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2020年10月15日18:09

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「平家物語 犬王の巻」「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」「富豪刑事」と筒井康隆短編集

「平家物語 犬王の巻」
古川日出男著。室町時代、海底から引き揚げた宝物により父と己の視力を失い、琵琶法師となった友魚と、醜怪な姿で生まれ瓢箪の面をつけた犬王が出会う。二人は友となり、犬王は友魚に「俺のことを曲にしろよ」と持ち掛ける。犬王を語る新曲は続々と作られ評判になり、二人とも成功してゆくが。歌うような文章が美しい。会話もあるけれど地の文が主。能を舞うごとに犬王は本来の美しい身体を取り戻してゆく、その様はどろろの百鬼丸のよう。何者かの存在に唆された父により殺された琵琶法師たちの霊、彼らの歌う平家物語、醜く生まれた犬王が彼らを浄化し能を極める。しかし足利義満に寵愛され平家物語は世阿弥本以外禁止。友魚は死の前に自分が視力を失ってからこれまで、平家の霊や琵琶法師の霊も、何かにそうさせられていたのだと悟る。語られないが芸能の神かもしくは鬼のようなものだったんだろうなと。アニメ映画になるそうで楽しみ。だから読んだというのもあるけれど。短い話だったけど、犬王と友魚の会話や交流がもっと見たかったなと思う。監督湯浅政明、キャラクター原案松本大洋。かなり特殊な文章だけど、時系列にして会話増やせばいけそう。変身していくシーンは湯浅監督らしさが出そうな感。ラストで昇天する犬王が友魚を迎えに行くという言葉で締めてほしいね。

「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」
三嶋与夢著。娘が熱心にプレゼンするので漫画で読み、続きはなろうで読書。異世界転生したらゲームの世界、でも介入したことでストーリーが変わりさらにゲームには続編が。後になるとシリアスになり戦いに巻き込まれてゆく。ジブリやルルーシュの雰囲気も。

「富豪刑事」
筒井康隆著。娘の読書感想用。富豪の神戸大助刑事が富豪力で事件を解決する全部違うタイプの4編。五億円強奪事件は4人の容疑者を煽って真犯人を特定。密室殺人事件は会社を作り犯人の再犯を誘う。子供誘拐事件は偽銀行員になり身代金を用立て。東西暴力団の談合の監視にホテルを貸し切り。娘は初めての筒井康隆。楽しく読んで感想文が進んだ。読者に話しかけてくるんだけど?と面白かったようで。誘拐事件で解決までをAからEに分けたり、文章のギミックも興味深かった模様。でもって推理小説ではないねと。娘はドラマは見るけどあまり推理小説は読んでないはず。と思ってたら

富豪刑事から久々に短編集を読んだ。色々な書き方をしているのに、筒井康隆は読みやすい。
「薬菜飯店」ジョジョのトニオの店の元ネタときいて
「夜のコント・冬のコント」
偽魔王の映像的表現の的確さが凄い
「鍵―自選短編集」
昔読んだ佇む人を娘にも読ませてみた
「懲戒の部屋 自選ホラー傑作集1 」
不条理な災難に救いなし。オチはなくバッサリ終わる。描きたい表現を書く作風かな。「かちかち山」や「ヨッパ谷」きれいな映像が浮かんでくる。「くさり」は少女の一人称ゴシックホラー、「顔面崩壊」「蟹甲癬」「二度死んだ少年」はグロい。エロは息するようにさらっと出てくるが魚籃観音記はポルノテーマなのでエロい。SF、ブラックユーモア、風刺はどれも含まれている感。

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