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2020年11月29日18:16

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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展

コロナ感染拡大でGoTo対象からはずされた大阪市だが、国立国際美術館で今月から「ロンドンナショナルギャラリー展」が開催されている。

去年の年末年始、家族が弾丸旅行でパリロンドンリバプールに行き、ナショナルギャラリーやテートモダンに行ったので、この美術館展が日本に来るのを楽しみにしていた。しかしコロナのため東京で半年ほど延期になり、大阪もずいぶん待たされた(当初は7/7〜10/18の開催予定だった)

日時指定券を買っている人のみの入場なのに30分も並ばされ、人数制限しててもこんな混んでるのか〜と驚き。入場後も荷物預けるのに並びトイレに並び鑑賞中は会話も禁止。でも、展示室に入るとまぁまぁ適度な人の数で(思ったほど密ではない)、過去の人気美術展の混雑を思い出すと、絵をゆっくり観たい人にはいいかも。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーはロンドンの中心トラファルガー広場に面して建つ世界屈指の「美の殿堂」。英国をふくむ幅広い地域と時代のヨーロッパ絵画を網羅した13世紀から20世紀までの約2300点の作品を所蔵している。
しかし同館はその多くを常設展示しているため作品の貸し出しに極めて厳しく英国外で所蔵作品展が開かれたことは200年近い歴史の中で一度もないそうだ。
従って今回は初の展覧会であり、見られる作品61点すべてが日本初公開。

ルーブル美術館やウフィツィ美術館のようにヨーロッパのおもな美術館が貴族や王室のコレクションから発展したものなのに比べ、ロンドンナショナルギャラリーは富裕市民の収集から発展していった。そこにターナーなど自国の画家の寄贈作品が加わり、体系的な美術のコレクションとなっていく。

本展は、以下7つの展示に分かれて、ナショナルギャラリーのコレクション形成の歴史を紹介している。

1ルネサンス絵画の収集
・ウッチェロ「聖ゲオルギウスと竜」線遠近法
・クリヴェッリ「聖エミディウスを伴う受胎告知」(線遠近法)(トロンプルイユ)
・ボッティチェリ「聖ゼノビウス伝より初期の4場面」
・ティツィアーノ「ノリ・メ・タンゲレ」キリストの墓参に訪れて彼の復活をみておどろくマグダラのマリア
・ティントレット「天の川の起源」 (マニエリスム)(女神の乳房より母乳が噴出してミルキーウェイができた物語)

2オランダ絵画の黄金時代
・レンブラント「34歳の自画像」 (フランドル・バロック)
・フランス・ハルス「扇を持つ女性」
・フェルメール「ヴァージナルの前にすわる若い女性」((カメラオブスキュア)
・ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ「ロブスターのある静物」(17〜18世紀オランダで確立された静物画:スティルレーフェン)
・ウィレム・ファン・デ・フェルデ「多くの小型船に囲まれて礼砲を放つオランダの帆船」


3ヴァンダイクとイギリス肖像画
 フランスではロココ期・ロマン主義の時代、英国では・・
・アンソニー・ヴァンダイク「レディエリザベス・シンベビーとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー」(ルーベンスの弟子・オランダ人だが英国で活躍)
・ジョージ・スタッブス「ミルバンク家とメルバーン家の人々」(動物画に長けていた)
・ジョセフ・ライト・オブ・ダービー「トマス・コルトマン夫妻」(産業革命・科学思想・光の画家)
・ジョシュア・レイノルズ「レディー・コバーンと3人の息子」(聖母子像のような品格ある肖像画)(英ロイヤルアカデミー初代会長)
・トマス・ゲインズバラ「シドンズ夫人」(ロイヤルアカデミー創立会員・肖像画家だが風景画も得意)
トマス・ローレンス「シャーロット王妃」

4グランドツアー
 18世紀、英国良家の子女たちがイタリアに遊学、そのみやげに景勝地の絵を持ち帰ることが流行った
・カナレット「ヴェネツィア大運河のレガッタ」「イートンカレッジ」
・グアルディ「ヴェネツィアサンマルコ広場」


5スペイン絵画の発見 
・ゴヤ「ウェリントン公爵」(18世紀バロック期は肖像画の全盛期)
・エル・グレコ「神殿から商人を追い払うキリスト」
・ベラスケス「マルタとマリアの家のキリスト」(宮廷画家が描くボデゴン=風俗厨房画)
・スルバラン「アンティオキアの聖マルガリータ」
・ムリーリョ「幼い洗礼者ヨハネと子羊」「窓枠に身を乗り出した農民の少年」
   
6風景画とピクチャーレスク
・二コラ・プッサン「泉で足を洗う男のいる風景」(フランス古典主義)
・クロード・ロラン「海港」
・ヤコブ・ファン・ロイスダール「城の廃墟と教会のある風景」(バロック)
・トマス・ゲインズバラ「水飲み場」
・ジョン・コンスタブル「コルオートン・ホールのレイノルズ記念碑」
・ウィリアム・ターナー「ポリフェモスを嘲るオデッセウス」


7イギリスにおけるフランス近代美術受容
・アングル「アンジェリカを救うルッジェーロ」(新古典主義)
・アリ・シェフィール「ロバートホロンド夫人」
・コロー「西方よりのぞむアヴィニョン」(バルビゾン派・コンスタブルの影響)
・アンリ・フォンタン・ラトゥール「ばらの籠」
・ルノワール「劇場にて(初めてのお出かけ)」(19世紀印象派)
・ドガ「バレエの踊り子」
・ゴーギャン「花瓶の花」
・セザンヌ「プロヴァンスの丘」「ロザリオをもつ老女」
・モネ「睡蓮の池」
・ゴッホ「ひまわり」


11月はじめに美術検定のウェブ試験を受けたので、美術史等まだ勉強した内容が記憶に残っているため、どの作品も大変興味深くて熱心に反芻鑑賞した。
とくに、今まで(ラファエル前派以外は)全く興味なかったイギリス絵画の系譜〜ルーベンスの弟子で外国人のヴァンダイクが王室の肖像画家として活躍したのに始まり、レイノルズ、ゲインズバラ、スタッブスから、17世紀バロック(古典主義)のニコラ・プッサンやクロード・ロラン(2人ともフランス人だがローマで歴史画・海景画を描いて活躍)をリスペクトするターナーや、(レイノルズに影響を受けた)コンスタブルらが発展させた〜をしっかり実物で勉強することができた貴重な体験だった。




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