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2018年01月21日00:04

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2018.1.4 11:00 【ゆうゆうLife】 どうなる2025年の医療と介護 地域のサービスを地域で考える 「国民会議」3氏が語る


 医療者はまちづくりを 慶応大学教授・権丈善一氏
 共有財産の意識が必要 国際医療福祉大学大学院教授・中村秀一氏
 死語れるかかりつけ医を 日本医師会会長・横倉義武氏
 団塊の世代が75歳を超える2025(平成37)年には、身の回りに安心できる医療や介護のサービスが整っているだろうか−。実は、都道府県と市区町村は今、同年の医療と介護のニーズを算出。現状と比べた不足や過多を、将来に向けてどうモデルチェンジするか知恵を絞っているところだ。利用者となる住民側も意識の変革を求められているが、周知は遅れている。
 こうした改革は5年前、内閣に置かれた「社会保障制度改革国民会議」(以下、国民会議)が方向付けた。その改革の過程で、平成30年度は診療報酬と介護報酬が同時改定され、新しい医療と介護の計画がスタートする節目の年にあたる。この5年間に何ができて、何ができなかったのか。国民会議の報告書で「医療・介護分野」を起草した慶応義塾大学の権丈善一(けんじょう・よしかず)教授、同会議の事務局長だった国際医療福祉大学大学院の中村秀一教授、世界医師会・日本医師会の横倉義武会長の新春鼎談(ていだん)をお送りする。 (聞き手 佐藤好美)

 ニーズが異なる
 −−2025年に向けた医療と介護の計画が作られています。なぜ、地域の計画が必要なのですか。
 横倉 医療従事者も医療機関の数も介護施設の数も、地域でずいぶん差がある。そのため、地域に合う計画が求められている。
 中村 例えば西日本は昔から医学部も多く医者も多く、提供体制が充実していて医療費もかさむ。東北地方はいずれも少ない。さらに、地域ごとに高齢化のスピードも違う。高齢者が増える地域と、増えない地域では、必要とされる医療の内容が違うから経営戦略も違う。自治体はそれを踏まえて医療提供体制を作らないといけない。しかも、同じ市内でも大規模団地とシャッター通りでは事情が違うから、地域包括ケアはミクロで考えなければならない。
 −−計画作成の発端は
 中村 国民皆保険を守るために、国民会議が出した処方箋(せん)は、医療提供体制を作り変えることだった。寿命が延びて高齢者が増え、医療と介護の境目がなくなる。
 −−ですが、各都道府県が地域ニーズをもとに割り出した2025年の必要病床数は、病床削減計画とも映るようです。


 《各都道府県は昨年度、「地域医療構想」で、圏域ごとの高齢化率や人口減を基に、2025年の必要病床数を算出。現状と比較し、どの病床が不足し、どの病床が余るかを明らかにした。地域の病床再編を促す狙いがある》
 権丈 今、進んでいるのは、地域ごとの将来の医療・介護のマーケティング情報を提供して、その絵姿を地域で共有することなんだよ。
 横倉 病床数は、都道府県に設けた「地域医療構想調整会議」で調整され、地域で余ってくれば減らしていくんだから自然に落ち着きますよ。目標は2025年だけど、今は急ぎすぎている。財務省の財政制度等審議会は財政を守ろうと抑制に傾く。政策が財政ありきでは、国民の将来は守れません。
 権丈 地域が自発的に考えてください、というのが地域医療構想であり地域包括ケアなのに、理解されていない。
 中村 介護保険はよくできていて、市区町村で使うサービス量と、そこに住む65歳以上の人の保険料が連動する。それを、地域が決める。地方分権です。でも、日本人はすぐに、「差があると悪い」みたいな話になる。本当は、どのくらいサービスが必要で、どのくらい保険料を払うかは、自分たちで決めなきゃいけない。決定が不満なら、一票を投じて住民の総意で決めたらいい。医療は歴史的なツギハギもあって難しいが、同じ方向でしょう。


