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2018年12月23日20:57

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食わず嫌いはいけません(^^;)

まさか,こんな日が来るとは(^^;)
思いを新たにした楽曲,ブルックナー「交響曲第5番」カラヤン/ベルリン・フィル。

私は,音楽の中心にフォーレ,ドビュッシー,ラヴェル,サティといった近代フランス物と,その直系とも言える現代音楽の武満徹,モダンジャズのビル・エヴァンス,ポピュラーの坂本龍一を置いている。

1〜4楽章からなる複楽章,あるいは,第1主題と対峙する第2主題の正反合からなるソナタ形式,そして交響曲というフォーマットから構成されるドイツ音楽は,そのような形式の「型枠」に入れておかないと内容を保っていられない,貧しさゆえの音楽と思っていた。
主題の繰り返しは,語るべき語彙の少なさ,貧しさに由来するものだと(←当時の,個人の感想です(^^;)

その点,フランス音楽は,構成も和声も語彙も豊かで,ドイツ音楽のように,何らかの形式の枠に当てはめることの出来ない,自由で繊細な香り高い音楽と思っていた(まあ今でもそうですが(^^;))
若い頃は,もう近代フランス物一辺倒で,ドイツ音楽はほとんど毛嫌いしていたと言っていい(←当時の,個人の感想です(^^;)

その後,年齢を重ねるにつれ,そんな私も柔軟性を増し,「バッハってやっぱすげぇや!」
と思ったのをきっかけに,「ブラームスも渋くて,ほろ苦くて,そして微かに甘くてイイじゃん」,だの,「『ピアノの詩人』ってのは,ショパンより,万年文学青年のシューマンの方がふさわしい」だの,「ベートーヴェンの,王侯貴族の庇護から自由になり,闘争する必要がなくなった後の晩年の作品は,悟りの境地のようだな」と,ドイツ音楽への適応を少しずつ高めていった。
何事も,食わず嫌いはいけませんね(^^;)

そんな私にも,そのドイツ音楽,しかも交響曲の権化とも言うべきブルックナーに耳を傾ける日が来るとは!

第1楽章の冒頭から,ブルックナーって,こんな繊細で優美な弦が書けるんだと,認識を改めた。

先輩格のワーグナーばりの減5短7のトリスタン和音,9度のテンションコードに半音階進行の旋律。
なんてモダンな感覚の優美さ。
無骨な田舎モノの音楽(失礼!)とばかり思っていたブルックナー,なかなかやるじゃん!(^^)

この冒頭の美しい音型が全体を貫くひとすじの流れとなって,最後の第4楽章まで一気に聴かせる。
その冒頭の荘重さのエッセンスを広げたかのような,弦楽中心の第2楽章が白眉。

ベートーヴェン,ブラームスそしてワーグナーに至るドイツ管弦楽曲の歴史を総括したかのような,まるでレンガのひとかたまりを一段一段コツコツと積み上げ,ゴシック様式の巨大な建造物を組み上げるかのような重厚なオーケストレーションも,そこは定評のあるブルックナー,実に聴き応えがある。

ブルックナー自身は,この曲を「対位法的名作」そして「幻想的交響曲」と呼んでいた。
それだけ自作への自信が込められている思いからであろう。
その言葉を裏付けるかのように,偉大な指揮者のフルトフェングラーをして,この曲の第4楽章を「世界の交響曲のうちで最もモニュメンタルな楽章」と言わしめている。

ただ,もしかしたら,この音楽の魅力は,ブルックナー自身の功績もさることながら,カラヤン/ベルリン・フィルのあの輝かしいまでに流麗で,一糸乱れぬ,そして耽美的でもある響きが寄与している部分が大きいのかも知れないけれど。



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