団塊ジュニアと就職氷河期世代――日本の将来に暗雲を投げる多数の潜在的問題のうち、あと20年後には確実に大社会問題になるのが確実な問題の根源が、これである。
◎「失われた20年」に大学卒業期を迎えた世代
団塊ジュニアとは、ウィキペディアによると1971年〜74年までに生まれた世代、という。ピークの73年では、210万人もいる。
彼らが高校に卒業する頃、日本はバブル崩壊で底なしの不況期に入った。大学を卒業する頃は、「失われた20年」の真っ最中である。
したがって彼らの世代は、もっとその前後も含めて就職に苦労する。企業は採用を絞り、一流大学の卒業生すら就職先に苦労し、不本意な進路を選んだ者も多い。世に言う「就職氷河期」世代である。
◎中年期を迎えて5%が不安定な生活
就職氷河期は、あるエコノミストの定義によると、70年〜82年生まれの世代という。団塊ジュニアがその核を形成し、彼らの後の世代も長く就職氷河期に苦しんだ。
この13年間に生まれた世代は、2300万人強もいる。このうち無職者は55万人、望まないのに非正規で働く人が70万人もいるという。
合計125万人、つまり就職氷河期世代のちょうど5%が不安定な生活を送っている。その性質上、多くが未婚で、また貯蓄もなく、ましてや年金の対象外の可能性がある。
この層が、20年後にはほぼ高齢層になる。
◎老人超過保護福祉よりも
その時、日本はどうなるのだろう? 無年金の層は、大量に生活保護になだれ込む可能性がある。それを、膨大に借入の積み上がった日本財政が支える余裕はない。
MMT(現代貨幣理論)に基づく財政膨張政策は、現在の高齢層には心地よいかもしれないが、もうこの頃には新規国債発行余力もなくなり、国債償還財源の捻出に四苦八苦しているだろう。
今の高齢層の要求する(彼らは層として多いし、投票率が高い)福祉政策は、20年後の彼ら現高齢層の息子・娘の世代への配慮をそっちのけにした強欲な強請である。それを削って、少なくとも氷河期世代に目配りした予算措置をとってほしいと願う。
◎給付制で職業訓練を
例えばスウェーデンなどで実施されている給付付きの職業訓練である。例えば人手不足気味のIT教育を2年ほど実施し、参加者にはその間の給与補填分として月20万円くらいの給付を行う。途中で勝手に教育施設を退校したりした輩は、自助・自立意識がないとみなし、それまでの給付分を返還させる。
彼らが首尾良くIT企業に就職し、所得税を納めるようになれば、将来の生活保護予備軍を免れたプラスも考慮すれば、給付分のもとは取れる。
今や中年の域に達した氷河期世代に対し、政治は全く無考慮であった。高齢層と比べれば、驚くべき不公正である。
20年後を見据えれば今、対策が急務だ。
これ以上、遅れれば教育訓練の効果も薄れる。
ちなみに京都アニメーションの無差別テロを起こした青葉真司(41歳)も氷河期世代である。彼らが犯罪予備軍とならないためにも、社会政策として絶対に必要だと考える。
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