題名：教養としてのローマ史の読み方
著者：本村 凌二（もとむら・りょうじ）
出版：PHP研究所
価格：1800円＋税（2018年3月 第1版第1刷発行）
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マイミクさんお薦めの本です。
著者の本村凌二さんは“大学生のときから数えれば、半世紀近い年月をローマ史研究に費やして”（序章：15p）きた方で、本書の紙背からローマ史への愛着が伝わってきました。
目次を紹介します。
はじめに
序章 ローマ1200年の歴史に学ぶ
�機，覆次▲蹇璽泙論こδ觜颪愴�展したのか
�供‐ー圓虜�迷、カエサルという経験
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【序章 ローマ1200年の歴史に学ぶ】で著者は、本書執筆の動機を次のように書いています。
“初代皇帝アウグストゥスは、養父カエサルの暗殺に学び、四十年の長きにわたる安定政権をつくり上げました。
歴史は常に、「先人に学んだ者が勝利を摑む」ということを教えてくれています。
なぜ、ローマは帝国になり得たのか。
なぜ、ローマ帝国は滅びたのか”（16p）
�犠蓮銑絃呂�ら、印象に残った言葉を一つずつ引用しましょう。
１．
【�機，覆次▲蹇璽泙論こδ觜颪愴�展したのか】で、地方の一都市国家にすぎなかったローマが世界帝国になった理由の一つを次のように語っています。
“いいことか悪いことかは別にして、祖国とか国家といった「公」に対しての献身的な意識を、貴族はもちろんのこと民衆レベルまで非常に強烈に持っていたということが、ローマの特筆すべき特徴なのです”（89p）
２．
【�供‐ー圓虜�迷、カエサルという経験】では、カエサル（シーザー）の魅力の一つを挙げています。
“カエサルの魅力の一つは、卓越した弁舌でした。
彼は「賽は投げられた」「来た、見た、勝った」「私はカエサルで王ではない」など、多くの名言でも有名ですが、同時代の哲学者キケロをして「一生かかって修辞学を学んでも近づくことすらできない」と言わしめたほどの才能の持ち主でした”（136p）
３．
【�掘 崟こδ觜颯蹇璽沺廚諒刃造伴困錣譴唇簓�】から、最も人類が幸福であった時代のことを、ギボンの名著から引用しています。
“仮にもし世界史があって、最も人類が幸福であり、また繁栄した時期はいつか、という選定を求められるならば、おそらくなんの躊躇もなく、ドミティアヌス帝の死からコンモドゥス帝の即位に至るこの一時期を挙げるのではなかろうか。
広大なローマ帝国の全領土が、徳と知恵によって導かれた絶対権力の下で統治されていた”
（エドワード・ギボン『ローマ帝国衰亡史』）（209p）
４．
【�検．蹇璽泙呂覆写任咾燭里�】では、ローマ帝国衰退の理由の一つを挙げていますが、今の日本と重なって不安を覚えます。
“（衰退の原因の）核をなすのは、やはり経済の衰退です。
これは、人口減少やインフラの劣化など、繁栄した国が絶頂期を過ぎた後に、必ず直面する問題です”（357p）
最終章【�検．蹇璽泙呂覆写任咾燭里�】で著者は次のように書いています。
“ローマもゲルマン人が少数であったときは、余裕を持って受け入れていたものが、数が急増し、ローマの内部深くにまで彼らが入って来たことで、文明の衝突が争いへと発展しています。
しかし、古代末期を研究する人々の間で、この問題は、入ってきた側にあるのではなく、受け入れる側の変質にこそ、問題の本質があるという見方がクローズアップされてきています。（略）
わたしが今最も危惧しているのは、アメリカの非寛容が加速していくことです”（381p）
アメリカの非寛容の加速が、世界的な危機につながらないことを願うばかりです。
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本村 凌二（もとむら・りょうじ）
東京大学名誉教授。博士（文学）。
1947年、熊本県生まれ。1973年、一橋大学社会学部卒業。
1980年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。
東京大学教養学部助教授、同大学院総合文化研究科教授などを経て、早稲田大学国際教養学部特任教授を2018年３月に退職。
専門は古代ローマ史。『のローマ世界』でサントリー学芸賞、『馬の世界史』でJRA賞馬事文化賞、一連の業績にて地中海学会賞を受賞。
著書に『地中海世界とローマ帝国』『愛欲のローマ史』（以上、講談社学術文庫）、『多神教と一神教』（岩波新書）、『ローマ帝国 人物列伝』（祥伝社新書）、『競馬の世界史』『世界史の叡智』（以上、中公新書）、『集中講義｜ ギリシャ・ローマ』（共著、ちくま新書）、『教養としての「世界史」の読み方』（PHPエディターズ・グループ）などがある。
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