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2020年01月30日22:10

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ユーラシア文明とシルクロード―ペルシア帝国とアレクサンドロス大王の謎 児島 建次郎, 山田 勝久, 森谷 公俊 雄山閣 2016年6月

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p.116
よって宮殿の火災が入念に準備された計画的な放火であったことは明らかである。
p.121
「身代わりの王」とは、王の生命が月食などの凶兆によって危険にさらされた時、身代わりが一時的に王の役割を担い、王に予兆された危険をその身に引きつけて王の生命を救うというものである。
p.122
その治世は(アッシリアでは)一〇〇日間続き、その間本物の王は宮殿にこもって外には出ない。…これらを総合すると、マケドニア軍の急接近という危険からダレイオスを遠ざけるため、「身代わりの王」の儀礼が実行されたと解釈できる余地がある。ダレイオスが結局殺害されたことは、この儀礼が失敗に終わった、あるいはアレクサンドロスの猛追のゆえ状況が変わってしまったことを意味するであろう。
p.128
(15) Kuhrt(2007)p.421,454;Waters(2014)p.215. アレクサンドロスの晩年にも、大王自身がそれと知らぬうちに同様な儀礼が行われた(A七・二四・二―三、D一七・一一六・二―四、P七三・七―七四・一)。前三二三年のこと、バビロンでアレクサンドロスが玉座を離れた間に見知らぬ男が玉座に上がり、王の頭飾り(ディアデーマ)と王の衣装をつけて座った。大王は陰謀を疑って男を尋問したが要領を得ない。占い師から不吉な前兆だと言われたので、大王はこの男を死刑にした。なぜこのような事件が起きたのか。これより前にバビロンの神官たちが大王の凶兆を知り、バビロンに入らないよう勧告したが、結局大王は市内に入った。このため神官たちは「身代わりの王」の儀礼を用いてアレクサンドロスの生命を救おうとしたのだと解釈できる。
p.133
 七つの段階には、「大鴉・花嫁・兵士・獅子・ペルシア人・太陽の使者・父」という名がつけられており、この奥儀到達への試練の関門をへて得られる死の境地こそ、人々の希望であった(足利惇氏『ペルシア帝国』)。
p.140
 パルミラの語源は、「パルム=ナツメヤシ」といい、ヘレニズム時代以降ギリシア人にそう呼ばれていた。
p.149
 この頃、領土内が大飢饉に見舞われ社会の不安が蔓延する中で、五世紀頃に登場したのがゾロアスター教の祭司マズダク(マズダグ)であった。マズダクがイラン社会に出現したのは、マニ教が没落してから二〇〇年後のことであり、彼は、イラン東部ホラサーン州のニシャプールの出身で、宗教思想としては、頽廃期におけるゾロアスター教の一産物といえるものである。
 マズダクは、現実世界における一切の罪悪の主因は嫉妬・憤怒・貪欲にあり、これらを解脱の妨害物ととらえた。…
 現世に欲望をもたず、無所有を徳として不殺生や禁欲を良しとし、肉食を禁じ土地所有の執着を断つためにすべてを共有にするなど、マズダクは社会が原始的理想社会に帰ることを説いたのである。
20200131
p.185
 キャヴィール砂漠の北縁沿いのイラン北道と、ルート砂漠の南縁沿いのイラン南道のうち、北道をシルクロード、南道を薬の道と呼び、南道はインドからの香料の輸送路として利用された。
p.197
 走行すること三日、強風によって削り取られた地表がどこまでも続いていたが、やっと風化土堆群(ヤルダン)を越えて龍城に入った。
p.198
 壁に描かれた人物像の髭、襟、袖口、バンド、グラス等を詳細に調査したところ、ペンジケントの祝宴図と類似するところが多く、民族を知る上で貴重な図像資料となっていることが分かった。
p.200
私も、カシュガルとクチャの中間に位置する西域三六国の一つ、尉頭国の調査中、拝火教の寺院と仏教寺院が四世紀には隣接して存在していることをつきとめた。
p.202
とくに楼蘭における銅銭の使用は、中国本土に先立ち一世紀末からすでに貨幣経済が確立していたことを示している。
p.203
もともと本格的な堤防があるわけではなく、夏期の雪どけの水は、ひたすら低地をめざして流れ、一番低い部分、すなわち、タクラマカン砂漠の平均高度より約一五〇メートルの低さ、海抜七八四メートルのロプ・ノールに注いでいる。だが、緑豊かだった楼蘭周辺も、ロプ・ノールとの高度差は九メートルしかなくなり、水不足により次第に樹木も枯れて砂漠化、土地は疲弊し地下の岩塩が灌漑によって地表に集積して塩害を起こし、作物が生育しづらくなっていった。
p.204
三世紀から四世紀にかけての住民の平均寿命を、出土文物から推測すると、約五〇歳である。王国が存続した約六〇〇年間で、死亡した住民のトータルは二〇万余にのぼる。…
…こうした埋葬の形態は、一部の支配者階層に限られているが、それでも楼蘭故城の近辺の墓は一二〇〇体を下らないのであるから、住民は大樹を大量に伐り倒していたことがわかる。
p.205
法顕の『仏国記』によれば、楼蘭には「四千余人の僧」がいて、すべて小乗仏教であると記している。
p.212
没年は咸通一五年(八七四)とされており、伊藤義教先生の調査によれば、この墓は、スーレーン家出身の蘇諒氏の妻、馬氏のもので墓碑が残っている。
p.217
また、マニ教は中国では「喫菜事魔=採食して魔神に仕える」といわれ、大雲光明寺を建てたというが場所は不明である。
p.228
そして、アパダーナ(謁見の間)やトリピュロン(三門宮=王と高官の協議の場)、ダレイオス宮殿などの階段側壁の三角形の中央には、有翼円盤で表されたゾロアスター教の主神アフラ・マズダが浮彫で描かれている。
p.229
奥正面の上段の「帝王叙任式」は、中央にホスロー二世、左右にアナーヒター女神とアフラ・マズダが描かれ、王権の象徴である日輪を授かる場面がみえる。
p.232
現在のクリミア半島のクリミアという呼称は、キンメリアの訛音であり、「キンメリア・ボスポロス」は、黒海とアゾフ海を結ぶケルチ海峡のことである。
p.242
ペルシア語で通過するという言葉を「ウィダダン」と発音するが、これが音写され「ダダン=達陀」として火を通過する行法になったという。…
…すると彼は「ウィダダン」という言葉は、今でも「行く」という意味で時々使っているという。
p.243
これについて、伊藤義教先生は、
 「をにふ」という名にイランの女神のアナーヒターが引き当てられた。
と解した。
p.244
修二会にも「牛王の灯心吊り」や「牛玉宝印」など要所要所に牛を重用する場面がみられる。
p.252
白絹のチャドルに銀の靴、緑のアイシャドーにアイラインを引き立たせ、切れ長の大きく見開いたエキゾチックな目、魅惑的な濃い口紅、豊満な乳房といった女性の姿を見ていると、アラビアンナイトの世界に引き込まれたような錯覚におちいる。
p.253
鼻が高くモデルにしてもいいほどの美人である(口絵写真)。
p.255
つまり、鷲鼻を豚鼻にする手術が流行しており、シーラーズでガイドを務めてくれたフランス語と英語が話せるアミリさんも、近いうちに手術をすると話していた。街で鼻に絆創膏を張っている女性を見たら、手術の跡だということで、美に対する女性の欲求は、どこの世界でも変わらないのかもしれない。
p.256
 毎日新聞の記者で数年間イラン駐在を務めた春日孝之氏の著書『イランはこれからどうなるか』に、改革派のハタミ政権時代にイランで初めて女性副大統領を務めたマスメ・エブテカールさんの話が紹介されている。
 西洋では女性が肌を露出させ、その美しさを誇示することが性の商品化につながっている面がある。これこそが女性の隷属ではないか。
p.266
トルコ軍がアクロポリスを占領していましたが、弾丸が不足していたトルコ軍は、弾丸を作るために円柱をこわしてつなぎに使われていた鉄を取り出そうとしました。ギリシア人は、その話をききつけ、トルコ軍に円柱に手をふれるな、弾丸は提供すると伝えた。
p.268
 大英博物館は、世界中の文化遺産を集めているところであるが、同博物館は、
  他国の政府から正式に返還要求を受けているのはこの彫刻群だけです。
という。


