mixiユーザー(id:411965)

2020年05月18日01:23

183 view

「ダンジョン飯 9」コミック

『ダンジョン飯9』
<ストーリー>
 狂乱の魔術師を捜してダンジョンの底を目指すライオス一行はサキュバスの群れに襲われる。一方ダンジョンの底に落下したカブルーとそこで遭遇したミスルン隊長と共にエルフ部隊と合流をしようとするのだが、そこでミスルンの衝撃的な過去を聞く・・・
<コメント>
 最初は魔物をいかに「食う」かをテーマにした変形グルメマンガかと思っていたけれども、龍に喰われた妹を復元してからはかなりストーリーが込み入った冒険ものとなってきていた。そして主人公のライオスがもっぱら「魔物をいかにして喰う」かの旅を続けるのに平行してこのダンジョン世界の成り立ちを本気で考えてそこに挑戦する人々を描くことで物語が重層化してきている。
 今回の9巻では後半はライオスではなく、カブルーが主役となっていてミスルンから聞かされたダンジョンの成り立ちが説明される。「罠が張り巡らされて魔物が棲むダンジョン」なんて様々な映画を参考にした製作者がゲームのために考え出した設定で実際には何の理屈もない」という一般的なお約束ではなく、なぜダンジョンが産まれたのか、そしてその奥には何が潜むのかを描いているのである。そしてその理由も攻略も実におぞましいものなのだ。
 この巻の最後まで読むと慄然とするのだが、中盤ではライオスが有翼の獅子によって夢に描いた平穏でそして魔物と人間が共存する町での幻覚を見せてもらう。これ自体は素晴らしいイベントでライオスの主人公たるレーゾンデートルを示されるのに、最後まで読むとそれさえもが狡猾な罠に思えてくるのだ。
 濃密な面白さを味わえる9巻であった。

ダンジョン飯 9巻 (ハルタコミックス)
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=411965&id=4963613
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年05月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31