アメリカの共和党重鎮で上院議員のジョン・マケイン氏が25日、死去した。享年81歳。
2008年の大統領選で共和党候補として民主党オバマと闘い敗れたが、僕は1度はアメリカ大統領を務めて欲しいと願った政治家だった。
◎北ベトナムで5年半の幽囚生活
昨年7月、マケイン氏は悪性の脳腫瘍と診断され、治療を受ける一方、上院で民主党との最小の議席差のため、重要法案では病を押して車いすで議会に出席した。
ベトナム戦争では海軍パイロットとして北爆に参加、北ベトナム軍の対空砲火に撃ち落とされ、計5年半も拷問と不潔な環境での北ベトナムでの幽閉生活を送った不屈の戦士でもあった。
マケイン氏の政治信条は、その経歴もあってか、対外的には保守強硬派、国内的には共和党内では珍しいリベラル派であった。
◎同盟国軽視・対ロシア融和派のトランプ大統領を厳しく批判
不人気なイラク戦争にあっても、子ブッシュ大統領の進めるイラク戦争を強く支持し、またロシアのクリミア併合やスターリニスト中国の対外膨張策に対しては厳しい非難を浴びせ、上院外交委員会でもその信念で活動した。
また日本など自由と民主主義を国是とする同盟国との関係強化を重視していた。おそらく歴代大統領・大統領候補の中では、最も日本に理解のあった政治家であった。
であるから、外交をディールと勘違いし、NATO諸国など同盟国を非難する一方、一貫性を欠き、しばしば場当たり的でもある対ロシア融和派のトランプ大統領には終始、批判的で、その政策を批判してきた。
死に当たっても、葬儀にトランプ大統領の参列を拒否する遺言を残している。
◎国内的にはリベラルな面も
ただ前記のように国内政策ではリベラルな面を持つから、例えばオバマの遺産である医療保険制度改革法(オバマケア)の17年の撤廃法案では、トランプ政権の意向に反し、筋金入りリベラル派の共和党議員2人と共に民主党支持に回り、オバマケア撤廃法案を廃案に追い込んだ。この時、マケイン氏が事実上、同法案のキャスチングボートを握っていて、動向が注目されていた。マケイン氏の1票で、オバマケアはほぼ生き残った。
ちなみに08年の大統領戦で闘ったのが、保健医療制度を作ったオバマであったのは、皮肉である。
◎トランプ大統領の対北朝鮮外交を心配していた
対北朝鮮外交のように、若造の金正恩にいいようにあしらわれている(最近、米朝合意に反する核開発の継続・拡大と核ミサイルの保持などのニュースがしきりに伝えられている)トランプ大統領の迷走する外交を、マケイン氏は心配して見ていたに違いない。
日本と世界の平和にとって、惜しい政治家との惜別である。
昨年の今日の日記:「100万年前のハイエナのウンチの化石(糞石)が大量に見つかる、スペインの人類遺跡で」
ログインしてコメントを確認・投稿する