 住民も変革が必要
 −−住民も変わる必要がありますか?
 権丈 国民会議の報告書には「かかりつけ医(診療所の医師)」という言葉がある。広く見ても民間中小病院の医師だろうね。かかりつけ医を持つことは必要だよ。日本は今、「いつでも、どこでも、大病院にかかれるフリーアクセス」から、それを少し切り替え、「かかりつけ医が必要な時に必要な医療につなげる」方向に変えていこうとしているが、認識されていない。
 中村 報告書にある「緩やかなゲートキーパーの機能」を備えた「かかりつけ医」ですね。
 《緩やかなゲートキーパー(相談・紹介者)の機能は、体に不調があるときに、まずは開業のかかりつけ医などで治療を受け、必要なら、その紹介で大病院にかかるような役割分担を指す》
 権丈 目標は、かかりつけ医を中心にした24時間対応のチームを地域に作ること。早く準備しないと、自己負担を引き上げようとか、保険でカバーされる範囲を大幅に狭めよ、などの声が強くなるばかり。それでは皆保険とフリーアクセスが守れない。


 −−ですが、かかりつけ医機能は地域格差があります。
 横倉 日本医師会が始めた研修には毎年1万人が参加しており、意識は高まっている。東京のように高度急性期の大病院がたくさんあるところは別にして、大学病院の医師をかかりつけ医にするのではなく、地域でかかりつけ医を持ちましょうと呼び掛けている。70歳以上の高齢者はかかりつけ医がいるが、現役世代にはいないのが課題だ。
 権丈 日本医師会の生命倫理懇談会が昨年12月に「超高齢社会と終末期医療」の報告書を出した。そこに、QOD(クオリティー・オブ・デス=死に向かう医療の質)を高めるには、かかりつけ医の役割が重要と書いてある。その意識が国民にも医療界にも浸透していない。ただ、QODという言葉が普及してきたのは良い変化だと思う。
 横倉 死を語れるようになったのは大きい。以前は語れなかった。家族から「人工呼吸器をやめてくれ」と言われて、外したら逮捕されるとか。みんな、自分は死なないと思っている。死を語ることができる相手としても、かかりつけ医を位置づけてもらいたい。


 介護への移行も重要
 −−診療報酬と介護報酬の同時改定では、医療の機能も併せ持つ介護施設「介護医療院」ができる。意味合いは
 横倉 どれだけ機能するかが課題です。介護保険の創設前は長期入院や社会的入院が慢性化していた。介護サービスが必要なのに、介護施設がないから病院で介護が提供されていた。今は介護施設がかなり整備された。必要に応じて、医療も介護に移行したらどうですか、というメッセージだと思います。
 −−医療機関は介護サービス参入に消極的では?
 横倉 ぼくは、介護保険創設前から地元で福祉事業をやっていた。特養(特別養護老人ホーム)も老健(老人保健施設)も訪問看護も。今で言う地域包括ケアだね。超高齢社会を迎えた今、それを全国に広めないといけないと思っている。
 権丈 国民会議の報告書が出て以来、医師会や医師の地域包括ケアへのかかわり方は百八十度転換して積極的になったよ。
 増税延期の影響は?
 −−消費税の引き上げが延期された影響は
 中村 ロケットが予定通り点火しないで4年間遅れているわけですから。今は高齢化の急な上り坂にいて、そのタイミングは1回限り。4年遅れるというのは、バッターボックスに立って空振りしているようなもの。それだけ余分に川下に流される。危機感を持たないといけない。


