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2019年01月22日17:56

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【宮崎駿の空中世界=煉獄】


ジェームズ・ウィリアムズ『万霊節の夜』冒頭(ネタバレ注意)誰かが橋の上に立つて、ぼんやりと眺めてゐる。その視線の先にあるのは、ぼんやりと眺めるには、いささか深刻な光景、墜落した飛行機である。そんな風に数ページを費やしたあと、橋の上のひとは、ふと思ひつくのである。「私は死んだのではないか?」と。彼は死者であり、今見てゐる墜落した飛行機の乗客のひとりだつたのである。この、深刻でありながら、どこか非現実的な光景。「風立ちぬ」の結末で、堀越二郎が立つ、あの風景と、どこか似てやしまいか。町山氏の指摘する、煉獄の風景。「8 1/2」の、登場人物が全員並んで、拍手を送る光景。好ましいものも好ましくないものも混ぜこぜになつた宴会のごとき世界。最近私がたまたま見た絵でいふと、遠景にバベルの塔を配した、バビロンの空中庭園の光景。大いなるバビロンすなはち大淫婦バビロン。天使に破壊されるバベルの塔は、タロットカードの「塔」を想起させ、墜落した飛行機に相当するだらう。墜落を運命づけられたヒコーキ。あるいは、タルホ的な「旅順海戦館」パノラマに於ける、カタストロフの光景。ここに我々の瞑想の対象たる「煉獄」の光景がある。それを我々は、繰り返し描くことになるだらう。
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