「本の雑誌」6月号の特集で「続きを翻訳して欲しいシリーズ」のアンケートがあった。葉書に書いて送ったのだけれども、ボツになったので改訂版としてここで披露。
「続きを翻訳して欲しいシリーズ」
『殺人機械シリーズ』ウォーレン・マーフィー作で東京創元社から11作まで翻訳出版されたが、そこでストップした。
「大統領命令でアメリカの治安を乱すものを密かに暗殺する組織キュア。この組織のエージェントで朝鮮の暗殺術シナンジュを徹底的に教え込まれて超人的な技能を手に入れたレモ・ウィリアムズと師匠のチウンが様々な陰謀に立ち向かう」という仰々しい設定のわりに主人公が師匠に内緒でハンバーガーを食べたものの身体構造そのものを鍛えすぎていたためにショックを起こして倒れてしまったり、師匠のチウンはアメリカのどこに行っても昼メロを見るのを欠かさなかったりとユーモア満載でともすればアメリカを転覆させる陰謀よりもそちらのほうが面白かったりする作品。「殺人機械」というわりには殺すのは事件を解明して最後の黒幕だけだったりして、実際の殺人量は極めて少ない。まあ、そのあたりが受けた理由なのだろうなあ。なんと旧シリーズだけで145作も続いたらしい。
この人気にあやかって映画も作られたのだけれども、その邦題が『レモ第一の挑戦』。もちろん、シリーズ化前提のタイトルなのだろけれども、まったくヒットしなかったために1作で終了してしまった。もうちょっと時代が後だったらビデオスルーで製作されたかもしれない。もちろん、当時このシリーズのファンだったのだ映画館に観にいったのだけれども当時にして「こりゃ、ダメだ」と思ったような気がする。あんな鈍重そうな主人公じゃだめだろう、もっと剃刀みたいなシリアスなキャラクターがドジするような落差こそがこのシリーズの魅力なのに、と。
CSの映画チャンネルなどでときどき放映されることがあるけれども、きっとみんな見る前は「なんで第一の挑戦しかないんだ?この映画は」と思うかもしれないけれど、観たら「まあ、仕方がないか」と納得するだろう。
でも、原作は面白いんだよ。
そりゃあ、145作まで続いたものを全部翻訳してくれとは言わないけれどもせめて2007年から新たに出版された「新・デストロイヤー・シリーズ」でもいいから翻訳してほしい。
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