保育園落ちた日本死ね！

表題のブログは2月15日、「はてな匿名ダイアリー」に投稿された。このブログがきっかけで待機児童問題が一気にクローズアップされ、新聞やニュースをにぎわしている。

「日本死ね！」ってのはたとえ現政権や政策に不満があっても、日本人として顔をしかめたくなる言葉だし、このブログを政治利用しようとする人たち(民主党や共産党）の小賢しさにも辟易する。

ちょうど実家で両親と話しているときにこの話題になった。
私は、「子供を産んだら仕事が続けられない」今の社会の構造が変わるしかないと思っている。
今の日本では、待機児童の問題以前にマタハラもなくならないのが現状だ。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1934257370&owner_id=168303

そこで私が「保育園をふやせないなら有給育休をふやすとか自分で育てる人に手当て出すとか企業が再雇用を約束するとか生活補償してあげればいい。」と言うと、母が珍しく声を大にして、

「自分の子供を自分で生んで育てるのは親として当たり前！お金がないから産まないとか 保育園入れないから産まないとか、何を文句いうとんねん！？」と言った。
「今の人は自分の義務は果たさずに権利ばかりを主張するよね」と。
私は「なーるほど・・」とその後何も言えなくなってしまった。

もう30年くらいも前になるが、私は出産まで仕事をバリバリやってた人だったので、子どものために仕事を辞めたくなかった。せっかく管理職試験にパスしたのにその直後に妊娠を知ったときはショックで喜びより怒りのような気持のほうがこみあげてきた。もしそのとき匿名でブログを書いていたらこのブロガーのように「くそ！」とか書いてたかもしれない。

出産後も仕事を続けたい旨双方の両親に相談したが、どちらも「私たちがみてあげるから仕事を続けなさい」とは言ってくれなかった。保育園も検討したが育児休業法はまだ施行されておらず出産後3か月で職場復帰して母乳を与えながら仕事を続けることなど不可能だった。辞めるしか選択肢はなかったのだ。


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　保育園落ちた日本死ね！　　(全文）

何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ
昨日見事に保育園落ちたわ　
どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか
子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ？
なにが少子化だよクソ！
子ども産んだはいいけど希望通りに保育園に預けるのほぼ無理だからって言ってて子供産むやつなんていねーよ
不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園ふやせよ
オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ
エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ
有名なデザイナーに払う金あるなら保育園作れよ
どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ
ふざけんな日本

保育園ふやせないなら児童手当20万円にしろよ
保育園ふやせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよねーってそんなムシのいい話あるかよボケ
国が子ども産ませないないでどうすんだよ
金があれば子供産むってやつがゴマンといるんだからとりあえず金出すか子どもにかかる費用すべてを無償にしろよ
不倫したり賄賂受け取ったりうちわ作ってるやつ見繕って国会議員を半分くらいクビにすりゃ財源作れるだろ
マジいい加減にしろ日本　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　（引用：　はてな匿名ダイアリー）
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この文章を読んで最初はなかなか痛烈で共感できる意見だなと思った。待機児童の問題提起に多くの母親が賛同し、ネットで2万6千人の署名が集まったのはすごいことだ。

が個人的に「死ね」という言葉を多用する人は好きになれぬ。たとえ本気で言ってなくても使うべきではない言葉だと思う。自分が「死ね」と言われたときのこと虚しい気持ちを思い出す。
それに何度も読み返すうちにだんだん違和感を覚えるようになった。
とくにこの部分↓

国が子ども産ませないないでどうすんだよ
金があれば子供産むってやつがゴマンといるんだからとりあえず金出すか子どもにかかる費用すべてを無償にしろよ

子どもは国の宝というが、国に産めと言われて産むものではないし、お金があるから産み、貧乏だから産まないというものではない。それはタテマエと言われても。誰かのために産むんじゃない。自分の子だから産みたいと思う。ならば自分の手で育てるのは当然じゃないのか。私は育児も産んだ者の責任と考えている。

育児にはお金がかかり自分の自由も奪われる。その結果社会で活躍できなくても親なんだからしょーがないと私は受け止める。それくらいの覚悟をもって子どもを産むべきだと考える。このブログは、自分がこんな目にあってるのは日本国のせいであり、国になんとかしてくれ、してくれないなら「日本死ね！」と暴言を吐いているが、子どもを生んで育てるのは国ではない。

保育園に入れたら仕事は続けられるのだろうが、仕事が続けられること＝社会で活躍できることとは違う。逆に言えば子どもを人に預けないで自分で育てる専業主婦は社会では「輝けない」ということになる。全くおかしな世の中になってきたもんだ。

我が老母が言っているように「親が自分で子どもを生み育てるのは当たり前」ではなくなり、その当たり前のことをしない人が、権利ばかりを主張しているようにもみえる。それも「社会で活躍するため」「女性が輝くため」には必要だというのだろうか。

　　　民主・山尾志桜里氏　保育園署名25000人の声を届けたい
　　　　http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=125&from=diary&id=3895116

待機児童問題がなかなか解決しない理由は誰もがすぐに当事者じゃなくなるから。この問題で困っている人たちに厳しい意見を言う人で現在待機児童を抱えている当事者はおそらくいない。

そもそも幼稚園は文科省、保育園は厚労省の管轄。保育園は福祉の範疇に入るわけだが、同じ福祉問題なら、介護福祉のほうを手厚くしてほしいと日本国民の半数以上を占める子育て終了世代は思っているに違いない。

いずれにせよ、昔は子どもを義務教育までは自分でみて、子どもが多い家は祖父母がそれを手伝って、その祖父母が年老いたら家庭で看取って・・・が当たり前だった。保育も介護も国になんとかしてもらおうなどと期待することもなかった。期待するから裏切られた感も増幅する。

老母がいうように、義務を果たさないで権利ばかりを主張する人間が増えているのは確かなようだ。