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2016年04月09日17:27

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映画を観てCDを買って酒と蕎麦(2)

 前回は、映画を観て、CDを買って、酒と蕎麦を味わってといろいろ書くつもりだったが、例によって脱線が著しく、映画館の話だけで終わってしまった。
 今回はその続きである。

 映画館をでたのは午後五時少し前だった。
 つい先ごろまで、五時になればもう薄暗かったのだが、陽が長くなってまだまだ明るい。いくら酒好きでも、何となく明るいうちに盃を傾けるのははばかられる。

 映画館を出て少し歩き、今池時代に世話になった旧友の張さんが営む、CD、レコード、DVDなどの中古盤専門店、「ピーカン・ファッジ(P-CAN FUDGE)」に立ち寄ってみた。
 今時は、音楽はネットで契約したり、それからダウンロードしたりして聴くのが若い人たちの主流のようで、こうした物質的な媒体を介してのそれは激減していて、ひところに比べれば店も寂しくなったと張さんが嘆いていたが、それでも店内には、いろいろ物色する何人かの客がいた。

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 映画は劇場で、音楽は物質的媒体でが主流である保守人間私も、早速その仲間になり、掘り出しモノを物色し始めた。
 結局、CDの数にすると三枚買ったのだが、そのうち二枚は組になったものだ。

 一枚物はバーンシュタイン版のモーツァルト「レクイエム」。
 これで「レクイエム」は三枚目だ。
 一枚は、ミッシェル・コルボ指揮の リスボン・グルベンキアン管弦楽団、合唱団(1989年)のもの、もう一枚はペーター・シュライヤー指揮でドレスデン・シュターツカペルレとライプチヒ放送合唱団(1982年)。

 今回買ったバーンシュタインのものは、バイエルン放送交響楽団と同合唱団によるもの(1989年)。なお、この盤でテノールを歌っているジェリー・ハドリーは2007年に自殺を図り、一度は未遂に終わったようだが、その後、やはりあの世へ行ってしまった。

 「レクイエム」はほかにFM放送からエアー・チェックしたもので、先ごろ(3月5日)亡くなったアーノンクールが1991年にザルツブルグ祝祭劇場で指揮をしたライブを録音したものを持っているので、それも引っ張りだして聴いてみた。
 この、アーノンクールのライブでは、未完成のこの曲を、通常演奏されるジェスマイヤーが補作したものではなく、モーツァルトが未完成で残したままで演奏している。ただし、それでは締りがないので、その後に、同じ年に作曲したモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」(K618)という合唱曲をくっつけるという変則版だ。だから、通常五十数分の演奏が、37分足らずで終わっている。
 ただし、これもなかなかいい。

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 なお、同じ91年8月末、ザルツブルグの大聖堂のドームコンサートで、ジュリーニが振るウィーン・フィルとウィーン国立歌劇場合唱団の「レクイエム」を私はナマで聴いている。モーツァルトが洗礼を受けた場でそれを聴くのはその臨場感とあいまって大感動ものであった。

 さて、「レクイエム」のCD三枚を少し聴き比べてみたが、バーンシュタイン版は総じてテンポが遅い。「Lacrimosa」などは他の盤が3分台なのに5分38秒という長さだ。まるで他の曲のようだ。
 私としては、最初に買った、ミッシェル・コルボのものがいちばん馴染める。まあ、いちばんよく聴いているので、身体的に刷り込まれているのかもしれない。

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 もうひとつ買ったのは、モーリス・ラヴェルのさまざまな曲を2枚組のアンソロジーにしたものだ。ラヴェルは分散して音源を持っているが、まとまったものはもっていないのでこれぞと思ったわけだ。
 演奏は パリ国立歌劇場管弦楽団が主体。指揮はマニュエル・ロザンタル。この人、2003年に亡くなっているが、ラヴェル末期の直々のお弟子さんで、作曲法などを学んでいる。その意味ではラヴェルのアンソロジーを編むには最適な人かもしれない。

 一通り聴いたが、ラヴェルの音楽はじつに多彩で豊かである。ひとつひとつの曲想が判然と異なっていて聴いていて飽きることがない。

 もうひとつ気に入っているのが、この二枚組CDのジャケットというか装幀というのかそれらがとても洒落ている点だ。絵はモジリアーニの「扇をもつ女性の肖像」である。
 内側にも手抜かりはない。それらがCDの盤面の色合いとも良い調和を保っている。視覚的にも十分楽しめる。
 さすがフランスの原盤だけのことはある。
 ライナーノートがフランス語なのはちとつらいけど。

 またまた長くなってしまった。
 なかなか酒や蕎麦にはありつけない。

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