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2016年04月16日15:19
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｢あの家に暮らす四人の女｣／三浦しをん
｢あの家｣は杉並区｡
阿佐ヶ谷駅から徒歩20分｡
善福寺川が大きく蛇行するあたりにあった｡
敷地面積150坪の豪邸というと聞こえがいいが､
実体は､近所の小学生から｢お化け屋敷｣と呼ばれている､
戦後すぐに建てられたという、とにかく古い洋館｡
こんな感じ？ お化け屋敷では失礼か？(笑)
住んでいるのは女４人… と 爺さん１人… と ……
牧田鶴代
この屋敷を建てた牧田氏の孫｡
家付き娘で､まったく働いたことが無く､
これからも働かずに一生を終えるであろう女｡
いわゆるお嬢様奥様｡
牧田佐知
鶴代の娘で刺繍作家｡
自宅で刺繍教室も開いている｡
37歳独身｡
すっぴんで髪はぼさぼさ､
紺のスウェットの上下を３日ほど着続けて家に居るような女｡
谷山雪乃
佐知の友人で､保険会社のキャリアウーマン｡
37歳独身｡
知合いに一人はいる顔らしく
心当たりのない名前で呼ばれしばらく一方的に話しかけられることも
しばしばあるような､印象の薄い女｡
たおやかな外見に反し､極端に不器用｡
ひょんな事で､住んでいたアパートに住めなくなり､
牧田邸にころがりこんだ｡
どうも､強力な水難の相に憑りつかれているらしい｡
上野多恵美
雪乃の職場の後輩で､
佐知の刺繍教室の生徒｡
27歳独身
今風の､人当たりの良い女｡
元カレでストーカー化した｢宗ちゃん｣から逃れ､
先住の雪乃に誘われ､牧野邸にころがりこんだ｡
山田一郎
牧野母娘が､
世間に対してなんと説明していいのか迷う間柄の男｡
80歳独身｡
親の代から､
牧田家表門入ってすぐの守衛小屋(元は書斎兼納屋）に住み､
一度も結婚せず､牧田家のあれこれを眺めながら今に至る｡
253ﾍﾟｰｼﾞ目で突然登場する私
？？？
そして
忘れてはならない登場人物(登場カラス？)善福丸｡
とびら絵に登場するほど重要？！
あまりに綺麗な画なので､つい撮影して掲載｡
三浦さんは､登場人物一人一人を際立たせて描き分ける巧者である｡
そこが､この作品の旨味なのだろう｡
上は､彼女らについての描写のほんの一部｡
それぞれがみな､脳内でシッカリ独り立ちして勝手に動き出す｡
物語としては､
何か人の心を動かすというような､大したものではなく､
あの家に暮らす四人の女の､日々の暮らしの中に起きる出来事､
多恵美を宗ちゃんから守るため､
佐知と雪乃が一肌脱いだり､
開かずの間を開けたら､とんでもないものが見つかったり､
雪乃の水難の相は､牧野邸にも波及したり､
それが､後日､佐知の人生を大きく変えるかもしれなかったり…
そんな事をゆるやかに綴っているのだが､
三浦さん特有の感性で､杉並区のちょっと面白い特性が語られ､
また､
善福丸の､牧田家の歴史の独白や､
｢私｣の存在という非日常性が､よいスパイスとなって､
とても面白い｢読み物｣に仕上がっていた｡
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