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2018年11月03日18:05

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タコヤキヤキタコ

そろそろ5年の付き合いになるガリシア人のエドゥアルドとはこの5月に再会したばかりなのだが、数年前からパリでともに暮らす日本人の奥方の友達の結婚式があるとかで、今週は日本に滞在している。

というわけで呑もうぜという話になり、前回引き合わされたローマ人のアンドレアも、日本人のガールフレンドをともなってやって来た。
アンドレアは計画通り吉祥寺にアパートを借りており、エドは奥方が郷里に帰省している間、彼のアパートにご厄介になっているらしい。
だったら街に出るのも面倒なので、高円寺辺りの適当な店でと集まったが、なぜか結局、なんてことはないチェーンの串揚げ屋「串カツ田中」に入ってしまった。
別に美味くも何ともない店だと思っていたが、結果的に大アタリとなったのはいつものことというべきか。


話題はいつものサッカーバカ話だ。
来日して半年になるアンドレアは、先日FC東京の試合を観戦したそうだ。
てっきりサポーターになったものかと早合点した私は、なんでよりによってそんなクラブの、と彼の足を踏もうとすると、踏んでも構わないよと言う。
えっなんで?
だって、試合はものすごくつまらなかったから、と顔をしかめる。
確かに、東京さん、去年ぐらいから酷いんだよね。
それに、スタンドもつまらなかったんだ。
ホント?
FC東京のサポーターといえば、どこかの原理主義的赤いメガクラブと違って、ピリリと洒落のきいた応援スタイルがバカバカしくも面白いと思っていたのだが、その時はそうでもなかったようだ。
もしかするとエドから、かつて我々と行った赤いクラブの豪勢な応援と、国立競技場で観た天皇杯決勝の、トリコロールの傘の揺れるスタンドの雰囲気の動画を見せられて、Jリーグは見どころ満載!と刷り込まれていたのかもしれない。
あの2試合は、それぞれの意味で、特別だったからなぁ・・・。

例によってホッピーを呑みながら、チキン、ビーフ、ポークに、餅(rice)、椎茸(mushroom)、バナナ、レンコン(roots of lotus)と適当な説明をしながら串揚げをどんどんオーダーしていく。
ここはオオサカ系の店だから独自のルールがあってね、とソースの二度漬け禁止(because次のグループがこれをそのまま使うから)を教え、次に、せっかくオオサカなのだからと、たこ焼きを注文してみた。
すると、こっちは全く予想していなかったのだが、店のお兄さんがなんと、卓上たこ焼き器とネタを運んでくるではないか。
えっ?セルフで焼くの?
その場にいた日本人5名は、鹿児島、高崎、青森、藤沢、長崎と、関西人が一人もいない。
よって誰一人として、これまでにタコ焼きなんて作ったことがないのだ。

たしかこうやるんだよね?
そういいながら藤沢は、TV映像や街のたこ焼きスタンドでぼんやり眺めた記憶をたよりに、穴ぼこめがけて液を注ぎ込み、次いでタコを一つずつ穴に投入し、そして紅生姜を適当に入れていくが、案の定最初に多く入れすぎてしまい、最後の2列は紅ショ抜きと相成った。
さて、では残りの液を穴の上から注ぐのだが、ドバドバやっているうちに、たこ焼き器全体に万遍なく液があふれ広がり、どこに穴があるのか全くわからないまでになってしまった。
オイ、そいつぁたこ焼きじゃなくてホットケーキじゃねえか、と青森が言う。
けど余らしたってしょうがねぇだろ、と藤沢。
とにかくこいつをまくって穴につっこもうよ、と鹿児島と長崎。
みんな品がない。
高崎はひたすら笑っている。

