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2020年11月04日18:08

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「スパイの妻」

黒沢清が監督で、今年のヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞しているが、6月にNHKのBS8Kでドラマとして先に放送されていた。
ドラマありきか映画ありきかはわからないが、今後はこういう作品が増えていきそうな気もする。

1940年、神戸で商社を営む福原優作(高橋一生)は、趣味で8mm映画を撮るような洒落た男だった。
ある日取り扱う商材を広げるために、満州に視察に行くことにする。
妻の聡子(蒼井優)は戦争が起きそうなときに危険だと案じるが、優作は戦争が始まる前に満州を見ておきたいと言い、甥の竹下文雄(坂東龍汰)を連れ満州に旅立った。
優作の留守中、聡子は二人の幼馴染の憲兵隊長津森(東出昌大)と再会する。
聡子は特に何も考えずに津森を家に招き、優作が好きなイギリス製のウィスキーをふるまおうとするが、津森は優作が留守中と知っていたら家には来なかったと言い、さらに洋服を着てイギリス製のウィスキーを勧めてきた聡子を、軽く批判して帰って行った。

数カ月後、当初の予定より遅れて優作が帰国した。
その時文雄と一緒に、一人の女性が入国していたのだが、聡子は気づかなかった。
直後の年末、文雄が商社を辞めて小説家になると言い出した。
そして執筆に専念するために、しばらくの間有馬の温泉旅館に引きこもると言う。
その直後、港に女の死体が浮かんだ。
優作たちと一緒に日本に来た草壁弘子(玄理)だった。
草壁弘子は文雄の滞在している有馬の旅館で仲居をしていた。

この事件は警察のほかに、津森たち憲兵隊も調査を始めていた。
聡子自身も津森から尋問を受けることになり、そこで草壁弘子が優作が満州から連れ帰った女で、優作が草壁弘子と二人分のアメリカ行きのチケットを手配した、と知らされる。

優作と草壁弘子の関係を疑った聡子は、有馬の文雄を訪ねるが、そこで文雄は「何もわかっていない」と聡子に向かって叫び、翻訳が終わったので優作に渡して欲しいと、角封筒を手渡された。
聡子は封筒を優作に渡し、事の真実を問い詰める。
そこで優作は、満州で撮影した8mmフィルを聡子に見せ、満州では日本軍がペストなどの細菌兵器の開発を行っており、現地の人間が実験台にされ大量に惨殺されている、それを世間に公表しなければならないと言った。
草壁弘子は満州でこの事を調べていた医師の愛人で、医師は殺され、彼の資料とともに草壁弘子を連れ帰った、アメリカ行きのチケットは二人分用意したが、それは怪しまれないようにするためで、渡航するのは草壁弘子だけの予定だった、とも言った。
この資料をアメリカで公開するつもりの優作に対し、聡子はこれは売国のスパイ行為だと反対する。
しかし優作はその考えを変えることはなかった。
聡子はそんな優作を見て、ある行動を決意する。

作品中のセリフにもあるが、正確には「スパイの妻」ではななく「告発者の妻」である。
しかし憲兵隊は優作たちを売国奴とし、スパイとして扱っている。
そういう事もあり、わかりやすさで「スパイの妻」でいいのだろう。

そしてややネタバレになってしまうが、優作と聡子、どちらが裏切るか、という内容である。
黒沢監督らしく、最後までどちらが裏切るのかわからない構成になっており、クライマックスは手に汗握らせる展開だ。
ただ、ラストの病院のシーンは不要だったかな、と言う気もする。
小舟から手を振るシーンで終わりでも良かったのではないだろうか。

とは言え、個人的には十分満足できる作品であった。


104.スパイの妻


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