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2018年04月27日18:11

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南北首脳会談の重み それは私たちとも関連する

 やっとここまで来た。
 いろいろ思惑絡みだとシニカルに見る人たちがいるが、そんなことは外交上当たり前のことなのであって、ともかくは戦後七〇年以上にわたって分断されていた人たちの代表がこうして同じテーブルに着いたことを素直に評価すべきだろう。

 その成果は、消極的には、少なくともここしばらくは互いに軍事的な面での衝突はあるまいということであり、積極的には、これを契機に一挙に話し合いが進み、戦争状態の解消と平和協定、相互の平和的共存への前進が期待できるということである。

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 これとて、南北統一からいったらその途上に過ぎないが、まずは両者が相互に相手を否定し排除し合う関係から脱却でき、相対的に平和な関係のうちに位置づけられることが今後の礎として大きな一歩だろう。

 私たち日本人は、最も近隣というべきこの両者がそうした安定した状態へと至ることを、自らの安全をも含めて祈らずにはいられないのだが、さらにいうならば、この分断には私たち自身がある種の責任を負っているがゆえに、いっそう真摯にその帰結に関心をもつべきなのだ。

 朝鮮半島はなぜ分断状況にあるのか?それは朝鮮民族自らの選択では決してない。
 1945年日本の敗戦時、この折、北から進むソ連軍、南から北上する米軍との間で暫定的な境界をもって始まったのがこの分断の始まりとされる。
 それがその後、50年に勃発した朝鮮戦争をもって南北間の激しい戦闘となり、53年の終結までに、南北合わせて300万人超といわれる死者を出すに至った。この数は、当時の朝鮮半島の人口からして、数人に一人の犠牲者ということになる。

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 こうした事態に至ったのにはこの朝鮮半島が日本の敗戦時、国家を持たない空白地帯になっていたことに依る。というのは、1910年以降、日本の侵攻により朝鮮半島全体が日本の領土となっていたため、日本の敗戦とともに、当時の東西冷戦の余波を受けて、この半島が双方による支配権争奪の焦点になったからである。朝鮮戦争が、東西陣営の代理戦争といわれたゆえんである。

 つまり、日本が朝鮮を併合せず、それが独立した国家のままであったとしたら、かくも悲惨な事態は起こらず、そして以後今日まで続く民族分断も起こり得なかったということである。これは自虐史観でも何でもない。歴史を冷静に見ればその流れはよく分かるはずだ。
 だから、今日の分断には日本の大きな関わりを持っている。だとしたら私たちは、少なくとも、南北の分断がほぐれ、平和な状況が訪れ、さらなる展望として統一への道のりを最大限支援すべきだろう。

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 しかし、トンチンカンな安倍外交は、南北の対話が急速に進み、トランプまでが直接対話に乗り出そうとしているにも関わらず、今なお「制裁、制裁」と叫び続け、一連の流れからは完全に蚊帳の外である。
 このままで行くと、かつて米中が突如友好関係を結んで日本が置いてけぼりになったニクソンショックの二の舞いになる可能性もある。

 なお、トンチンカンは更に続き、「最重要課題」である拉致問題(そういう割に何もしてこなかったばかりか、それに逆行するような動きばかりしてきた)の解決を、南の文大統領やトランプ大統領に預ける始末である。
 しかし、こんな醒めたことをいって、拉致被害者のご家族の方には申し訳ないが、この話題は、南北の平和会談や、トランプ氏の最大課題である北側の非核化などの重要課題の「ついでによろしくお願いします」といったような問題ではない。
 ほんとうに「最重要課題」だというならば、自らの行動でそれを示さねばならない。安倍氏はトランプの忠実なポチであるが、トランプは安倍のご都合で動くようなことは一切ない。文大統領にそれを依頼するのも筋違いだ。

 南北首脳の二人が手を携えて境界線を越える映像にはある種、万感の思いがある。冒頭にも書いたように、感動してばかりではいられないのも現実ではある。それほど70年にわたる分断、さらにそれ以前の35年にわたる日本統治時代のミッシング・ヒストリーのもたらしたものは大きく重い。ようするに、通算100年の歴史を背負った今日なのだ。
 それだけ長い年月で積み上げられた問題は、やはり長く継続する努力を要するであろう。
 今日はその端緒が開かれた日であることを朝鮮半島全ての人、在日のすべての人たちとともに噛み締めたい。

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