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2018年06月24日19:12

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80's エイティーズ [読書日記679]

題名:80's エイティーズ ある80年代の物語
著者:橘 玲(たちばな・あきら)
出版:太田出版
価格:1,600円+税(2018年1月28日 初版発行)
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マイミクさんお薦めの「ある80年代の物語」です。
物語と言っても著者の私的なノンフィクションで、1978年〜1995年の出来事が著者の視点から記されています。
「"私的な"ノンフィクション」と書いたのは、著者自身が冒頭に次のように書いているからです。
“誰にでも、なぜか記憶に刻み込まれて忘れられない些細な出来事がある。これはそんな私的な物語だ(11p)”

目次を紹介します。
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 Prologue No Woman, No Cry
 1978-1981 雨あがりの夜空に
 1982 ブルージーンズメモリー
 1983 見つめていたい
 1984 雨音はショパンの調べ
 1985-1995 DEPARTURES
 1995-2008 マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン
 Epilogue Redemption Song
 あとがき
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西暦のあとに、当時の流行歌名を付ける構成がにくいですね。

印象に残った2つの文章を引用します。
1.
【1978-1981 雨あがりの夜空に】で、映画『アメリカン・グラフィティ』の想い出が語られています。
“その頃、(映画の)二番館のどこかでかならずかかっていたのが『アメリカン・グラフィティ』で「アメグラ」と呼ばれていた。
 『スター・ウォーズ』が大ヒットする前のジョージ・ルーカスが、自分の高校時代の体験をもとに、ベトナム戦争が泥沼に陥る前の「アメリカがいちばん輝いていた時代」を描いた青春映画で、ぼくは地元の映画館で高校二年生のときに観た。
 アメリカの高校生がごくふつうに車を乗り回しているのを知ってほんとうにびっくりし、映画に出てくる伝説のDJ、ウルフマン・ジャックを聴こうと、AMラジオで米軍放送FENにかじりついていた。いまでもいちばん好きな青春映画だ”(32p)
本書は『アメリカン・グラフィティ』に触発された、著者の青春グラフィティではないかと睨んでいます。

2.
【1984 雨音はショパンの調べ】には、平川克美さん(著作に『グローバリズムという病』等)のことがあります。
“翻訳会社の社長の平川さんは、早稲田の理工学部を出たあと、就職せずに友だちと見よう見真似で翻訳会社を立ち上げた。
 最初は六本木あたりで遊んでいる外国人をつかまえて翻訳者にしていたそうだが、ぼくが知り合ったときは渋谷にオフィスを構える立派な会社になっていた”(136p)
平川さんの会社が、最初から立派だったわけではないことが分かって、なんだか嬉しくなりました。

著者は私とほぼ同年代で、大変面白く(懐かしく)この本を読みましたが、ほかの世代の読者がどのような感想を持つのか興味が湧きました。

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橘 玲(たちばな・あきら)
作家。1959年生まれ。
2002年国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。
『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラー、『言ってはいけない 残酷すぎる真実』が47万部を超え新書大賞2017に。
他に『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』『(日本人)』(ともに幻冬舎)『「読まなくていい本」の読書案内』(筑摩書房)『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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