たこ焼きを作るのに、串以外の道具は用いないらしい。
串の先を使って、あふれた液を穴に押し込む作業を開始すると、あらふしぎ、固まり始めた液は、なんとなく丸い形に近づいて、だんだんとそれぞれの穴に収まってゆくではありませんか。
おお、いいかも!イケるかも!
ガリシアもローマも、それぞれに串を握って作業に参加する。
いい感じに穴に収まったところで、そろそろこいつをひっくり返すタイミングが来たようだ。
どうやるんだろ。
えいっ!と串をつっこんで手首を返してみると、なんということでしょう、そいつはまるでたこ焼きのように、クルリと廻って、美味しそうに焼けた面が上をむくのです!
おおっ!
これだよ、これっ!
意外と簡単だな。
みんなしてクルリクルリとやりながら隣を見ると、ガリシアがものすごく苦労しながら、ぐちゃぐちゃになり始めたそれと格闘している。
そうか、やっぱり西洋人にこの作業はムツカシイのだな。(優越感。)
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だがしかし、なんとか無事にすべてを返し終え、いい感じになってきたところで、ソースをいれた小皿に取って口に入れてみる。
あふっ!あふいっ!
みんな涙目になる。
いや〜、たこ焼きって、楽しいな!
ねぇアンドレア、私たちこれ全員初めてだったけど、オオサカだったら、ファミリーに一台必ず持ってるからね。
もし気に入ったら、吉祥寺の東急ハンズに行けば売ってると思うよ。

ここで、引退したイタリアの名審判ピエル=ルイジ・コッリーナ氏が、2002年日韓W杯で決勝の笛を吹いたあと、日本のタコヤキのCMに出たという話がでた。
ロシアにも、コッリーナさんのお面を被ったサポーターがいたよ。
フォト
この時点で、我々の英会話能力の低さもあってアンドレアの反応は薄かったのだが、誰かが、九州では有名な移動たこ焼き屋「八ちゃん堂」のCMをYoutubeで探し出して見せると、さすがのアンドレアも、こいつらの言ってることは本当だったのかと、死ぬほど驚いていたのが可笑しかった。


ところでクエスチョンがあるんだけど、とアンドレア。
ヤキトリ、ヤキニク、と云うのに、どうしてヤキタコ、じゃあなくってタコヤキと云うんだい?

おお、いい質問だ。
なんでだろ・・・。
ドテヤキとか、関西っぽいのがナントカ焼き?
いや違うな、トンヤキとは云わない。
やっぱ声に出してスムースだからかなぁ。
プロナンシエーションとアクセントの具合だけってことかも。
・・・と言ってはみたが、どなたかご意見ありませんか?


縁もたけなわになってくると、相棒はその店のサービスであるチンチロリンごっこにチャレンジ。
どんぶりにサイコロ2つを転がして、偶数だったら次の飲み物半額、奇数だったら特大サイズを自腹でオーダー、そしてゾロ目だったら店のおごり、というものだが、もちろん相棒の出した目は奇数。
それを見たエドもしばらくして、スミマセン、オサラクダサイと言うから何かと思ったら、その丼ごっこに自分も挑戦したいらしい。
俺も!というアンドレアと続けてチンチロリーンと挑戦したところ、エドは自腹で特大を、アンドレアは偶数をだして抜け目なく半額をゲット。
その瞬間のローマ人の爆発的な喜びようを見るに、彼はタコヤキよりチンチロリンが好きなタイプなのかもしれない。
酔っ払ってよせばいいのに2回目の挑戦をした相棒が、またも奇数を出したことは、ここに報告するまでもないことかと思う。

串カツ田中で3時間。
ここがこんなに愉しい店だとは思いもしなかった。
サッカーバカがバカバカしく過ごすには、最高の店なのだな。

ちなみにこの日の高円寺、ハロウィンのハの字も醸し出さないこの街に、強いシンパシーを感じたことであった。




*5月にガリシア人とローマ人と呑んだ時の話
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1966796971&owner_id=24016198
*ガリシア一家と天皇杯決勝を観て呑んだ時の話
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1919342820&owner_id=24016198
*ガリシア人と赤いメガクラブの試合を観にいった時の話
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1916833449&owner_id=24016198


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