3/11 筆魂〜線の引力・色の魔力〜又兵衛から北斎・国芳まで【後期】＠すみだ北斎美術館

前期がとてもよかったので、後期も混まないうちに早速行ってきました。


前期
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1978486300&owner_id=2083345

入り口の高精細複製画も掛け替えられていました。


　

前後期全て展示替えです。
チラシみて、どちらか片方なら前期にいくかなと思っていましたが、両方見ることができてラッキーでした。後期もまた見応え多く、新出が6点、新発見が7点、再発見が1点。肉筆画が少ない鳥居清長や若い頃絵師だった山東京伝（北尾政寅）なども。


画像が手に入らなかったものが多いですが、気に入ったものご紹介。



菱川師宣《美人弾琴図》画像なし。
ビゲロー氏旧蔵。灰色の帯には花籠と輿を見送る貴族が墨で描かれていて、単眼鏡でやっとわかる細さ。画中の屏風絵や襖絵は鑑賞の楽しみの一つでもあるが、ここまで小さいと普通の人は見逃して通り過ぎていくよ。

懐月堂安度《七福神図》
七福神が宴会する絵はよくあるが、これは特に気に入った。七福神が遊女・禿3人と花見の宴。布袋の袋に肘ついて大黒天と話し込む毘沙門天。寿老人、福禄寿と弁財天は遊女が弾く琵琶に聞き入り、恵比寿は釣った鯛で弁財天の気を引こうとする。天幕の向こうでは、侍と若衆がそれを覗き見。楽しそうだ。

山崎龍女《蚊帳内美人文読みの図》画像なし。
珍しい女流絵師。「おりゅう絵」と言われ人気があったそうだ。

川又常行《月旦図》画像なし。
月旦というのは、人を批評、品定めをすること。女3人が二階の部屋から通りを見下ろして、通る男を品定めしている。真ん中の女はまだ初々しく、両脇の女は歳が行っているから、親と乳母が娘の夫の品定めをしているのか。左の女がもう何人もの男をチェックしてメモしている（笑）下を通る若衆も気づいた様子。

勝川春章《文読む美人図》
透ける鼈甲の簪、見事な柄の打ち掛け、上手だ

勝川春章《竹林七姸図》
竹林七賢図の見立て。「姸（けん）」の意味は「女性の容貌が整って美しいこと」。
春章は、裏彩色などの技法も用いて、美しい美人画を描く。鏑木清方も私淑した。

一筆斎文調《東海道画帖》画像なし。
前後期で場面替え。それほど面白い絵巻ではないのだが、大津宿部分に釘付け。旅人が土産物屋で大津絵を選んでいる場面。赤と黒２色で描かれた大津絵、あまりに小さくて細かく描いているわけではないのに、鬼の念仏、藤娘など、全て判別できる！

東燕斎寛志《水辺の美人と神農》

植物を、薬か毒か自分で全て舐めてみて調べたという本草学の始祖、さぞやえらい神様と思いきや、美女の背後に回って胸元に手を入れて、下心ありありの好色な目つき。煙のような渦は霊力で誘惑しようというもの。

喜多川歌麿《隈取りする童子と美人図》
1964年の東京五輪以来不明になっていたものが再発見された。前期の《雪兎》と同様、ほのぼの暖かい場面。〇〇ごっこで、隈取りする弟たちを微笑んで見守る姉。

鳥文斎英之《読書する美人》画像なし。
新発見。背もたれて本を読む美人図だが、大きく開いた合わせ襟の胸のラインが、ぞくぞくするほど美しく身惚れた。画像がないのが残念。

歌川広重《湯上り美人図》
蜘蛛の巣模様、藍のグラデーションが美しい浴衣姿。差し色も効果的。

渓斎英泉《遊女と禿図》
画像なし
墨、淡彩の筆触が豪胆な大きな絵。これもまた画像がなくて残念。ありきたりな画題だが、他と一線を画す。気に入った。

葛飾北斎《立美人図》
メインビジュアルにもなった絵。花魁は着物が重いから？反り腰になる。S字曲線は色気の基本、打掛の竜の絵が輪を掛ける。

葛飾北斎《団扇と美人図》
後手に帯を結ぶ、こちらも反った姿が色っぽい。振り返るのも美人の要素。

葛飾北斎《生首図》
美人図にうっとりしていたら、不意打ち。たった今切り落とされた首は恨めしそう。柄杓と竹の直線の交わり、それにかかる曲線の縄、画面構成のうまさ。

葛飾北斎《日の出と双兎図》
前期は宝珠を搗く白兎だった。どちらもいいが、こちらの兎の方が可愛らしいかな。昔は生日でなく、元旦に歳を取るとした。卯年のお祝いの絵。

安田雷洲《鷹図》
最後にはとんでもない絵が。北斎の門人で、司馬江漢、亜欧堂田善に続く銅版画家。大画面を筆で埋め尽くす。大きな鉛筆画のよう。2014年府中市美術館で初公開だったとか。そうだ、府中では春の江戸まつりが始まったね。これも行かなくっちゃ。



前後期ともに堪能。チケットをくださったマイミクさま、ありがとうございました。

4月4日まで