって行きます」
何故だか、ホッとした。
この番組、出演者だけでなく内容構成も本当に変わらない。
今は情報番組でよくインターネット動画を取り上げたりするが、
こちらは相変わらず「中吊り見出し大賞」で番組スタート。
確かに昔はスマホが無く、皆電車の中で週刊誌や新聞を読んでいた・・・
そんな光景を思い出す。
その次に「やって!TRY」
変わらぬファンファーレ調のBGMでコーナー開始、
街頭で何人かの若い女の子に声をかけ、
肉じゃがだの鯖の味噌煮だの定番家庭料理をお題にして、いきなり作らせる。
調理台にはわざと間違いを誘発させる食材も並べてあり、
女の子の作る奇想天外な完成品に一同呆れて大笑いするというもの。
何だかテレビの向こうでベテラン主婦の母親族と、
自分で料理など作った事の無い父親族が、
今どきの若い子を「料理も出来ない」とバカにして、
嘆きつつどこかホッとしている様な保守的な図が浮かび、
個人的にあんまり好みでは無かったコーナー。
上手に作れる子が大体ラストに少数派として登場し、
母親族父親族に「ウチの息子にこんな嫁が来たら」と思わせ株を上げる感じや、
連発するヘンテコ料理に一同呆れ果てた後に、
プロの料理が圧倒的なお手本料理を作り、
「そりゃ当たり前だろ」という気にさせられる感じも、
あんまり好みでは無かった。
でも最近の「やって!TRY」は女子ばかりで無く、
男子もターゲットにする様になり、
時代に合わせて若干更新している様子も見られ、
変わらず流しているのを観ると、最早懐かしくも感じられる。
継続は力也、なのかも知れない。
そして番組後半は「噂の現場」。
地域で起きている細かい紛争とかに切り込む、
東京マガジン内の「報道特集」・・・。
番組存続に、
何故ホッとしたのだろう。
一つには自分も中高年の域となり、
歳取った番組出演者の方々のテレビのお仕事がキープされた事に、
他人事ながら勝手にホッとしてしまったのかも知れない。
あとは、何だかんだいって自分はテレビをつけるし、
激しい時代変化の荒波の中、
こういう御長寿マンネリ番組にチャンネルを合わせられる事が、
安心というか、結構一服の清涼剤になったりする事を否定出来ない。
後番組は恐らく、東京マガジン程の長寿番組とはならないであろう。
かつての様なテレビの時代は、もう終わっている。
特に若い世代の多くはテレビから離れ、
彼等が先にネットでチェックして観ているであろう話題の動画を、
あとからテレビが取り上げ、流している・・・
今更ながら、テレビが情報や流行の最先端だった時代が、懐かしく思い出される。
今の中高年がテレビ黄金時代の頃に若手で最先端だったタレントや芸人が、
歳を取り大御所扱いとなり、いまだにバラエティでピラミッドの頂上に君臨させられ、
とっかえひっかえ現れる若手が雛壇で御機嫌とりながら笑いをとっている・・・
若い人は威張る大御所に「この人誰?」と思うだろうし、
年齢による上下関係など崩れた現実の中、
中高年は同年代の大御所がテレビの中では若手の上に君臨している構図に、
安心を見出したりしているのだろうか。
そうした雛壇の構図は、若い人も中高年も取り込みたがっている様に見えるが、
どちらかと言えば中高年をメインターゲットにしている印象が強い。
少なくとも地上波の従来のテレビは、
中高年の視聴者の多くが離れたら、成立しなくなるだろう。
そうした意味で、『噂の!東京マガジン』とか『笑点』とか、
マンネリの様式が圧倒的な安心感を齎す番組って、
そう簡単に作れない上、中高年の惰性的支持を得易いので、
結構貴重なコンテンツだと思うのである。
そしてこの様な内容を書いている自分が、
歳を取ったのだナと痛感させられる。
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