mixiユーザー(id:193044)

2019年08月17日01:25

192 view

【ケネス・クラーク『ザ・ヌード』「VII 陶醉」348】

もうひとつのグループは、マイナデスすなはちバッカント(バッカスの巫女)たちを表したもので、彼女らの身體は「ティアソス」の陶醉に没頭してゐる。これらは、おそらくディオニューソスの祭壇の一部であつたもので、現在ではニューヨークおよびマドリードに保存されてゐるものが最も良く知られてゐる〔215圖〕。これらのモティーフは、後に壺や、水甕や、䑓座や、そ他のあらゆる種類の家具を裝飾するため、ヘレニスム時代およびローマ時代を通じて廣く利用された。それらは、最も早い時期のレプリカ作品に於いても高度に人爲的なもので、紀元前五世紀に創造されたモティーフとは思はれない程であるが、しかし壺繪やフリーズに見られる多くの證據は、確かにこの早い時期のものだといふことを物語つてゐる。踊るスパルタの女たちの場合と違つて、マイナデスの場合は、その表現効果は、何よりも身體に纏はりつく衣裳によるところが大きい。それらの衣裳は、ただ肉體の動きを強調するだけではなく、彼女たちがそのなかで泳ぐ水の流れのやうにすら見える。極めて深いところで、視覺的昂揚をもたらすこの渦卷くやうな衣裳が、藝術作品に於けるこのモティーフの人氣を長いこと支へたものであつたことは疑ひない。我々は、渦卷く水を眺める時と同じやうに、この衣裳の運動に半ば眩惑されて、マイナデス自身がさうであるやうに、理性の支配力を放棄してしまふ。しかし他方、あまりに衣裳の襞

フォト

〔214圖〕カリマコス作品の模刻《踊る女》 B.C.4世紀(?)
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年08月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031