■ジェームズ・ボンドの敵役にも抜擢 勇敢な役者、ラミ・マレックの軌跡を振り返る
(リアルサウンド - 07月02日 08:01)
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 主要映画賞レースを席巻したのみでなく、多くのリピーターを生み興収は音楽伝記映画歴代1位を記録、さらにクイーン楽曲のリバイバルブームまで巻き起こした昨年の『ボヘミアン・ラプソディ』ムーヴメントは、もはや社会現象と呼ばれるまでとなった。


参考:異例尽くしの『ボヘミアン・ラプソディ』 遂に2018年度興収1位作品の座も確実に


  クイーンの伝記映画の製作を知ったとき、多くの映画ファンがまず真っ先に頭に浮かべたのは「フレディを演じることのできる役者はいるのだろうか?」という懸念にも似た思いだっただろう。未だ世界中から愛され続けるロックバンド、その唯一無二なる存在感で知られる伝説的フロントマンを演じることは、ある意味ではいかなる役柄をこなすより困難であり重圧も大きいことは想像に容易い。しかし、この大役を引き受けたラミ・マレックの熱演はクイーンの熱狂的ファンだけでなく同バンドの存在すら知らなかった若者層、またバンドメンバー本人たちからも絶大なる支持を受け、見事ゴールデングローブとアカデミーを獲得。勇敢な役者は、酷評を寄せつけないどころかまさに全方位から受け入れられるフレディ・マーキュリー像を築き上げ我々を驚かせた。


