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2017年07月15日18:08

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記者の目 「こども保険」に賛同する=吉田啓志(政治部) 毎日新聞2017年5月31日 東京朝刊

子育て支援、全世代で
 小泉進次郎氏ら自民党の若手議員が提案した「こども保険」は、党内外の注目を集める一方で、反対論も噴出している。私は「子どもが必要な保育・教育を受けられないリスクを社会全体で支える」というこども保険の理念に強く賛同する。この案を一歩進め、こども保険を介護保険と一体化する「かぞく(家族)保険」創設を提言したい。

見返りゼロはあり得ない
 こども保険は、給料の約18%(労使折半)の厚生年金保険料率に労使が0・1%ずつ上乗せするなどして年間約3400億円を確保し、小学校入学前の全乳幼児約600万人に月5000円を配る案だ。年収400万円の世帯なら、月240円の負担増。労使の上乗せ負担を0・5%ずつに増やせば財源は約1・7兆円で月約2万5000円支給できるようになる。保育所や幼稚園の平均的な利用料に近く、事実上の幼児教育・保育無償化につながるという。

 しかし、この構想には自民党内からも「子どものいない人、子育てを終えた人には保険料負担への見返りがなく、保険と呼べない」「子育てはリスクではなく、リスクに備える社会保険の理念にそぐわない」との批判が出ている。事業主負担が膨らむのを嫌う経済界からも、警戒する声が上がっている。

 こうした指摘がすべて誤っているとは思わない。ただ、このままでは2053年に人口が1億人を割り、65歳以上の高齢者の割合は4割近くなる。現在は高齢者1人を2・1人の現役世代(20〜64歳)で支えるが、65年には1・24人に減る。医療や介護保険の存続が危ぶまれる。それなのに日本の社会保障費に占める子育て関連の支出は5・3%(13年)。英国の16・7%やスウェーデンの13・1%に遠く及ばない。

 昔と違い、子育てに地域の人の協力を得るのは難しい。非正規雇用の広がりによる低賃金で、共働きをせざるを得ない夫婦も多い。今の高齢世代が子育てをしていたころとは環境が違う。子どもがいない人、子育てを終えた人も次世代に支えられる。子育て支援は将来の労働力確保にもなる。濃淡はあれ、個人も企業も負担の見返りがゼロということはなく、こども保険は社会保険の理念に反している、とは言えないように思う。

 「子育て支援は税金で」との指摘も理解はできる。だが、消費税率が予定通り19年10月に10%になっても、引き上げ分の使い道は決まっていて、新たな子育て支援策に回す余地はない。「税率が10%超になるのはいつのことか」という小泉氏の懸念には、うなずかざるを得ない。子育て支援は待ったなし、なのだ。

 ただし、こども保険の財源として年金保険料だけに上乗せを求めるなら、保険料を払うのは原則、20〜64歳の現役世代にとどまる。65歳以上の人も保険料を納める医療や介護保険にも広げ、社会全体で支える形にしたい。

高齢者の納得へ 「かぞく保険」も
 「高齢者の納得を得るのは難しい」との批判は、その通りだろう。であれば、こども保険を40歳以上が入る介護保険と一体化し、加入者を20歳以上とする「かぞく保険」に衣替えする案はどうだろうか。かぞく保険なら介護の支え手も増え、高齢者への介護サービスも改善される。子育て世代だけでなく、負担が増す高齢者も見返りを感じやすいのではないか。20〜39歳は負担感が大きいものの、子どもも高齢者も全世代で支え合う社会になることを願う。

 子育てを社会的に支援する考え方は、目新しいものではない。政府が「育児保険」を検討したことはたびたびあったし、12年の税と社会保障の一体改革では「すべての世代が能力に応じて支え合う全世代型の社会保障」への転換を打ち出した。5月16日、自民党の子育て支援を議論する会合に招かれた慶応大の権丈善一商学部教授は、年金保険料への上乗せだけでなく、医療、介護保険からも「次世代育成支援連帯基金」にお金を出す構想を説明した。「全世代型の社会保障」の実現に向けた一案といい、支え手となる次世代への支援が年金、医療、介護の充実に結びつき、巡り巡って全世代の受益になるとの考えに基づいている。

 小泉氏らの原案は、今の児童手当に現金を上乗せする「こども保険給付金」が基本。ただ、現金の場合、親が子育てに充てるとは限らない。かといって、保育所の無償化に特化すれば、待機児童が集中する都市部で「保険料を払ったのにサービスを受けられない」という事態を招きかねない。一方、待機児童対策にばかり振り向けると、今度は保育定員に余裕のある地方の人のメリットが薄くなる。現金給付と保育サービスをバランスよく提供する必要がある。

 教育無償化策として、自民党文教族は「教育国債」、民進党は「こども国債」を掲げる。いずれも借金のツケを次世代に回す無責任な案だ。必要なら理由を説き、国民に痛みを求めるのが本来の政治家の姿だろう。

 かぞく保険には、世代で受益の内容が異なる欠陥があることは否めない。社会保険方式の場合、保険料未納者の問題も残る。それでも、新制度導入に向けた検討を急ぐべきだ。手遅れとなる前に。


■「こども保険」42%が賛成=人づくり革命、過半が肯定的―時事世論調査
(時事通信社 - 07月14日 17:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=4668510

 時事通信の7月の世論調査で、社会保険料を上乗せして保育・幼児教育を無償化する「こども保険」導入の是非について尋ねたところ、賛成が42.4%となり、反対の37.4%を上回った。将来世代に借金を先送りしないことに一定の理解が得られている形だ。

 首相が新たな看板政策に掲げた、人材育成への投資を強化する「人づくり革命」に期待するか否かを尋ねたところ、「期待する」17.6%と「まあ期待する」33.2%を合わせて50.8%が肯定的に評価した。「期待しない」は13.7%、「あまり期待しない」は29.9%だった。


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