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2016年11月03日21:06

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「グッドモーニングショー」

「踊る」シリーズの君塚良一の最新作だ。
基本はコメディなのでかなり笑わせてくれる作品かと思ったが、想像していたほどではなかった。

澄田真吾(中井貴一)は局アナで早朝の番組「グッドモーニングショー」メインキャスターをしている。
以前は夜のニュース番組のメインキャスターだったが、災害時の現場レポートでやらせをしているような行動がカメラに映ってしまい、左遷させられていた。
その番組には同じ局アナの小川圭子(長澤まさみ)と三木沙也(志田未来)が出演しているのだが、恋愛体質の圭子は、一度澄田と泥酔して関係を持ってから、澄田から愛されていると勘違いしていた。
そしてある日、本番前に二人の関係を番組内で公表すると言いだす。
同じ日に、澄田は同期入社で番組プロデューサーの石山(時任三郎)から、番組打ち切りの話を聞かされた。
澄田は家を出る前に息子から子どもができたので結婚したいと言われており、本番前に頭が痛い事が積み重なっていた。
そんな中、本番が始まる。
番組の進行中に圭子が本当に自分たちの関係を暴露しようとして焦る澄田だが、なんとか凌いで番組は進行する。
そして立てこもり事件のニュースが流れてきた。
番組スタッフは急遽中継班を飛ばすが、報道部が割り込んでこようとする。
さらに警察から、立てこもり犯が現場に澄田を要求している連絡が入った。
訳も分からず現場に急行する澄田。
爆発物用に完全装備をして、犯人説得を開始するのであった。

前半部分は、モーニングショウの制作を紹介する番組のようである。
観ていて「なるほどね」と思う部分はあったが、正直映画館で見るような内容と言い難かった。
そこから立てこもり事件が発生すると、映画的な要素が強くなり、前半部の「モーニングショウの内側」紹介時に貼られた伏線がところどころで生きてくる。
だが、個人的にはちょっとバランスが悪いかなと思った。

君塚良一的には「踊る」シリーズのように、お仕事紹介しながら巧くエピソードを構築し、その中にも笑いを入れたかったのだろう。
だが、元々事件を取り扱う仕事である警察官とモーニングショウの現場では、やはり緊張感が異なる。
もちろんこの場合の緊張感は、犯罪を防ぐ、あるいは犯人を捕まえて一般人を危険から護る、と言う緊張感であり、仕事に対しての緊張感ではない。
警察官は、ともすれば自分の危険を顧みず事件に対応する事も日常茶飯事だが、TVマンが同じ事をすればむしろ怒られてしまう。
だから映画的に見れば、行動が制限されて面白みが減ってしまう。
澄田は一生懸命犯人を説得しようとするが、結局はアナウンサー目線だ。
本来はその部分で面白さを表現したかったのだろうが、一方で犯人役の濱田岳がかなり迫真に迫った演技をしているため、温度差が生まれてしまっていた。
であるならば、濱田岳をもうちょっとおバカキャラで軽くした方が、全体的にコメディとして生きたんじゃないかと思う。
「踊る」のように社会的な意義を組み込みたかったのかもしれないが、逆効果になってしまっている。

役者陣も豪華でいい演技なのだが、ちょっと残念な作品になってしまった。

80.グッドモーニングショー
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