  マレックのチャレンジングな姿勢が『ボヘミアン・ラプソディ』に始まったことではないことは、彼自身によるこれまでの役歴を見れば明らかである。キャリア初期の『The War at Home(原題)』ではセクシャルマイノリティの少年、『ナイト ・ミュージアム』シリーズでは若きエジプト国王、『24-TWENTY FOUR-』では自爆テロ犯、日本でも放送されたTVシリーズ『ザ・パシフィック』では“鼻持ちならない嫌な奴”として登場するも次第に主人公に寄り添っていく人情深い伍長役を演じ、繊細な人格描写のグラデーションが評価された。その後も『幸せの教室』にトム・ハンクスによって見いだされ出演し、『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンPart2』ではエジプト族のヴァンパイア、そして一躍彼の名を知らしめることとなった主演作『MR.ROBOT/ミスター・ロボット』は2015年の放送開始から現在まで続く人気シリーズとなっており、昼間はセキュリティ・エンジニア、夜は敏腕ハッカーとして暗躍する孤独な男エリオットを演じている。


 そして『ボヘミアン・ラプソディ』の前年に本国にて封切られ、現在日本でも公開中の『パピヨン』における主人公の盟友ドガ役ではマレックの役者人生おいても特筆すべき好演をみせた。1974年の公開以来“脱獄映画の金字塔”と知られる同名作品のリメイクである本作は、蝶(パピヨン)の入れ墨を持つ勇ましい主人公を演じたスティーヴ・マックイーンとその盟友となる天才詐欺師ドガを演じたダスティン・ホフマンによる演技合戦が今もなお語り継がれる。


 オリジナルにてダスティン・ホフマンが演じたドガは頭の切れる脆弱男という印象を残したが、同役を受け継いだマレックはその強烈な存在感を放つ眼光のごとく尖る矜持を秘めた、バイタリティあふれる新たなドガ像を形成し、名優のやり方をなぞるのではなく革新的な演技アプローチをもってキャラクターに更なる深みを与えた。エジプト王からヴァンパイア、そして映画史に残る不朽の名役まで目を見張るほど多様な役柄をこなすキャリアと創造性あふれるキャラクター描写からは、彼の大いなる野心が見てとれる。


 ラミ・マレックは1981年ロサンゼルスにエジプト人の両親のもと生まれた。弁護士を志し高校時代はディベートクラブに入部するも、自身のアラビア語訛りによるコンプレックスから話し合いに参加できないでいたという彼は、後に「周りの皆と文化が違うということで自信を無くしたんだ。間違った発音で自分の名前を呼ばれても、当時の僕には訂正すらできなかったよ」と回想している。アイデンティティの壁にぶつかるなか、自信を取り戻すため考えた末に編み出したのは“キャラクターを創り出しその役柄を演じる”という策だった。そうして少しずつコンプレックスを克服していた彼のディベートから類稀なる感情表現の才能を見たクラブ顧問の勧めで一人芝居の舞台を踏んだことがきっかけとなり、本格的に演劇のキャリアをスタートすることを決意したという。


 「エジプトから来て子供たちのためにより良い生活を求めた両親は、僕に医者や弁護士になってほしかっただろうと思う。だからこそ僕は彼らに、僕のやり遂げたいと望んでいることを見せないといけない」「自分が本当に望んでいることに挑戦しないという選択肢はない。僕は自分に何ができるのか常に知りたいと思っている。自分にできる範囲をやれるだけ拡げていきたいし、そのための挑戦を続けたいんだ」。そう語るマレックの大志は、敬虔なゾロアスター教であったインド出身の父親に反対されながらも新たなアイデンティティ“フレディ・マーキュリー”を確立させ、貫き通した末にライヴ・エイドのステージを両親に見届けてほしいと願ったフレディの思いにも通じるのではないだろうか。


 飽くなき情熱の末にゴールデングローブとアカデミーを制覇し、現在ハリウッドで最もオファーを集める役者の1人となった彼が次に演じるのは、007シリーズ最新作『BOND 25』にてジェームス・ボンドの敵となる悪役だとアナウンスされている。「歴史ある人気シリーズの大役を任され、『ボヘミアン・ラプソディ』の時と同じくらいプレッシャーを感じていることは確かだ。それでも、今からボンドと対決するのが楽しみで仕方ないよ」と語った“野心あふれる男”ラミ・マレックの新たなる挑戦に期待が高まる。


●参照
https://youtu.be/zmKdqB0ZBtE
https://www.npr.org/templates/transcript/transcript.php?storyId=669850052
https://www.digitalspy.com/movies/a28105578/bond-25-rami-malek-addresses-filming-trouble-daniel-craig/


■菅原 史稀
編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。


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