バイクと車の運転で、最も難しい事の一つにパニックブレーキがあります。
普通の急ブレーキと何が違うかと言うと、パニックブレーキは物理的に間に合わないと判断した時の急ブレーキです。つまり事故寸前または事故になる時のブレーキです。
横から急に何か飛び出してきて物理的にブレーキが間に合わない時や、ブレーキが遅れて間に合わなくなった時などが該当します。
たいていは、タイヤをロックさせて、そのまま衝突するか、急ブレーキをかけながら、避けようとしてスピンするか、バイクの場合は転倒します。
パニックブレーキの練習方法があるかというと、結論は、これはありません。
パニックブレーキは物理的に間に合わない状況でのブレーキですから、このような状況を作り出して練習するのは危険すぎます。
究極的には経験を積むしかないのですが、パニックブレーキを踏むような経験はしたくありませんよね。
そのような状況を作らないようにするのが、当たり前ですが安全運転の基本です。
しかし、長い期間、数十万キロも運転していると、必ずかけないといけない状況にあいます。この時、事故にならないよう練習しておいたほうが良いと思います。
パニックブレーキを踏む練習は出来ませんので、急ブレーキと急ブレーキをかけながら避ける練習をしておくしかありません。
私はバイクと車で35年、約140万キロの運転経験がありますが、パニックブレーキをかけたのは覚えているだけで過去7回です。
約20万キロに1回の割合という事になりますが、経験の浅い初心者の頃に失敗は多かったです。
7回の内訳は、バイク4回、車3回です。
バイクのほうが多いのは、バイクのほうがブレーキが難しいので、パニックブレーキと感じる事が多いのだと思います。(車は少しくらいタイヤがロックしても何も怖くない)
長くなりますが、過去7回のパニックブレーキの経験を、なるべく簡単に書いてみたいと思います。
まず1回目は、35年前、高校1年生の時です。
友人に借りたバイク、RZ50で典型的な左折巻き込みでパニックブレーキをかけて失敗して転倒しました。
後で、何で転倒したのだろうと思い、現場に行ってみると、下がグレーチング(金属製の金網)になっていました。
避けながら急ブレーキをかけたので、路側のグレーチングの上での急ブレーキになってしまったのです。
路面状態まで確認してブレーキをかける余裕がなかったようです。
2回目は高校2年生の時です。
首都高速湾岸線で夜の雨の下り坂の第二通行帯で、なぜが前車が急ブレーキによる停車。
こちらは後輪を滑らせながらの約120キロからの急ブレーキで何とか転倒せずに止まりましたが、後続の車がとまれず、猛スピードで追突されました。
両足骨折の重傷で、左足は5回手術しました。
転倒していたら死んでいたと思います。
3回目は高校3年生の時です。
4輪の免許をとってすぐに、レンタカーでスターレットを借りました。
箱根に走りに行き、旧東海道七曲がりの下り坂で、ブレーキが間に合わず、そのままコンクリートの壁にまっすぐ衝突しました。
当時バイクはNS250Rに乗っていたのですが、それと同じ感覚で走っていたのが敗因でした。
レンタカーのタイヤは安物で細いプアな物でした。
思っていたより勾配が急だった事もあります。
この事故で、フロントタイヤをロックさせると、ステアリングがきかなくなり、制動距離も長くなる事を学びました。
これ以降、ロックしたらブレーキを緩めるよう練習しました。
4回目は30年くらい前で、雪が降ったのでAE86で箱根に走りに行きました。
右コーナーでドアンダーで、ガードレールに衝突しました。
見た目は普通のコーナーなのですが、逆バンクになっているのか、登りに見えるのに下り坂になっているのか、不思議と曲がらないコーナーです。
ロックしてブレーキを緩めたのですが、アンダーを修正できませんでした。
雪では、とにかくアンダーは絶対に出してはいけない事と、見た目より勾配がきつかったり、そうは見えないけど逆バンクになっている可能性のコーナーがあり、特に雪の日はたいへん危険と学びました。
このコーナーでは同じ日に2回連続で事故っています(事故った後も自走できたので、走り続けました)。私は魔のコーナーと呼んでいます。
5回目は、典型的な右直事故のパターンです。
AE86で環八を直進中に、黄色信号で交差点に進入したら、対向右折車と衝突しそうになりました。
ブレーキロックの後に、ブレーキを緩めて左に避けれたので、何とかぎりぎりで衝突を免れました。
6回目は(7回目かも)、これも同じ環八の同じ交差点です。
なんと相手も同じ車です。
私はバイクでした。
2回あったので、気づきましたが、相手は故意にやっているキチガイでした。
黄色で進入してくる車がむかつくのか、黄色で故意に急発進してきました。
私は第三通行帯を走っていて、第二通行帯の車を壁にしているつもりで油断していました。
相手は、第二通行帯の車をびびらせてやろうと思ったみたいで、第二通行帯の中央まで急発進してきました。私の存在には気づいていなかったようです。
完全に進路を塞がれた私は、もう衝突を覚悟しました。
最後まであきらめないでブレーキをかける方針なので、前後共に限界ブレーキをかけて、どう受け身をとるか考えていました。
