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2020年06月19日18:23

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どうして男は女に夢を捨ててくれというのか(環のパリの物語)

昨日今日のNHK朝ドラ「エール」は、双浦環(柴咲コウ)のパリ時代の恋人、今村嗣人(金子ノブアキ)とのスピンアウト・ストーリー。https://news.yahoo.co.jp/articles/c577cbc038bd482f9414c91aad8df425f2a62259

環と嗣人はパリのサロンで出会いひかれあう。彼は新進気鋭の画家で彼女はオペラ歌手を目指してともにパリに留学していた。一緒に暮らしはじめともに夢にむかって進む同志として支えあっていた二人だが、いつしか形勢は逆転。出会ったころは優位に立っていた男はだんだん売れない画家になり、環はオーディションに合格しプッチーニの歌劇「蝶々夫人」の主役に抜擢される。そして男のほうが次第に環の才能に嫉妬する自分に耐えられなくなり破局する。
まぁよくある話でこれが男女逆だったらこうはならないだろう。女の側が男の才能にほれ込み支えるのは自然だが、男の側が女の才能にほれ込みどこまでも支えるということはなぜこんなに不自然なのだろうか。ジェンダーレスの今の時代は支える男も増えているが正直な心情として男は今でも有能な嫁を持ったらしんどい。ビジネス上でもパートナーであるとかならいいだろうが、女に対して社会的に優位に立ちたい気持ちって(家庭内で尻に敷かれていたとしても)これは理性とか関係なく男の本能のような気がする。相手を利用してやろうというくらい図太い男ならそう思っていてもそうはいわずに関係を続けることはできただろうが。
嗣人がキレて自分の作品をナイフで切り裂いても「あなたには才能があるのよ」という環の言葉を遮り「君のそういうやさしさが人を傷つける」「君という光の影になるのは耐えられない」という。彼を思いやる環に逆にその包容力を見せつけられますます自分が卑小な存在に思える。そして最終的に「環、君を愛している。僕のために歌をやめてくれ」と言ってしまう。
本音では彼女より対等もしくは上の立場にいたいのに今までは自分を偽り環を尊重する心の広い男を演じてきた。しかし実際は彼女の成功を喜べない心の狭い男なのだ。しかしプライドは高いので女に上から目線で憐憫の態度をとられるのにも耐えられない。相手の一番大切な夢を奪うことで自分への愛を示せという。
彼が彼女を刺さなくてよかった。


双浦環のモデル:大正時代の国際的オペラ歌手三浦環が50代のときに婦人公論に寄せた手記が興味深い。ほんとに数奇な運命。今日のスピンアウト・ストーリーはそんな彼女の半生に取材して書かれたものかもしれない。嗣人はおそらくパリで活躍した藤田嗣治がモデルなんだろう。この二人が出会った事実はないが。

三浦環の軌跡【1】
https://news.yahoo.co.jp/articles/f477ead40d3d4227657b2a264f466cace4fb95fc

三浦環の軌跡【2】

「ぼくのために音楽を捨ててくれるかい?」(最初の夫・陸軍軍医藤井善一のことば)
https://fujinkoron.jp/articles/-/2183?page=3
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