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2018年07月31日14:52
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「瞳の犬」／新堂冬樹
自分は｢前世は犬｣と公言するほどの犬好き！な著者が、
ベストセラーになった｢忘れ雪｣に匹敵する自信作で、
是非読んでほしい渾身の一作！と仰る。
しかし､犬好き(＝私)は犬絡みだとどんな作品を読んでも､
｢犬｣にヤラレて心震わせてしまうので､
正当な評価はできないなぁ〜(笑)
既読｢砂漠の薔薇｣(文京区お受験殺人事件をモデルに小説化？)
は面白いけれど読後感があまりよくなかった作品だったので、
この著者が、こんなに切なく優しい作品を書くんだ､と
ちょっと見直した。
物語は、
一言で言うと､傷ついた犬と人間が織りなす感動の物語。
でも､こう言っちゃうとなんだか浅薄。
ちゃんと語ると…
三崎達郎は介助犬のトレーナー。
ある日､犬の散歩に行く公園で､
虐待され血だらけの状態で遺棄されている
黒いラブラドルレトリーバーを保護した。
友人の獣医｢真中｣の治療のお陰で何とか生き延びた彼女。
引き取って様子を見ていると、
その瞳には不思議な力が宿っている｡(写真は全く無関係なラブちゃん)
無限の愛… 無私の愛…
そして付けた名は､マザーテレサから取って｢テレサ｣
彼女の力は、心的外傷で口が利けなくなった少女｢聡美｣に､
言葉を取り戻させた。
テレサに介助犬の適性を見出し、トレーニングを始めたさなか､
彼女を虐待し遺棄した元の飼主｢谷川｣が現れ､
返せ､さもなくば500万で買い取れと達郎に迫る。
それを放置するも、
再び谷川は接触してきた。
迫る谷川を達郎の危機と認識したテレサは谷川を噛んでしまい、
それで脅しはエスカレート。
そして後日、谷川がテレサを襲った鉄パイプを達郎が受け…
達郎は障害者となったが、
周囲の人の協力と励ましによって、再起しようとした矢先！
悲劇は起こった。
テレサが悪性リンパ腫で倒れた…
最期の時を目前に､
達郎はテレサと、自分の過去の旅路を辿った。
父に虐待を受け､養護施設で救われた日々…
自身を虐待した父を許せない想いは、
施設の先生の言葉で打ち砕かれる。
｢犬には、許さないなんてないんでしょうね｡｣
そして、テレサは逝った。
テレサは、達郎が過去から解放されるために
達郎の前に現れたのか？
出逢う人たちの心の闇を照らすために現れたのか？
犬を虐待する谷川という男に
嫌悪と憎悪を掻きたてられたが、
虐待を理由に犬を取り上げることができない、
そんな脆弱な｢動物愛護法｣に本当に憤りを感じる。
外国にはアニマルポリスが存在し、
人間以外の動物の生存権を守っているというのに！
現実に、Fb上にも、
虐待されている他人の飼犬や猫の話題がよく上がる。
そんな投稿は、憤る人々のレスでふくれあがる。
しかし何もできない。
警察が動いてもせいぜい罰金で終わり…
人間の乳幼児も、虐待から守ってやれない国だもんな〜
本当に何とかならないものか？ 切実に考えた。
そしてまた、
使役犬とは？
作品内でも繰り返し自問し、
｢本脳を抑え込み、人のため生涯を捧げ尽くさせる
介助犬､盲導犬 他 各種の使役犬育成も虐待ではないだろうか？｣
自答する。
｢犬は飼主が喜んでくれる事、褒めてくれる事で至上の喜びを得る｡
彼らには､飼主のための自己犠牲などという思いは無い。
求められた事をやり遂げ褒められる､全てがそんな遊びでしかない｡｣
しかし、本当にそうなのだろうか？
人に色々居るように､犬にも色々居るだろう。
飼主と遊ぶのが楽しいという延長で身を粉にして働く犬も、
ウチでごろごろ、喰っちゃ寝が幸せな犬も。
願わくば、使役犬は皆、その適性に合った犬であることを祈るのみだ。
で、
テレサの奇跡の瞳に魅せられて って…
犬の瞳って、みんな奇跡の瞳だと思うけどなぁ〜
それを言ったら、この作品を全否定する事になっちゃうか？(笑)
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