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2015年10月21日22:26

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並河靖之七宝記念館

一週間も秋晴れの好天が続いている。

広島から新幹線で京都入りした友人と落ち合い、京都国立近代美術館へ行く予定だったが。
東山駅から神宮道に出る一つ手前で曲がった路地にふと引き込まれ立ち寄ったのが「並河靖之七宝記念館」だった。何十回とここへは来ているが、こんな場所にこんな素敵な場所があるなんて初めて知った。

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七宝とは銅など金属や陶磁器の素地の器胎にガラス質の釉薬を載せて焼成し、研磨したもの。
日用品ならホーローがそんな感じ。

並河靖之(1845〜1927)が、生涯かけて探究し続けた七宝は有線七宝の技法である。その名の由来のように描かれた図柄の輪郭線には必ず金属の線(植線)が施されている。

並河七宝は深く潤いのある多彩な釉薬の色味や独創的な形状が特徴。七宝で作り出された典雅な花や蝶、趣ある風景は国内外で高く評価され、内国勧業博覧会や万国博覧会などで数多くの受賞を重ねた。明治29年(1896)には帝室技芸員にも任命され、東京で活躍した無線七宝の涛川惣助とともに「ダブルナミカワ」として今もなお世界中の人々を魅了している。

遠い昔、中学の美術の授業で名刺大ほどの基盤で七宝焼体験をした記憶がある。釉薬は砂状でそれを均等に盛って作画していくのがとても難しかったのを覚えているが、並河の作品は超絶技巧というか人間業とは思えない細かさ。ミリペン先で直に書いてもここまで細かい絵は描けないと思うのだが、それを金属の線を貼りつけて描いている。その輪郭線の中に砂状の釉薬を置いていくのだからありえない!

焼き上がった作品は陶器のような光沢で100年たってもまったく劣化なく。美しすぎてため息が出る・・

旧並河邸は明治27年(1894)に施工し、外観は大規模な表屋つくりで、京都の伝統的な商家の構えをしている。続く主屋は二階建てで、池にせり出したテラス(縁側)にはめられたガラス障子は、当時としてはとてもモダンなもの。

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庭園は7代目小川治兵衛(屋号:植治)の作庭。琵琶湖疏水から引いた水がたゆまずそそぐ、流れのある池がある。水音はやわらかな響きとなって心地よく邸内を満たし、さまざまな景石の配置も見事。下手なお寺の庭園よりはるかに素晴らしい。

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しかも、知る人が少ないのか入場者がほとんどいないので、入場料600円で作品の観覧はもちろん、お庭に何時間でもたたずんでいられる(笑)。

表屋、主屋、旧工房、旧窯場は国登録有形文化財および京都市指定歴史的意匠建造物に、庭園は京都市指定名勝にそれぞれ指定されている。
入口奥の土間、吹き抜けの厨房も素晴らしい。



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