 権丈 医療と介護が、予算編成時のシーリング(概算要求基準)の帳尻合わせに使われてしまった。病床の機能を変更する「病床転換」に使う基金も作られたが、額が増えなかった。
 《消費税の引き上げ分を原資に、「地域医療介護総合確保基金」が作られた。病床転換などに使われるが、進捗(しんちょく)ははかばかしくない》
 横倉 しかし、基金の危なさもある。都道府県に基金を執行できる、かなりしっかりした人が必要。今は行政職がコントロールしているが、政治家も介入してきます。
 中村 だが、基金で、職場の異なる医療職と介護職が連携を深める「顔の見える関係づくり」は進んだ。そこは成果だと思う。
 まちが健康をつくる
 権丈 国民会議が指摘し、もう一つ忘れられているのは、医療が自前の資源を使って、まちづくりにかかわっていく必要性だな。
 中村 千葉大の近藤克則先生らの研究によると、人と人のつながりがある地域では認知症の発症リスクが低い。逆に、つながりが薄い町は「転倒しやすい」とのデータもある。医療や福祉は地方の産業としては大きいから、活用が大切です。
 横倉 (タブレット端末を取り出し、自身の町の絵柄を見せながら)ぼくは平成2年から、地域で在宅ケアの研究会を作ったり、まちづくりに取り組んでいる。


 権丈 今後、人口が加速度をつけて減少していくことを考えれば、町をコンパクト化していく検討も必要になるし、医療介護を中心としたまちづくりを意識しなきゃいけない。
 中村 成功例を見ないと理解されないから、その見える化が必要。電化製品と同じで、ある点までいくと爆発的に広がる。だからそんなに悲観しなくていい。あとは、介護保険も医療保険も節度を持って使うこと。共有財産として扱わないといけない。
 権丈 大きな絵柄を地域で共有できれば進む。日本人は、経済学用語で言う「利己的な個人」じゃないようだし(一同笑)。話せば分かってくれるし、共有財産を守るために自分がどうあるべきかも理解してくれる。
 中村 自立心があって「お世話になりたくない」という気持ちもある。
 横倉 お互いに助け合おうという気持ちも強い。世界中が日本を見ているし、日本の医療と介護を明るくしないと。明るい高齢社会をいかに作るかが大事ですよ。



■特養「ベッド買い」が横行 自治体、補助金で入所枠確保
(朝日新聞デジタル - 01月12日 05:17)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4939606

 特別養護老人ホーム(特養)の優先入所枠を補助金を支払って確保する事例が、複数の自治体で行われていることが、朝日新聞の取材でわかった。「ベッド買い」と呼ばれ、住んでいる地域や所得などに関わらず、平等に福祉サービスを受けられる介護保険制度の趣旨に反している可能性が高い。厚生労働省は実態を把握するための検討を始めた。


 ベッド買いは、自治体が他の自治体にある特養を運営する社会福祉法人と協定を結び、補助金を支払う見返りに、自らの住民が優先的に入所できる枠を確保する仕組み。全国の都道府県で特養の入所待機者が最も多い東京都内の23区と近接5市に取材したところ、8割以上の23区市がこうした協定を結び、計3328の入所枠を持っていた。協定の多くは介護保険制度が始まった2000年よりも前に結ばれたものだが、いまも有効だ。東京以外でも行われている可能性がある。


 特養などの介護保険施設は、市区町村が3年ごとに住民の要介護度などからニーズを予測し、定員数を決定。社福法人などが都道府県や市区町村の認可を得て建設する。建設の際に自治体は補助金を支出するほか、その後の運営費として介護報酬を支払い、これらは自治体ごとに決める65歳以上の介護保険料に反映される。都市部は地価が高く土地の取得が難しいことに加え、保険料などを抑えたい自治体の意向もあって建設が計画通りに進んでいないのが実態だ。


 そうしたなかで、自治体は入所待機者を減らすため、特養建設よりも安くすむベッド買いの協定を結んできた。ただ、そのぶん、入所枠を買った自治体以外の希望者が入りにくくなり、しわ寄せが行く構図。介護保険制度は、ベッド買いではなく、仮に自らの住民の保険料が高くなっても施設整備を進めることを想定している。


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