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2018年01月08日08:46

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「君の名は。」(再)

そして地上波初放送の「君の名は。」だ

もういまさら内容について書く必要はないだろう。
ストーリーは起承転結が教科書通りきっちり書き分けられており、かつ新海作品特有の美しく透明感のある色使いで映画に奥行きが作られている。
アングルについても、これまでの新海作品よりもかなり練りこまれていると思う。
映画としての完成度は非常に高いと言えるだろう。

特に個人的には、ストーリー展開を評価したい。
序盤で瀧と三葉の入れ替わりをかなりコミカルに描いているが、大人が見ても笑える構成となっている。
アニメ好きな若者に媚びている部分はない。
そして中盤、三葉といきなり連絡が取れなくなった瀧は、おぼろげな記憶を頼りに糸守町を訪れようとする。
糸守町にはなかなかたどり着けないのだが、偶然入った店の主人が糸守町出身で、やっと場所を特定できる。
しかし糸守町は3年前の彗星墜落により消滅、住民のほとんどが死亡し、瀧はその被害者名簿に三葉の名前を見つける。
そしてその事がわかった途端、瀧と三葉のつながりがどんどん消滅していく。
「転」となるこの演出が秀逸だ。
それまで瀧のスマホに三葉の書き込みが大量に残っていたのだが、それらがあっと今に消滅してしまう。
それもすべて一気にではなく、あたかも誰かが消去しているかのように、1件ずつ見る見る消去されていくのだ。
そしてそれと同時に、瀧の中から三葉の記憶も消えて行ってしまう。
同様に、住民を避難させようとする三葉も、避難がうまくいかなくなってくると瀧の記憶がなくなっていく。
この二人の「記憶が消える」と言う演出が、二人の出会いの消滅を暗示させ、住民の避難の失敗をイメージさせる。

序盤のコミカルな展開でスクリーンと観客の距離を縮め、糸守町の惨劇が判明した段階で一気に観客をストーリーに引きずり込む、そして劇的な再開がラストシーンとなる。
「上質な物語」とはこの作品の事だ、と言わんばかりのストーリー展開である。
そこに繊細で美しい映像と音楽がマッチしている。
各所のBGMでRADWIMPSの曲が、ピアノ演奏で挿入されているのも巧い演出である。

国内の興行収入は250億円で、「千と千尋の神隠し」の303億円には届かなかった。
しかしすでに、宮崎駿ブランドが日本どころか世界中に浸透した後で公開された「千と千尋の神隠し」と、新海監督の名前を一部のアニメファン、映画ファンしか知らない中で公開されたこの作品では、そもそものスタートラインが異なると思う。
一方で、公開された国数は異なるものの、世界での興行収入は3.55億ドルで、「千と千尋の神隠し」の2.75億ドルを上回っているとの事だ。
その事も、この作品の完成度を物語っていると思う。


5.君の名は。(再)
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