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2017年12月14日23:51

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理想的な最期

プロ野球元監督・解説者野村克也氏(83)の妻、野村沙知代さん(サッチー)が85才で亡くなった。
サッチーの生前は、派手好みで毒舌、上から目線の暴言でたびたび芸能人どうしのバトルを繰り広げたり(浅香光代とのミッチーサッチー戦争など)、学歴詐称、脱税など悪評高き女性。
彼女を恨んだり嫌っていた人も多かったから、ろくな死に方をしないだろうと思われていたかもしれない。しかし実際はあまりにあっさり亡くなった。
誰からも好かれていい人だったのに老後に豹変し家族にさんざん迷惑かけて亡くなる人は多い。が彼女はその逆だったので、そのことが世間でへんに評判になっている。

死因は虚血性心不全。いわゆる心臓発作だ。前の日まで普通に元気で過ごしていたそうだ。

義母も全く同じ亡くなり方だった。前の日家族みんなで鍋を食べて普通におやすみを言った。翌日主人が出勤しようと階下におりたとき廊下で倒れていた。ちゃんと服を着ていたので、朝のひと仕事を終えて部屋へ戻る途中だったのかもしれない。

義母が亡くなったときも「ついこの間お会いしたばかり」「元気そうだったのに」「あまりに突然で信じられない」と皆から言われた。そして「こんなことを言うのは不謹慎かもしれないけど・・」と断りながらもみな口々に「いい亡くなり方」「私もあんな亡くなり方をしたい」と絶賛の声が寄せられた。
なにかの番組でサッチーが愛息の克則に、言っていた言葉がある。「絶対親より先に逝くな」。いつもえらそうにしている感じではあるが、夫や息子への愛にあふれている女性だったに違いない。
いまや長寿はめでたいことではない。とくに子どもより親が長生きするのは不幸でさえある。家族には死ぬ順番がある。
うちの親も常々そう言っている。「自分の子どもに先立たれることほど辛いことはない」と。

また順番からいえば、夫は妻より先に逝くのがいい。夫に先立たれる妻はまぁふつうだが、妻に先立たれる夫はなんだか気の毒。さだまさしも『関白宣言』で(妻に)「俺より先に死んではいけない」と歌っている。男にとって理想の最期とは。家族に見守られ、妻に「あなた死なないで」と手をにぎられ、「おまえのおかげでいい人生だった」と感謝の言葉を遺して死ぬことらしい。

男はみな自分が妻より先に逝くものと思って生きている。妻はどうか。心のどこかでやはり自分が夫を見送るのだろうなと覚悟して生きてはいる。しかし先に逝くほうが断然ラクに決まっている。さんざん連れ合いに奉仕し介護した末、心身がボロボロになって一人遺されるより、あとは任せて先に逝くほうがいいに決まってる。

心の支えであった沙知代夫人を突然なくしたノムさんの憔悴はどれほどのことか・・

平均寿命を更新し終活の総仕上げに忙しい実家の父(85)は、自分が母より先に逝くものと決めつけているし、自分の死後の母の処遇についてまであれこれ子どもの私たちに指示する。たとえば「お母さんは一人暮らしになれば老人ホームに入ることを希望している。だからこの家は・・」など。しかし母に聞くと「私からそんなことは言ったことがない」という。

自分の余生を死んでまで夫に支配されるなんて耐えられないなぁと思う。でも母は父のいうことをはいはいと聞いている。同意しているわけではないが逆らっても仕方ないから聞いている。たぶんこの種の妻は夫が死んだら夫の指示なんてなにひとつ守らず好きに生きると思うが・・・賢い人だと思う。

相性のいい人とは、相手がいつも気分よく前向きに過ごせるように会話や環境を与えられる人、そしてそれを自然にできる人。そういうのを「プロ彼女」というらしいが相性にプロ意識など必要ない。お互いに一緒にいてしんどくならない。むしろやる気がでる。「相性」とはむしろ本能の如きものかと思う。その本能が運命の出逢いを引き当てるのだが、間違うととんでもない悪縁を引き当てることにもなってしまう。

おおかたの男にとってとんでもない悪女であった沙知代さんもノムさんにとっては運命の女だった。
ノムさんは沙知代さんの尻に敷かれ完全に支配されていただろうけど、支配されることをデメリットとは思っていなかった。野球のことしかできない自分をコントロールし、マネージメントをしてくれたのは沙知代さんのおかげだと言っている。家のことビジネスのことを沙知代さんが牛耳っていたから自分は野球に専念できたしここまでやってこれたと。

昔、父に支配され束縛されている母をかわいそうだと思っていた。自分が結婚するなら絶対父のような男は嫌だと思っていた。でも母は、父に支配されているようで支配されることをうまく利用しているのだなとだんだんわかってきた。なんでも自分で決め行動したい人がいて、一方自分で決めて行動するのが苦手もしくはめんどくさい人がいる、そういう二人は相性が良い。男が強くても女が強くても二人がお互いに居心地いいならいいのだ。

立つ鳥跡を濁さず。

誰もが理想的な最期を望んでいるが、人は自分の死に方を自分で決めることはできない。
家族に死ぬ順番というのがあるのならどうか順番どおりであってほしいと願うばかりだ。


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