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2019年09月03日15:31

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教会三題@ヘルシンキ 赤レンガ造り・白亜の殿堂・そしてなにこれ? 

 前にも書いたが、ヘルシンキに着いたのは日曜の夜。翌日は美術館でもと思っていたが、はたと気づけばこちらでもそういうところは月曜日は休み。急遽予定を変更して著名な教会三箇所を回ることに。

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 最初は、港のすぐ近くの丘にある「生神女就寝大聖堂」(別名、ウスペンスキー寺院)という日本ではあまり聞かない寺院名である。「生神女就寝祭」とは聖母マリアの永眠を記念するという意味のフィンランド正教会(ギリシャ正教会やロシア正教会と同系列)の大祭のひとつで、カソリックの聖母被昇天の大祝日に相当する。
 したがって、生神女就寝大聖堂とはその大祭を記念する寺院ということになる。

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 こうした寺院は、正教系ではどこにでもあり、ロシア正教のモスクワ、クレムリンにあるそれは、世界遺産になっている。

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 赤レンガ造りの生神女就寝大聖堂は南港から手を伸ばせば届くようなところだが、なかなか急峻な坂を登らねばならない。登りきったところにそれはどんと構えていた。多くの観光客が周辺を回るようにして眺めている。
 中へ入ろうとした。ロシア正教のそれはサンクトペテルブルクで入ったから何となく分かるが、ヘルシンキではどうなんだろうという期待感がある。

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 しかし、教会入口は無情にも閉じたままであった。公開時間があるのだろうか、それとも美術館同様、月曜日の一般公開はしないのだろうか。
 境内の敷地から、この丘で南港と隔てられている北港を見下ろすことが出来た。この辺りも、時間があれば散策してみたいところだと思った。

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 次の目標、大聖堂を目指す。白亜のこの聖堂は、ヘルシンキのランドマークのようで、各種の観光ポスターやガイドブックの表紙を飾っている。

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 ここはフィンランド福音ルター派教会に所属する寺院であるが、その規模は先程の生神女就寝大聖堂に比べ、遥かに壮大である。しかもそれが、宝塚もびっくりという大階段の上に鎮座していて、さらにその階段の下は、元老院広場という広々とした石畳が広がる空間があり、その中央にはロシア皇帝アレクサンドル二世の銅像がそびえている。

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 なぜロシアの皇帝がというと、1800年代初頭、ロシアの支配下にありながらも、フィンランド大公国の設立が許され、公用語としてフィンランド語の使用も許され、自由な時代を謳歌したその時代の皇帝がアレクサンドル二世だったからである。

 しかし、やがて、1835年に出版された民族叙事詩「カレワラ」の一節にもあるように「われわれはスエーデン人には戻れない。しかし、ロシア人にもなれない。そうだ、フィンランド人でいこう」ということで、さらなる完全自治を求めることとなる。

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 さて大聖堂の方だが、ここは入ることが出来ないものかと、疲れた足を引きずって入り口の扉の見えるところまで大階段を登ったが、それがが閉まっていて、どうも人も入ってゆかないようで、その時点で諦めてしまった。
 しかし、帰国してから改めて調べると、その時間、ここはちゃんと入場可能だったらしい。きっと、ほかの入口があったのだろう。しまったことをした。

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 この大階段は、親しい者同士が隣り合って色々語り合う場所として人気があるらしい。ローマのスペイン広場を連想するが、そのスペイン広場の方は、今年から立ち止まることすら禁止になったようだ。その点ここは、より広々としているようだから大丈夫だろう。

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 さて、もうひとつの教会は、テンペリアウキオ教会といい、やや離れていたが、ぜひ見ておいたほうがいいという触れ込みだったので、疲れた足を引きずり、トラムを二本ほど乗り継いで、最寄りと思われたところで降り、坂道を登る。どうも小高いところにあるようだ。しかし、地図も参照し、人にも訊ねて、確実にそこへと接近しているのに、それらしいものが見当たらない。

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 人は教会を訪ねるとき、何を目印に探すだろうか。十字架のついた尖塔、あるいはドーム、鐘楼、などなどではないだろうか。私もそれらを目当てに上を向いて探していた。しかし、それらしいものはない。
 地図が指し示すところへ来た。そこにはなにか、低い建物があって、人が出入りしている。ちょっと見、劇場のようでもある。

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 狐につままれたようで、やはり間違えたのかといったんは通り過ぎようとした。しかし、もしやと思い、人の流れを整理をしていたスタッフらしい人に訊いてみる。「これは教会であるかや?」。返ってきた答えは、「しかとさようである」。
 え、え、え、これが教会?まるでかつてのアングラ劇場の入口ではないか。

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 入ってみて驚いた。確かに教会なのだ。ただし、思い描くようなドームの高い天井の下の教会とは違って、回りは岩肌で、その円形の空間に、丸い天井を乗せた、まるでUFOのような教会なのだ。
 やがて回りから聞こえた英語を聞いて、すっかり納得することが出来た。「ロック・チャーチ」。そうなのだ、この教会は岩山の頂上部分を円形にくり抜きその上に天井をしつらえたユニーク極まりない教会なのだ。

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 福音ルター派に属するというこの教会の歴史は新しい。デザインコンペにより選ばれたもので、完成は1969年というからちょうど50年前。
 写真でもご覧になれるようにまったく斬新なのだが、ちゃんとパイプオルガンも祭壇も設置されている。

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 けっこう観光客も多く、ざわめいているが、不思議に落ち着ける空間。オルガン演奏はなかったが、ピアノでバロックの曲が流れていたりして(惜しむらくは生演奏ではなかった)、雰囲気も最高。
 かなり歩き回って疲れていたのと、その日の最終行程だったので、ゆっくりと30分ほども過ごしただろうか。

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       丸天井の回りからは自然光が入る 岩山の回りの光景も見える
 
 なお、この教会、周囲の岩石の凹凸がうまく作用しているのか、音響がいいということで、しばしば、クラシックなどのコンサートも開催されるようだ。

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 帰りに、いま一度この教会を振り返ったが、これはどう見たって教会とは思えないよなぁというのを再確認。
 ヘルシンキへいらっしたら、必見。
 あ、他の教会もそれぞれ異なっていて魅力的だったことはむろん。



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