第二通行帯の車が左に避けたので、私が逃げるスペースが出来たので、ブレーキを緩めながら左に避けて、なんとかギリギリで衝突を回避できました。
故意にこういう事をやってくるキチガイがいる事を学びました。
私も隣の車も黄色になった時点で、停止線で止まれないタイミングなので、信号無視ではありませんでした。
7回目は(6回目かもしれない)、ヤビツ峠で対向車のダンプと正面衝突しそうになりました。
間に合わないと思い、パニックブレーキをかけました。
バイクも車も、急ブレーキをかけながら曲がろうとすると、フロント荷重になり後輪が滑り出す事があります。
車の場合は、そのままスピン状態(ドリフト状態)を維持して、ブレーキとして利用して止まる事があります。
この時はバイクですが、もう普通には止まれないので、4輪と同じように、かっこよくスピンしてとまろうと思いました。
結果は失敗で、最後におつりをくらって、プチハイサイド状態で転倒しました。
停止する瞬間のおつりによるハイサイドだったので、バイクもほとんど壊れず、ほとんど怪我もしなかったです。
ダンプも急ブレーキで止まってくれたので助かりました。
今度同じ状況になったら、おつりを考えて、バランスをとろうと思いました。(同じ状況には、まだなってないです)
さて本題にもどって、急ブレーキと、急ブレーキかけながら避ける練習の方法です。
前にも書きましたが、急ブレーキは信号でとまる時に、後ろから何も来てない時に練習するのが良いです。
停止線までに止まれないと判断したところから、かけ始めれば、疑似パニックブレーキの練習になりますが、危険なので、そこまではお勧めしません。
停止線に急ブレーキで、ぴったり止まる練習が良いと思います。
あと、安全な状況でのコーナーの進入前の急減速も練習になります。
4輪の場合は、バイクに比べて、転ばない分ブレーキが簡単なので、雨の日に練習するのが良いです。雨の日はロックしやすいので、限界付近のコントロールが上手になります。ABSが付いていない車は、左右どちらかのフロントが先にロックするので、その瞬間にハンドルが取られます。どちらかがロックした瞬間にすぐ一瞬緩めて、すぐ掛け増します。取られたハンドルもすぐに修正して体勢を整えます。
急ブレーキをかけながら避ける練習は、
ブレーキをかけながらの車線変更は一応練習になります。
ただし練習で転倒したら馬鹿らしいので、最初は、あまり急ブレーキにしないほうが良いでしょう。
コーナーの進入時の急減速の後に、ブレーキを抜く作業は練習になります。
ブレーキに100%タイヤのグリップをつかっていると、曲がる事はできないので、速いコーナーリングをする為には、このブレーキを抜きながらフロント荷重を維持するのが大事です。
常日頃から、このようなブレーキの使い方をしておけば、いざパニックブレーキをかけなければいけなくなった時に、役に立つ可能性があります。
パニックブレーキ時は、いつもより力が入ってしまうので、タイヤをロックさせやすいです。
いつもより力を入れればブレーキがよく効くわけではないですから、ロックした時にブレーキを緩める作業が重要です。
パニックブレーキ時に、いつもやっている限界ブレーキと、限界コーナー進入時の状態を(ブレーキを緩めながらのコーナー進入状態を)、いかに作れるかが重要です。
パニックブレーキ時は、バイクを垂直に保つ事も重要です。
バイクが傾いていなければ、少しくらいフロントロックしても問題ないです。
ロックしたら、パッとブレーキを離すのではなく、掛けたまま少し緩めて、またすぐ掛け増します。ウエットでの高速からのブレーキングでは、この作業を繰り返します。
急ブレーキの練習の時に、いつも左右の重心の位置を把握して、重心がずれないように意識する習慣を付けるのが良いです。
ブレーキをかけながら避けないといけない時は、100%のブレーキを緩めてからハンドルを切ったりバイクを傾けたりします。
バイクのフロントからの握りゴケ対策としては、ガツンとブレーキをかけない事が重要です。間に合わないと思ってのブレーキなのでガツンとかけてしまいがちですが、普段からガツンとかけない急ブレーキを練習しましょう。
いつも書いていますが、一瞬リアから先にかける事を習慣にすれば、フロントを一気にロックさせないですみます。後ろと前のサスペションを沈めてからフロントブレーキを強くするようにしましょう。同時にリアブレーキは緩めていきます。
0.1秒早くリアからかけて、その後0.5秒でリアサスとフロントサスを沈めて、それからフロントを強めていきます。急ブレーキでは、このかけ方を普段から習慣にしましょう。
まぁ、言葉で書くのは簡単なのですが、いざパニック時にやるのは、難しい事なんですけどね。
難易度は、コーナーで滑ったタイヤをコントロールするのと同じくらいなので、最も難しいライディングテクニックの一つと言えますが、練習をして経験を積めば必ず出来るようになるでしょう。
ここで書いてるのは理屈ですが、それを繰り返しの練習で体で覚えさせて、感覚で無意識に出来るようになるのが理想です。
速く走るブレーキの掛け方
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